世界遺産検定の基礎知識で、「ICOMOS・IUCN・ICCROMの違いは?」「委員会と締約国総会はどちらが何を決める?」と聞かれて迷っていませんか。この記事は、世界遺産の制度・組織だけに絞った一問一答形式の練習問題20問です。全問に解説がついています。
三諮問機関7問、世界遺産委員会・締約国総会・事務局7問、危機遺産・世界遺産基金・戦略目標6問の構成です。解説は、条約本文とUNESCO公式ページ、作業指針で確認した内容に基づきます。概念の問題は、別記事にまとめています。
概念(真正性・完全性・緩衝地帯など)を練習したい方は、先に概念の練習問題20問をどうぞ。

最初に確認:制度・組織の早見表
正式な内容は、世界遺産条約の本文、世界遺産委員会のページ、諮問機関のページで確認できます。
| 組織・仕組み | 覚えるポイント |
|---|---|
| 世界遺産委員会 | 21の締約国で構成。任期6年(4年への短縮が奨励)。年1回開催。リストへの登録を最終的に決定する |
| 締約国総会 | 委員国を選出し、基金への拠出の割合を決める。ユネスコ総会の通常会期中に開かれる |
| ビューロー | 委員会が毎年選ぶ7か国(議長1・副議長5・報告者1)。委員会の作業を調整する |
| 世界遺産センター | 委員会の事務局を担う。1992年設置。ユネスコ事務局長が任命する |
| ICOMOS | NGO。1965年設立、パリ。文化遺産(と複合遺産)の評価。1964年のヴェネツィア憲章が原則 |
| IUCN | NGO。1948年設立、グラン(スイス)。自然遺産の評価と保全状況の報告 |
| ICCROM | 政府間組織。1956年設立(ユネスコ)、ローマ。研修・保存修復の研究と技術支援。評価は行わない |
| 危機遺産リスト | 重大かつ明確な危険にあり、大規模な保全作業と援助の要請がある資産が対象。記載は3分の2の多数で決める |
| 世界遺産基金 | 締約国が2年ごとに拠出。義務的拠出はユネスコ通常予算分担金の1%以内 |
三諮問機関(ICOMOS・IUCN・ICCROM)(全7問)
条約が世界遺産委員会の助言役と定めている3つの組織です。「だれが何を評価するか」「政府間組織かNGOか」「設立年・本部」が、ひっかけの定番です。
問1 文化遺産の評価
世界遺産リストへの登録が推薦された、文化遺産(および複合遺産)の評価を行う諮問機関を選びなさい。
- 1.ICOMOS
- 2.IUCN
- 3.ICCROM
- 4.ユネスコ総会
正解!
不正解...
正解は1.ICOMOSです。
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問2 自然遺産の評価
自然遺産の推薦資産の技術的な評価を行い、登録されている資産の保全状況についても報告する諮問機関を選びなさい。
- 1.ICOMOS
- 2.ICCROM
- 3.IUCN
- 4.世界遺産センター
正解!
不正解...
正解は3.IUCNです。
自然遺産を評価するのは、国際自然保護連合(IUCN)です。専門家の世界的なネットワークを使って、登録済みの資産の保全状況も報告します。
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問3 ICCROMの役割
ICCROM(文化財保存修復研究国際センター)が、条約との関係で担う特別な役割として、作業指針が挙げているものを選びなさい。
- 1.文化遺産に関する研修の、優先的なパートナーであること
- 2.自然遺産の推薦資産を評価すること
- 3.世界遺産リストへの登録を最終的に決定すること
- 4.危機遺産リストへの記載を決定すること
正解!
不正解...
正解は1.文化遺産に関する研修の、優先的なパートナーであることです。
ICCROMは、文化遺産に関する研修の優先的なパートナーです。保存修復の研究・技術支援・研修を担い、推薦資産の評価はICOMOSとIUCNが行います。登録や危機遺産の決定を行うのは、世界遺産委員会です。
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問4 政府間組織
三諮問機関のうち、非政府組織(NGO)ではなく、政府間組織であるものを選びなさい。
- 1.ICOMOS
- 2.IUCN
- 3.ICCROM
- 4.三つともNGOである
正解!
不正解...
正解は3.ICCROMです。
ICCROMは政府間組織で、本部はローマ(イタリア)です。ICOMOSとIUCNは国際的な非政府組織です。三諮問機関は、「非政府または政府間の3つの国際組織」と説明されます。
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問5 設立年
ICOMOS(国際記念物遺跡会議)が設立された年を選びなさい。
- 1.1948年
- 2.1956年
- 3.1965年
- 4.1972年
正解!
不正解...
正解は3.1965年です。
ICOMOSの設立は1965年です。IUCNは1948年、ICCROMは1956年(ユネスコが設立)です。設立の古い順は、IUCN、ICCROM、ICOMOSとなります。
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問6 IUCNの本部
IUCN(国際自然保護連合)の本部があるのは、どこですか。正しいものを選びなさい。
- 1.パリ(フランス)
- 2.ローマ(イタリア)
- 3.グラン(スイス)
- 4.ナイロビ(ケニア)
正解!
不正解...
正解は3.グラン(スイス)です。
IUCNの本部はスイスのグランにあります。ICOMOSの本部はパリ、ICCROMの本部はローマです。三諮問機関の本部の所在地は、セットで覚えましょう。
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問7 ヴェネツィア憲章
ICOMOSの活動が原則としている、1964年の国際憲章を選びなさい。
- 1.奈良文書
- 2.ヴェネツィア憲章
- 3.ブダペスト宣言
- 4.ラムサール条約
正解!
不正解...
正解は2.ヴェネツィア憲章です。
ICOMOSの活動は、1964年の「記念物及び遺跡の保全と修復に関する国際憲章(ヴェネツィア憲章)」の原則に基づいています。奈良文書は真正性に関する1994年の文書、ブダペスト宣言は2002年の世界遺産に関する宣言です。
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世界遺産委員会・締約国総会・事務局(全7問)
条約に基づく意思決定の仕組みです。「委員会」と「締約国総会」を混同させる問題がよく出ます。
問8 委員国の数
世界遺産委員会を構成する締約国の数として、現在の条約の規定に基づくものを選びなさい。
- 1.15か国
- 2.21か国
- 3.30か国
- 4.40か国
正解!
不正解...
正解は2.21か国です。
世界遺産委員会は、21の締約国で構成されます。条約の規定では、当初は15か国でしたが、締約国が40か国以上になった後の、ユネスコ総会の通常会期から21か国に増えました。
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問9 委員国の任期
世界遺産委員会の委員国の任期は、条約上、何年ですか。正しいものを選びなさい。
- 1.2年
- 2.4年
- 3.6年
- 4.8年
正解!
不正解...
正解は3.6年です。
任期は6年です。ただし、公平な代表と交代を保つため、締約国は任期を自発的に4年に短縮することが奨励され、連続しての立候補は望ましくないとされています。
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問10 委員国の選出
世界遺産委員会の委員国を選出する会議として、正しいものを選びなさい。
- 1.国連総会
- 2.ユネスコ執行委員会
- 3.世界遺産条約の締約国総会
- 4.三諮問機関の合同会議
正解!
不正解...
正解は3.世界遺産条約の締約国総会です。
委員国は、ユネスコ総会の通常会期中に開かれる、世界遺産条約の締約国総会で選出されます。地域と文化の公平な代表が確保されるよう求められています。
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問11 委員会の開催
世界遺産委員会の通常の会合の開催頻度として、正しいものを選びなさい。
- 1.2年に1回
- 2.年に1回
- 3.5年に1回
- 4.不定期で開催頻度の定めはない
正解!
不正解...
正解は2.年に1回です。
世界遺産委員会は、少なくとも年に1回(通常は6〜7月ごろ)開かれます。世界遺産リストへの登録の可否は、この会合で決まります。
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問12 ビューロー
世界遺産委員会のビューロー(議長団)の構成として、正しいものを選びなさい。
- 1.議長1・副議長5・報告者1の、計7か国
- 2.議長1・副議長2の、計3か国
- 3.21の委員国すべて
- 4.三諮問機関の代表3名
正解!
不正解...
正解は1.議長1・副議長5・報告者1の、計7か国です。
ビューローは、委員会が毎年選ぶ7つの締約国(議長1、副議長5、報告者1)で構成され、委員会の作業を調整します。
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問13 事務局
世界遺産委員会の事務局の機能を担うために、1992年に設置された組織を選びなさい。
- 1.ユネスコ世界遺産センター
- 2.ICOMOS事務局
- 3.ユネスコ執行委員会
- 4.世界遺産基金事務所
正解!
不正解...
正解は1.ユネスコ世界遺産センターです。
委員会の事務局は、ユネスコ事務局長が任命します。その機能を担うのが、1992年に設置されたユネスコ世界遺産センターです。推薦書の受理や、委員会・総会の運営を支えます。
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問14 登録の決定
世界遺産リストへの登録を最終的に決定する機関を選びなさい。
- 1.諮問機関(ICOMOS・IUCN)
- 2.世界遺産委員会
- 3.ユネスコ事務局長
- 4.世界遺産条約の締約国総会
正解!
不正解...
正解は2.世界遺産委員会です。
登録の最終決定権は、世界遺産委員会にあります。諮問機関は評価や勧告を行いますが、決定はしません。また、条約は、リストへの登録に関係国の同意が必要だと定めています。
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危機遺産・世界遺産基金・戦略目標(全6問)
「危機遺産」の要件と判断のしかた、基金のルール、委員会の戦略目標「5つのC」を確認します。
問15 危機遺産の要件
世界遺産委員会が資産を危機遺産リストに記載できる要件として、作業指針が挙げていないものを選びなさい。
- 1.その資産が、すでに世界遺産リストに記載されている
- 2.資産が、重大かつ明確な危険にさらされている
- 3.資産の保全のために、大規模な作業が必要である
- 4.年間の入場者数が、一定数を超えている
正解!
不正解...
正解は4.年間の入場者数が、一定数を超えているです。
要件は、世界遺産リストに記載済みであること、重大かつ明確な危険にさらされていること、保全のために大規模な作業が必要であること、条約に基づく援助が要請されていること、です。入場者数は要件ではありません。
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問16 潜在的な危険
文化遺産について、作業指針が「潜在的な危険」の例として挙げているものを選びなさい。
- 1.材料の重大な劣化
- 2.構造や装飾の重大な劣化
- 3.保全政策の欠如
- 4.歴史的な真正性の重大な喪失
正解!
不正解...
正解は3.保全政策の欠如です。
「確認された危険」は、すでに起きている明確な危険で、材料や構造の重大な劣化、真正性の重大な喪失などです。「潜在的な危険」は、固有の特徴に悪影響を及ぼしうる脅威で、保護の程度を下げる法的地位の変更や、保全政策の欠如などです。
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問17 危機遺産リストへの記載
危機遺産リストへの記載を、世界遺産委員会が決める際の表決として、正しいものを選びなさい。
- 1.出席し投票する委員国の過半数
- 2.出席し投票する委員国の3分の2以上の多数
- 3.全委員国の全会一致
- 4.ユネスコ事務局長の同意
正解!
不正解...
正解は2.出席し投票する委員国の3分の2以上の多数です。
危機遺産リストへの記載は、出席し投票する委員国の3分の2以上の多数で決まります。委員会は、そのうえで、是正措置の計画を定めます。
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問18 危機遺産の見直し
世界遺産委員会が、危機遺産リストに記載されている資産の保全状況を審査する頻度として、正しいものを選びなさい。
- 1.毎年
- 2.2年に1回
- 3.6年に1回
- 4.審査の定めはない
正解!
不正解...
正解は1.毎年です。
委員会は、危機遺産リストの資産の保全状況を毎年審査します。その結果に基づき、追加の措置、危機遺産リストからの削除、状況が悪化した場合は両方のリストからの削除の検討、のいずれかを決めます。
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問19 世界遺産基金
世界遺産条約に基づく締約国の、世界遺産基金への義務的な拠出について、正しいものを選びなさい。
- 1.2年ごとに支払い、ユネスコの通常予算分担金の1%を超えない
- 2.毎年、国民総所得の1%を支払う
- 3.登録された資産の数に比例した額を支払う
- 4.拠出は、すべて任意である
正解!
不正解...
正解は1.2年ごとに支払い、ユネスコの通常予算分担金の1%を超えないです。
締約国は、2年ごとに基金へ拠出します。義務的な拠出の割合は一律で、締約国総会が決め、ユネスコ通常予算への分担金の1%を超えません。これに加えて、任意の拠出もあります。
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問20 戦略目標「5つのC」
世界遺産委員会の戦略目標「5つのC」に含まれないものを選びなさい。
- 1.信頼性(Credibility)
- 2.保全(Conservation)
- 3.コミュニティ(Communities)
- 4.商業化(Commerce)
正解!
不正解...
正解は4.商業化(Commerce)です。
5つのCは、信頼性(Credibility)、保全(Conservation)、能力構築(Capacity-building)、コミュニケーション(Communication)、コミュニティ(Communities)です。商業化は含まれません。
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間違えやすいポイントを復習
20問のうち、ひっかけになりやすいポイントを表にまとめます。
| テーマ | 覚えるポイント |
|---|---|
| 評価する機関 | 文化遺産=ICOMOS、自然遺産=IUCN。ICCROMは評価をせず、研修・保存修復の専門機関。 |
| 政府間組織はどれ? | ICCROMだけが政府間組織。ICOMOSとIUCNはNGO。 |
| 設立年と本部 | IUCN(1948・グラン) |
| 委員会と総会 | 委員国は総会が選ぶ(任期6年)。登録を決めるのは委員会。基金の拠出割合を決めるのは総会。 |
| 危機遺産 | 確認された危険=すでに起きた劣化。潜在的な危険=将来の脅威(法的地位の変更・保全政策の欠如)。記載は3分の2、審査は毎年。 |
危機遺産リストの現在の一覧はUNESCOの危機遺産のページで確認できます。三諮問機関の違いは三諮問機関の比較、委員会の仕組みは世界遺産委員会の仕組みで詳しく解説しています。
まとめ
制度の問題は、「だれが決めるか」と「だれが評価するか」を分けて覚えると、ひっかけに強くなります。登録を決めるのは世界遺産委員会、評価をするのはICOMOSとIUCN、研修と保存修復を担うのはICCROMです。間違えた問題は、早見表と解説に戻って確認してください。
制度を押さえたら、級全体の力試しとして世界遺産検定1級の模擬問題50問に進むのがおすすめです。
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よくある質問

三諮問機関は、それぞれ何を担当しますか?
ICOMOSは文化遺産(と複合遺産)の推薦資産の評価、IUCNは自然遺産の推薦資産の評価と保全状況の報告を担当します。ICCROMは、文化遺産の保存修復の研究、技術支援、研修(特に研修の優先的なパートナー)を担当し、推薦資産の評価は行いません。
世界遺産委員会と締約国総会は、どう違いますか?
世界遺産委員会は、21の締約国で構成され、年に1回開かれ、登録の最終決定を行います。締約国総会は、条約のすべての締約国が集まる会議で、委員国の選出や、基金への拠出割合の決定を行い、ユネスコ総会の通常会期中に開かれます。
危機遺産リストに載ると、世界遺産ではなくなりますか?
なくなりません。危機遺産リストは、世界遺産リストに記載された資産のうち、危険にさらされているものを国際社会に知らせ、是正を促すためのリストです。状況がさらに悪化して価値を失った場合には、委員会が、両方のリストからの削除を検討します。
世界遺産への登録には、その国の同意が必要ですか?
必要です。条約は、世界遺産リストへの登録には、関係する国の同意が必要だと定めています。複数の国が主権を主張する地域の資産を登録しても、紛争当事者の権利を損なわない、とも定めています。
問題は、どの資料に基づいていますか?
解説は、世界遺産条約の本文、UNESCO世界遺産センターの委員会・諮問機関のページ、作業指針で確認した内容に基づきます。作業指針は2013年版の全文で確認したもので、最新版(2025年版)の条文は、UNESCO公式サイトで確認してください。委員会の構成国などは年ごとに変わります。
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文化遺産の推薦資産を評価するのは、国際記念物遺跡会議(ICOMOS)です。ICOMOSは、世界遺産委員会に、文化遺産と複合遺産の評価を提供します。