ベトナム中部に位置する古都ホイアンは、800年以上の歴史を持つ美しい港町として、1999年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。かつて国際貿易の中心地として栄えたこの街は、日本、中国、ポルトガル、フランスなど多様な文化が融合した独特の建築様式と、戦火を免れた17-18世紀の街並みが今なお残されています。
特に江戸時代には多くの日本人が住んでいた「日本人街」があり、現在でも日本橋（来遠橋）をはじめとする日本との深い歴史的つながりを感じることができます。夜になると色とりどりのランタンが街を幻想的に彩り、「ランタンの街」として多くの観光客を魅了しています。
本記事では、この魅力的な世界遺産の街ホイアンについて、その歴史的背景から必見の観光スポット、美しい夜景まで詳しくご紹介していきます。
目次
古都ホイアンとは？世界遺産に登録された理由を解説
古都ホイアン
古都ホイアンは、ベトナム中部・クアンナム省に位置する歴史的な港町で、1999年にユネスコの世界文化遺産として認定されました。この美しい街は、何世代にもわたる歴史と多様な文化が交わる場として、多くの人々に愛されています。
世界遺産としての基本情報
| 名称 | 古都ホイアン |
|---|
| 登録年 | 1999年 |
|---|
| 登録基準 | (2):ある期間またはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観設計の発展に大きな影響を与えた、価値ある人間の交流を示している。
(5):ある文化（または複数の文化）を代表する伝統的集落、土地利用、あるいは海や陸の利用の際立った例であり、危機に瀕しているもの。 |
|---|
古都ホイアンの歴史
ホイアンの歴史は800年以上前に遡り、元々はチャンパ王国の重要な貿易都市として栄えました。16世紀から18世紀までの間、ホイアンは国際貿易の中心地として多くの商人が集まり、多様な文化が交じり合う独自の環境が形成されました。特に日本との結びつきは深く、江戸時代には多くの日本人が居住していた「日本人街」が存在していました。
世界遺産に登録された理由
古都ホイアンが世界文化遺産に登録された理由は、以下のような多くの魅力に起因しています。
建築スタイルの多様性
ホイアンの旧市街は、多様な文化が融合したユニークな建築様式が特徴です。日本、中国、ポルトガル、フランスなど、異なる国々の建物が共存しており、それぞれの歴史や文化が映し出されています。
歴史的な価値
ホイアンは戦争の影響をほとんど受けておらず、17世紀から18世紀の街並みが保存されています。このため、当時の交易や文化交流を実際に感じることができる貴重な場所となっています。
自然との調和
ホイアンは美しい自然環境に囲まれ、街並みはトゥボン川や周囲の田園風景と見事に調和しています。このような文化的な風景は、ホイアンの魅力の重要な要素であり、自然との共生が感じられます。
具体的な文化財
来遠橋（日本橋）
日本人によって建設されたこの橋は、ホイアンを象徴する存在です。その特徴的なデザインは、日本との豊かな文化的交流を証明しています。
フーンフンの家
多様な影響を受けた建物の中でも、特にフーンフンの家は伝統的なスタイルと地域特有の建築技術が見事に融合していることで知られています。
福建会館
中華系移民によって建設されたこの会館は、豪華な装飾と美しい建築で際立ち、地域の文化遺産として大切にされています。
古都ホイアンは、豊かな文化遺産とその保存状態によって、多くの旅行者や歴史愛好者にとって魅力的な観光地として評価されています。また、ホイアンの魅力はその歴史に加え、自然との調和や地元コミュニティの温かさにも見ることができます。こうした背景から、古都ホイアンは訪れる価値のある世界遺産として強くおすすめします。
ホイアンと日本の深い歴史的つながり
古都ホイアンのランタン
ホイアンはその古都としての魅力から、日本との深い歴史的なつながりを持つ地域です。かつては国際貿易の中心地として栄え、多くの日本との交流がありました。ここでは、ホイアンと日本の歴史的な関係を詳しく見ていきましょう。
日本との貿易の始まり
17世紀初め、ホイアンは日本の江戸幕府や商人たちとの間で朱印船貿易を開始しました。この貿易は特別な通行許可を受けた船を利用し、ホイアンと日本間の交易を活発化させました。
- 貿易商品: 日本からは金、銀、陶器、絹などがホイアンに輸出され、反対にホイアンからは香辛料や薬草、中国や南洋の製品が日本へと送られました。
- 日本人の移住: 貿易の盛況により、多くの日本人がホイアンに移住し、日本人街が形成されました。この時期、最大で1000人以上の日本人がこの地に住んでいたと考えられています。
文化的交流の影響
ホイアンと日本の結びつきは貿易だけにとどまらず、文化的な交流も促進しました。
- 建築様式の融合: 日本人によって建設された「来遠橋」は、ホイアンを象徴する建物の一つであり、ドイツ風デザインに日本の伝統的要素が融合しています。
- 工芸品の流通: ホイアンでは、日本の伝統工芸品、特に伊万里焼きが流通しており、その影響は現在でも色濃く残っています。
鎖国政策とホイアンの衰退
しかし、日本の鎖国政策が確立されてから、ホイアンとの関係は次第に薄れていきました。江戸幕府による海禁政策により、日本人の往来が制限され、商業活動は衰退に向かいました。これに伴い、ホイアンは貿易港としての栄華を失い、隣接するダナンへと商業の中心が移動しました。
現在のホイアンにおける日本の影響
今、ホイアンを訪れると、日本との歴史的なつながりを肌で感じることができます。例えば、
- 歴史的な跡: 日本人街や来遠橋を訪れると、当時の商人たちの存在を思い起こさせる数々の痕跡を発見できます。
- 観光地としての価値: 日本との交流を感じることのできる観光スポットは訪問者に特別な体験を提供し、多くの観光客を惹きつけています。
このように、ホイアンは日本との深い歴史的なつながりを保ちながら、その影響を現代にも感じさせている魅力的な街として、多くの観光客に愛されています。
旧市街エリアの絶対外せない観光スポット
