世界遺産の基礎知識5-関係する条約【世界遺産検定】

2023年11月25日

 

世界遺産の基礎知識5-関係する条約【世界遺産検定を受検する方は必須】

世界遺産の基礎知識についてまとめます。世界遺産という言葉は聞いたことあるけど、世界遺産とは何を目的にどのような基準で登録されるのか、確認していきましょう。世界遺産検定を受検する方は、試験全体の20~25%を占める重要なパートとなります。

アテネ憲章

アテネ憲章は、1931年にギリシャのアテネで開催された国際連合に関する会議で採択された文書です。この会議は、第二次世界大戦中に連合国として協力する国々の代表者によって開催されました。アテネ憲章は、連合国が共同して戦争の勝利後に構築するべき国際秩序についての基本的な原則を定めています。

アテネ憲章は以下の4つの主要な原則を採用しました。

1.平和の維持と安全保障: 国際連合は、戦後も平和を維持し、安全保障を確保するための手段を講じることが期待されました。

2.国際協力と経済的な進展: 国際連合は、国家間の協力を促進し、経済的な進展を推進することを目的としていました。これは、戦後の復興と発展に向けた共同の努力を含んでいます。

3.人権と基本的自由の尊重: アテネ憲章は、全ての人々が基本的な人権と自由を享受できるようにすることを重視しました。これには、差別のない権利、言論・信仰の自由、労働者の権利などが含まれます。

4.国際法の尊重と発展: 国際連合は、国際法の尊重と発展を奨励し、国家間の紛争の平和的な解決を促進することを目指しました。

アテネ憲章は国際連合の前身となり、その後の国際連合憲章の起草に影響を与えました。国際連合は、1945年にサンフランシスコで開催された国際連合憲章の採択に続いて正式に設立されました。







ヴェネツィア憲章

ヴェネツィア憲章は、1994年にイタリアのヴェネツィアで開催された会議にて採択された記念物や建造物、遺跡などの保存・修復に関する憲章です。

・記念物や建造物、遺跡などを保護すること
修復の際には建設当時の工法、素材を尊重すること
・推測による修復の禁止、修復の際には歴史的に誤解を与えないよう修復箇所を明らかにすること

1931年アテネ憲章の「文化遺産を尊重し保護・修復する
」という理念を尊重しつつも、修復方法の考え方が決定的に異なっている。

修復にあたって科学的かつ考古学・歴史的な検証が必要で、オリジナルの材料や色彩、建築環境などを可能な限り保存することが求められる。これが真正性の概念となる。

また、伝統的な技術が明らかに不適切である場合のみ、近代的な技術を用いることができる。

ハーグ条約

ハーグ条約は、1954年にオランダのハーグで採択された条約です。
国際紛争や内戦、民族紛争などから文化財を守るための基本方針を定めています。

文化財の不法な輸入、輸出及び所有権譲渡の禁止並びに防止の手段に関する条約

1970年に採択された条約で盗難された文化財の密貿易を禁止する条約です。

人間環境宣言(ストックホルム宣言)

人間環境宣言は、1972年にスウェーデンのストックホルムで採択された宣言で、開発問題と環境保全について、取り組み原則をまとめたものです。
自然環境の保護・保全が人類の福祉や経済発展に重要であることを謳っています。

公的または私的の工事によって危機にさらされる文化財の保存に関する勧告

ヌビアの遺跡群の救済活動を受けて、1968年に採択された勧告です。
社会的・経済的な発展による変化の調和を図りながら保護することが各国の義務として求めています。

歴史的都市景観の保護に関する宣言

2005年に世界遺産と現代建築に関するウィーン覚書(ウィーン・メモランダム)が採択されたことを受けて「歴史的都市景観の保護に関する宣言」が採択された。

歴史的都市景観の概念を保護計画に含むことが推奨されている。

水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約(ラムサール条約)

1971年にイランのラムサールで採択された条約で、水鳥の生息地を保全するために湿地の生態系と生物多様性を保護するための計画を立てることが定められている。

世界遺産におけるボン宣言

2015年に採択された宣言で、IS(イスラム国)や武装集団による遺産の破壊を非難するとともに、国際社会の協力を呼び掛けたもの。

世界遺産条約履行に関する戦略的行動計画

2011年に採択された行動計画で、主に以下の6つが目標として定められている。
1.世界遺産の顕著な普遍的価値の維持
2.世界遺産リストの信頼性向上
3.環境・社会・経済的な要求を考慮した世界遺産の保護・保全
4.世界遺産のブランド力の向上
5.世界遺産委員会の行動力強化
6.世界遺産条約の決議の公開と実行

世界遺産にかかる重要な出来事(年代別まとめ)

世界遺産検定では、重要な出来事を年代順に並べ替える問題が出題されます。そのため、どのような順番でどういった条約が採択されたのかを覚えておきましょう。

年号 出来事(条約の採択、組織の設立等) 備考
1931 アテネ憲章採択  
1945 ユネスコ憲章採択  
1948 IUCN設立 自然保護
1954 ハーグ条約採択 文化財保護
1959 ICCROM設立  
1960 ヌビアの遺跡群の救済キャンペーン  
1964 ヴェネツィア憲章採択  
1965 ICOMOS設立  
1971 MBA計画  
1971 ラムサール条約 水鳥の生息地保護
1972 人間環境宣言 ストックホルム宣言
1972 世界遺産条約採択  
1978 最初の世界遺産12件の認定  
1992 日本が世界遺産条約批准  
1992 文化的景観の採択  
1994 グローバル・ストラテジの採択  
1994 奈良文書の採択  
2002 4つのC(ブタペスト宣言)  
2003 無形文化遺産の採択  
2005 バッファーゾーンに関する作業指針の改定  
2007 5つのC ニュージーランド
2011 世界遺産条約履行に関する戦略的行動計画(2012-2022)  
2012 京都ビジョン  
2015 ボン宣言  

まとめ

・アテネ憲章は記念物や建造物、遺跡などの保存・修復に関する基本的な考え方。
ヴェネツィア憲章は修復の際には建設当時の工法、素材を尊重するが謳われている。
・ハーグ条約は、国際紛争や内戦、民族紛争などから文化財を守るための基本方針を定めている。
・歴史的都市景観の保護に関する宣言は、歴史的都市景観の概念を保護計画に含むことが推奨されている。

・ラムサール条約は、水鳥の生息地を保全するために湿地の生態系と生物多様性を保護するための計画を立てることが求められる。

世界遺産に興味を持たれた方は、世界遺産検定に挑戦してみてはいかがでしょうか。
世界遺産検定公式HP