世界遺産の基礎知識6-世界遺産リスト記載までの流れ【世界遺産検定】
世界遺産の基礎知識6-世界遺産リスト記載までの流れ【世界遺産検定を受検する方は必須】
世界遺産の基礎知識についてまとめます。世界遺産という言葉は聞いたことあるけど、世界遺産とは何を目的にどのような基準で登録されるのか、確認していきましょう。世界遺産検定を受検する方は、試験全体の20~25%を占める重要なパートとなります。
世界遺産リスト記載までの流れ(概要)
世界遺産と観光
世界遺産と観光には、相反する2つの側面がある。
1.正の側面
・世界遺産を資源とする観光は相互理解の有効な機会
・観光収入の遺産保護、インフラ整備、地域社会への分配は積極的に取り組むべき
2.負の側面
・オーバーツーリズム、遺産の破壊、汚染、住民の日常への支障等の課題
・上記の結果、遺産そのものの価値が観光化によって変質してしまう
負の側面を解決するため、世界遺産を永続的な観光資源として活用するための指針が示されている。
・1980年IUCN世界保全戦略「持続可能な開発」
・1992年リオデジャネイロで開催された国連環境開発会議で、「アジェンダ21」(観光を持続可能な開発に積極的に貢献できる経済分野)
・世界遺産委員会による「世界遺産と持続可能な観光計画」(観光資源として活用するための指針)
世界遺産の今後
世界遺産リストの不均衡・登録数が増えたことで世界遺産の冠の信頼性減少、環境破壊、遺産破壊、都市開発、過度の観光化などへの対応が求められる。
世界遺産を守ることは、自分の属する文化や自然を守り、価値を高めることにつながる。
・「点」で保護してきた遺産を周辺の景観も含んだ「面」で保護する施策
・バッファー・ゾーンを超える一帯を含めて評価する「遺産影響評価」
まとめ
1.世界遺産リスト記載までの流れ
・締約国は世界遺産センターの協力のもと暫定リストを作成(英語かフランス語)する。
・世界遺産センターは暫定リストを関係機関に伝達し、世界遺産センターのサイトで公開する。
・暫定リストに載っていない遺産は推薦が不可となる。
・2月1日までセンターに推薦書提出(前年9月30日まで草案を提出しコメント得ることも可)する。
(2月1日〆が多いが、登録遺産の状況報告書は12月1日〆(2014年決定))
・推薦書を世界遺産センターに提出してから登録まで1年半ほどの期間がかかる。
・日本の場合は9月頃に関係省庁連絡会議で推薦遺産を決定し、1月に推薦書を閣議了解する。
2.アップストリーム・プロセスとプレリミナリー・アセスメント(事前調査)
・アップストリーム・プロセスは任意であるが、2021年の世界遺産委員会で新たに導入が決まったプレリミナリー・アセスメント(事前調査)は2027年に推薦する遺産からは義務となる。
・日本で初めてプレリミナリー・アセスメントを用いて推薦するのが「彦根城」
3.世界遺産登録の流れ
・2023年7月からはアメリカもユネスコに復帰し、分担金を支払う。
世界遺産に興味を持たれた方は、世界遺産検定に挑戦してみてはいかがでしょうか。
世界遺産検定公式HP