2026年、数年にわたる沈黙を破り、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の観光が本格的な再開の時を迎えました。特に、平壌国際マラソンへの日本人参加解禁などは、大きな転換点として注目を集めています。
平壌へのアクセスには空路(高麗航空)も存在しますが、旅慣れた者が好んで選ぶのは「鉄道」による陸路入国です。高度数千メートルを一気に飛び越える飛行機に対し、鉄道は国境を越える瞬間の緊張感、移り変わる農村の土の匂い、そして窓越しに見える人々の「生きた日常」を肌で感じさせてくれます。効率を捨ててあえて選ぶ「不便な陸路」にこそ、この国の素顔に迫る鍵が隠されています。
丹東での準備:鴨緑江を臨む国境の街の熱気。手続きと心構え。
旅の始点は、中国遼寧省の国境都市・丹東(たんとう)です。鴨緑江(おうりょくこう)を挟んで対岸に北朝鮮の街・新義州を臨むこの場所は、2026年現在も中朝貿易の最大拠点として独自の活気を放っています。
- 丹東駅の風景: 駅前には巨大な毛沢東像が立ち、北朝鮮のバッジを胸につけたビジネスマンや、大量の荷物を段ボールに詰めた帰国者たちが並びます。
- ビザの再確認: 日本人旅行者の場合、旅行代理店が発行した「観光証(別紙ビザ)」をパスポートと共に携行します。
- 心構え: ここから先は「撮影禁止エリア」が頻繁に現れます。不用意な撮影は自分だけでなくガイドの責任問題に発展するため、丹東の街でその緊張感をあらかじめインストールしておく必要があります。
国境越えの儀式:中朝友誼橋を渡り、新義州での厳格な入国審査。
丹東駅から出発した列車は、すぐに「中朝友誼橋」へと差し掛かります。隣には、朝鮮戦争時に爆撃された「鴨緑江断橋」の遺構が並走し、歴史の重みが視覚的に迫ってきます。
橋を渡りきると、列車は最初の停車駅「新義州(シニジュ)駅」に到着します。ここで、世界で最も厳格とも言われる入国審査が行われます。
- デジタル検閲: スマートフォンやノートPCの中身(写真、動画、電子書籍)がチェックされることがあります。特に韓国のコンテンツや宗教関連、政治批判的なデータは厳禁です。
- 2026年の変化: 以前に比べ、タブレット等の電子機器には寛容になりつつありますが、審査官が車内に乗り込み、乗客一人一人の荷物を数時間かけて検査する光景は、今もこの国特有の「洗礼」として健在です。
車窓の旅(メイン):平壌まで続く220km。農村風景、食堂車での大同江ビール、現地の人々との交流。
新義州での審査を終えると、列車はいよいよ平壌へ向けて動き出します。約5〜7時間に及ぶこの移動こそが、鉄道旅のハイライトです。
- 流れる「日常」: 窓の外には、手作業で田畑を耕す農夫、自転車で砂利道を走る人々、そして金日成・金正日両氏の肖像画が掲げられた小さな駅舎が次々と現れます。これは、案内された場所しか見られない平壌市内観光では決して得られない「飾らない風景」です。
- 食堂車のひととき: 揺れる車内で味わう「大同江(テドンガン)ビール」とキムチ、そして名物の平壌冷麺は格別です。
- 車内交流: 同じコンパートメントになった現地の人々と、ジェスチャーを交えて言葉を交わす機会があるかもしれません。彼らもまた、異国から来た旅人に静かな好奇心を抱いています。
平壌・都市の貌:金日成広場から地下鉄まで、主要スポットの解説。
夕刻、列車が平壌駅に到着すると、そこは異世界の中心地です。
- 金日成広場: 国家行事の舞台となる広大な空間。対岸には「主体思想塔」がそびえ立ち、完璧に整備された都市計画を目の当たりにします。
- 平壌地下鉄: 地下100メートルに位置する豪華な装飾の駅舎。2026年現在は、モダンな新型車両が導入されており、市民の足としての活気が感じられます。
- 万寿台(マンスデ)大記念碑: 巨大な二尊像が立つ聖地。ここでは敬意を払った行動が求められます。
2026年の旅行実務:費用、ビザ、持ち込み制限、ネット環境。
北朝鮮旅行は、個人での自由旅行が認められておらず、すべて政府認可の旅行代理店を通じたパッケージツアーとなります。
- 費用: 丹東発着の3泊4日標準コースで、約15万〜20万円程度。
- ビザ: 代理店が代行申請します。パスポートに直接貼らない「別紙ビザ」が一般的です。
- 持ち込み制限: 望遠レンズ(200mm以上)やGPS機器は制限される可能性があります。
- ネット環境: 旅行者向けのSIMカードを購入しない限り、滞在中は完全なオフラインとなります。ホテルのWi-Fiも一般的ではありません。
結び:鉄道の旅が教えてくれる、報道の裏側にある「人々の生活」。
北朝鮮鉄道旅行は、単なる「特殊な観光」ではありません。ガタゴトと揺れる列車の中で、窓の外を流れる名もなき村々を眺めていると、そこには政治やニュースのフィルターを通さない、私たちと同じ「人々の生活」があることに気づかされます。2026年、変化し続けるこの国を、あえて地を這うようなスピードで旅すること。それは、あなたの価値観を根底から揺さぶる体験になるはずです。
よくある質問


日本人は今、本当に行けるのですか?
2026年現在、特定のツアーを通じての入国は再開されています。ただし、日本政府による渡航自粛勧告が出ているため、自己責任と最新情報の確認が必須です。
スマホのGPSをオンにしても大丈夫ですか?
入国時に機内モードに設定するよう指示されます。意図的なGPS利用や地図アプリの使用は疑いを招く可能性があるため、控えましょう。
お土産は何がおすすめですか?
平壌限定の切手、高麗人参製品、北朝鮮デザインのバッジなどが人気です。
海外ツアー
2.航空券
早割はこちら!<エアトリ>
3.ホテル
【Trip.com】旅行をもっとお得に!
4.アクティビティ
現地と直接つながる【Hello Activity】
5.通信機器
海外旅行者向けeSIMなら VOYAGEESIM
6.スーツケース



