日本を代表する霊峰、富士山。その壮麗な姿は、古くから人々の信仰の対象であり、数々の芸術作品の源泉となってきました。この記事では、世界文化遺産に登録された富士山を深く味わうための旅行ガイドをご紹介します。

富士山の魅力:信仰と芸術のシンボル

富士山は、ただの山ではありません。信仰の対象として、人々は畏敬の念を抱き、修験道の修行地としました。また、葛飾北斎の「冨嶽三十六景」に代表されるように、数々の芸術作品の題材となり、日本の文化に大きな影響を与えてきました。まずはこの歴史と文化に触れることで、富士山が持つ本質的な魅力を感じてみましょう。
富士登山:ルートごとの特徴と準備
富士山は、7月上旬〜9月上旬の開山期間中に登山が可能です。4つの主要な登山ルートがあり、それぞれ特徴が異なります。
ルートごとの特徴
ルートや個人の体力、休憩時間によって所要時間は変動しますので、あくまで目安としてお考えください。御殿場ルートは距離が長く、下りも時間がかかる傾向にあります。
また、須走ルートは「砂走り」と呼ばれる場所で一気に駆け下りられるため、下り時間が比較的短くなっています。
ルート名 | 特徴 | 難易度 | 所要時間(登り/下り) |
吉田ルート | 最も登山者が多く、山小屋や救護所が充実。初心者向け。 | 初級 | 6時間/4時間 |
須走ルート | 登山者が比較的少なく、自然が豊か。 | 中級 | 6時間/3時間30分 |
御殿場ルート | 距離が長く標高差も大きいため、上級者向け。 | 上級 | 7時間/5時間 |
富士宮ルート | 標高が高く、最短ルート。山小屋も多い。 | 中級 | 5時間/4時間 |

2024年から 山小屋宿泊を伴わない夜間の登山は禁止となっています。安全に注意してください。また詳細は、富士山登山オフィシャルサイトでご確認ください
登山を計画する上での注意点
登山を計画する上での注意点を以下にまとめます。
事前準備と情報収集
- 登山計画の作成: どの山に、どのルートで登るか、所要時間、宿泊場所などを明確にした登山計画書を作成しましょう。家族や友人に計画を共有することも重要です。
- 情報収集: 登山口のアクセス情報、駐車場の有無、最新の登山道状況(通行止め、積雪など)、山小屋の営業状況を事前に確認しましょう。
- 天候確認: 登山直前だけでなく、数日前から天気予報をチェックし、悪天候が予想される場合は無理をせず中止する勇気を持ちましょう。山の天気は変わりやすいので、最新の情報を常に把握することが大切です。



吉田ルートの通行料は、以下のリンクからご購入ください。
装備と持ち物
- 登山靴: 足首を保護し、滑りにくい登山靴を選びましょう。
- 服装: 体温調節ができるよう、重ね着(レイヤリング)を基本とします。吸湿速乾性のインナー、保温性のあるミドルウェア、防水・防風性の高いアウターが必要です。
- 雨具: 上下セパレートタイプで、防水・透湿性に優れたものを用意しましょう。
- ザック: 荷物の量に合ったサイズのザックを選び、パッキングの練習をしておきましょう。
- ヘッドライト: 早朝や夜間の行動、緊急時に備えて必ず持参しましょう。
- 地図とコンパス(またはGPS): 携帯電話の電波が届かない場所でも使えるように準備しておきましょう。
- 非常食と水分: 予定以上の時間がかかった場合に備え、非常食を用意します。水分は多めに持参しましょう。
- その他: 救急セット、携帯電話(予備バッテリー)、熊鈴、行動食、ゴミ袋など。




体調管理と安全意識
- 体調管理: 登山前日は十分な睡眠をとり、体調を整えましょう。少しでも体調に不安がある場合は中止しましょう。
- 無理をしない: 自分の体力や経験を過信せず、休憩をこまめに取りながら、自分のペースで登りましょう。
- 単独登山は避ける: できるだけ複数人で登山し、お互いの安全を確認し合いましょう。
- 登山届の提出: 登山計画書を最寄りの警察署や登山口にあるポストに提出しましょう。これにより、万が一の遭難時に捜索がスムーズになります。
登山スケジュールのモデルプラン(吉田ルート1泊2日)
1日目:
- 13:00 富士スバルライン五合目到着、高地順応。
- 15:00 登山開始。ゆっくりと景色を楽しみながら六合目を通過。
- 18:00 七合目の山小屋に到着。夕食をとり、早めに就寝。
2日目:
- 01:00 起床・出発。ヘッドライトを頼りに八合目を目指す。
- 04:00 頂上付近に到着。ご来光を待つ。
- 04:30 ご来光。感動的な日の出を体験。
- 05:30 お鉢巡り(山頂の火口を一周)や、下山準備。
- 08:00 下山開始。下山道は登り道とは異なります。
- 12:00 五合目に到着。



以下、ツアーで行くのもおすすめです。
<登山中級B(縦走)>『富士山山頂に宿泊 富士山縦走・お鉢めぐり 3日間』【上野・新宿出発】
登山しない人でも楽しめる!世界遺産構成資産巡り


登山をしなくても楽しめる、富士山の世界遺産構成資産巡りについてご紹介します。富士山の世界遺産は、山そのものだけでなく、信仰と芸術の歴史を伝える25の資産で構成されています。その中から、特にアクセスしやすく、美しい景色や文化に触れられるスポットを厳選しました。
富士山本宮浅間大社(静岡県富士宮市)
全国に1300社以上ある浅間神社の総本山で、富士山の八合目以上をご神体としています。境内は清らかで荘厳な雰囲気に満ちており、本殿や拝殿は国の重要文化財に指定されています。
- 見どころ: 湧玉池(わくたまいけ)は、富士山の雪解け水が湧き出す神秘的な場所です。澄んだ水面が美しく、散策するだけでも心が洗われます。
- アクセス: JR富士宮駅から徒歩約10分。
白糸の滝(静岡県富士宮市)
富士山の雪解け水が流れ落ちる、幅200メートル、高さ20メートルの壮大な滝です。絹糸のように流れ落ちる様子からその名がつけられました。国の天然記念物にも指定されており、滝の音と清涼な空気に癒されます。
- 見どころ: 滝の近くまで遊歩道が整備されており、間近でその迫力を感じることができます。
- アクセス: JR富士宮駅からバスで約30分。
三保松原(静岡県静岡市)
駿河湾に面した約5万本の松が生い茂る景勝地です。ここから見る富士山の姿は、葛飾北斎や歌川広重の浮世絵にも描かれ、芸術の源泉として知られています。
- 見どころ: 美しい松林越しに望む富士山と、青い海、白い波が織りなす絶景は必見です。羽衣の松と呼ばれる松も有名で、伝説に思いを馳せることができます。
- アクセス: JR清水駅からバスで約25分。
忍野八海(山梨県忍野村)
富士山の伏流水を水源とする8つの湧水池の総称です。透き通った水面には、美しい富士山の姿が映り込みます。国の天然記念物であり、新富岳百景の一つにも選ばれています。
- 見どころ: 透明度の高い池の中を泳ぐ魚や、水草が神秘的な光景を作り出しています。池を巡りながら散策を楽しめます。
- アクセス: 富士急行線富士山駅からバスで約20分。
これらのスポットを訪れることで、富士山の自然の美しさだけでなく、その背景にある深い歴史や文化を感じることができます。登山とはまた違った形で、富士山の魅力を満喫してみてはいかがでしょうか。
旅の計画とアクセス


富士山周辺の旅行を計画する上で役立つ、費用やアクセス、宿泊に関する情報をまとめました。
費用
- 1泊2日の旅行の場合: 交通費、宿泊費、食費を含めて4万円から7万円程度が目安です。
- シーズンによる変動: 登山シーズンや夏休みなどの繁忙期は、宿泊費や交通費が高くなる傾向があります。
アクセス
富士山周辺へのアクセスは、飛行機、新幹線、車など、出発地によって最適な方法が異なります。
- 飛行機:
- 富士山静岡空港や、東京国際空港(羽田)が利用できます。
- 空港からはレンタカーを借りて移動するのが便利です。
- 新幹線:
- 東海道新幹線の新富士駅や三島駅が主要な拠点となります。
- 新富士駅や三島駅からは、富士山周辺各地へ向かう路線バスやレンタカーを利用できます。
- 車:
- 東名高速道路や中央自動車道を利用してアクセスします。
- 登山シーズンは、富士スバルラインや富士あざみラインなどの山岳道路が大変混雑するため、余裕をもった計画が必要です。
世界遺産の価値


富士山‐信仰の対象と芸術の源泉‐は、静岡県と山梨県にまたがる日本最高峰の山です。
概要
- 登録基準(iii)(iv)が適用されている。
- 富士山域を中心に25の構成資産が登録された。
- 修行や巡礼で霊力を獲得し「擬死再生」の文化的伝統(儀礼的象徴的な死と誕生・再生)が育まれた。
- 19世紀の葛飾北斎、歌川広重の浮世絵は、海外にも影響を及ぼした。
<保全上の課題>
2013年世界遺産委員会では「文化的景観の手法を反映した全体構想(ヴィジョン)」「来訪者に対する対策」「登山道の保全計画」「情報提供戦略」「危機管理戦略」等の作成、提出が求められた。2016年、2019年に保全状況の報告を行った。
歴史
- 噴火を繰り返す神秘的な山として「遥拝※」の対象、8世紀以前から遥拝の場所に神社建立した。
- 8世紀末、火口に鎮座する神を「浅間大神」として祭り、富士山そのものを神聖視する信仰した。
- 806年に天皇の名で富士山本宮浅間大社の前身とされる神社が南麓に建立された。
- 865年に河口浅間神社の前身とされる神社が北麓に建立された。
- 11世紀に火山活動が休止期に入り、山岳信仰、密教、道教が融合して修験道が隆盛、「登拝」も行われた。
- 登拝の起点の登山口には、新たな神社が建立(後に須山浅間神社、冨士浅間神社)された。
- 16~17世紀に長谷川角行は、人穴に籠もり、五湖や白糸の滝で「水垢離」などの修行を行った。
- のちに「富士講」と呼ばれる。
- 18世紀の後半、富士講は一般に流行し、本道の吉田口登山道の起点に、北口本宮冨士浅間神社の境内が整備された。
- 登山口では「御師」が宿泊、食事、巡礼路の案内、御師住宅の集落も形成された。
※離れた場所からその方宇賀邦向井参拝すること。
構成資産の概要
名称 | 概要 |
---|---|
人穴富士講遺跡 |
長谷川角行の修行入滅の風穴「人穴」中心の遺構、約230基の碑塔群、13c「浅間大神の御在所」とされ、「吾妻鏡」に霊的体験の記述が残る。 |
富士山本宮浅間大社 | 806年平城天皇が坂上田村麻呂に命じ浅間大神(木花之佐久夜毘売命)を祀る神社として創建、各地浅間神社の総本宮、山宮浅間神社から分祀、山頂に飛び地の境内地になっている。 |
山宮浅間神社 |
富士山本宮浅間大社の前身、境内に本殿はなく遥拝所があり古代祭祀の形式を示す。 |
北口本宮冨士浅間神社 |
1480年に「富士山」の鳥居が建立、16世紀に社殿整備、社殿の背後に登山門があり、吉田口登山道が続いている。江戸時代まで吉田の御師が宮司や禰宜を務めた。 |
吉田口登山道 |
北口本宮冨士浅間神社から山頂に至る登山道。18世紀以降、富士講の登山本道。 |
御師住宅 |
巡礼者の宿泊などを手配する御師の住宅。北口本宮冨士浅間神社の門前に集落形成、小佐野家住宅、旧外川家住宅の2つが登録された。 |
まとめ
富士山の世界遺産を巡る旅行ガイドについて、解説してきました。特に世界遺産のポイントを以下にまとめます。
<登山中級A>『いざ日本の頂きへチャレンジ! はじめての富士山 2日間』【上野・新宿出発】<登山中級B(縦走)>『富士山山頂に宿泊 富士山縦走・お鉢めぐり 3日間』【上野・新宿出発】
・富士山域を中心に25の構成資産が登録された。
・修行や巡礼で霊力を獲得し「擬死再生」の文化的伝統(儀礼的象徴的な死と誕生・再生)が育まれた
・19世紀の葛飾北斎、歌川広重の浮世絵は、海外にも影響を及ぼした。
旅行することで様々な経験が出来て、人生が豊かになることでしょう。思い立ったら、興味の沸く場所に足を運んでみてはいかがでしょうか。
世界遺産に興味を持たれた方は、世界遺産検定に挑戦してみてはいかがでしょうか。
世界遺産検定公式HP












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