小笠原諸島(下の地図の⑯)は美しい自然景観を備え、世界遺産(自然遺産)に登録されています。魅力的な小笠原諸島への行き方・費用・観光に必要な日数・ベストシーズン・世界遺産の内容について、解説いたします。旅行の計画に役立つことに役立ち、あなたの旅がより充実することを切に願っています。

小笠原諸島とは?:世界自然遺産の基礎知識と魅力

小笠原諸島は、東京の南東方向に約1,000キロメートル離れています。小笠原諸島は、独自の生態系を持ち、固有種が多く生息しています。2011年に世界自然遺産に登録されています。小笠原諸島が、世界遺産に登録された理由として、固有種の多様性、海洋生態系の豊かさ、地質学的価値などが挙げられています。
世界遺産の価値
- 1.概要
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- 登録基準(ix)が適用されている。
- 長期間隔絶した環境での進化や適応拡散、極めて高い固有種率(陸産貝類、維管束植物)を示している。(※適応拡散とは、起源をを同一にする生物群が、異なる環境に適応し、生物的または形態的に分化すること)
- 化石種と現生種との比較から進化系列や種の多様性の歴史的変遷を追える。
- 本土から1,000km離れ、大陸と一度も陸続きになったことがない海洋島である。
- 聟島(むこじま)列島、父島列島、母島列島の3列島の小笠原諸島、南北の硫黄島、西之島等を含む30余りの島々の陸域(※父島母島の集落均衡、硫黄島、沖ノ鳥島、南鳥島は登録範囲外)が登録されている。
- 父島属島の南島周辺の一部海域(総面積79.39㎢)が登録されている。
- バッファーゾーンの代わりに東京湾まで続く「世界遺産管理エリア」を設定している。
- プレートの沈み込みで形成される「海洋性島弧(かいようせいとうこ)」に分類される。
⇔ガラパゴス諸島、ハワイ火山国立公園は、「火山島」である。
- 2.歴史
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- 1593年安土桃山時代の武士である小笠原貞頼により発見された。
- 1675年江戸幕府が調査、長らく無人だったが、1800年代に欧米捕鯨船が立ち寄るようになる。
- 1876年国際的に日本の領土と認められる。
- 小笠原諸島の英語名「ボニン・アイランズ(Bonin islands)」は日本語の無人島を語源としたとされる。
- 3.生態系
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独自の進化を遂げた生態系
- ある特定の種が全く分布せず、逆に限られた種の比率が高い特徴がある。
- 鳥類を除く、在来の爬虫類:オガサワラトカゲ、ミナミトリシマヤモリの2種のみである。
- 両生類:皆無である。
- 在来の哺乳類:オガサワラオオコウモリの1種のみである。
- 固有種、固有亜種は多く、昆虫の約25%、陸産貝類の94%が固有種である。
- 特に固有属のカタマイマイ属は種類が多く、同所的適応拡散や列島間における適応拡散を観察することができる。
- 維管束植物の在来種441種のうち161種が固有種である。
- ブナ・カシ・シイなどは皆無である。
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固有種と絶滅危惧種
- ザトウクジラ、マッコウクジラなど23種、全世界の海生のクジラ種の約3割に達する。
- ミナミバンドウイルカ、ハシナガイルカが見られる。
- 鳥類195種のうち14種が絶滅・準絶滅危惧種に指定されている。
- 陸鳥では固有種1種(メグロ)、固有亜種7種(オガサワラノスリ、オガサワラヒヨドリほか)が確認されている。
- 外来種問題:ノヤギ・ノブタは根絶、グリーンアノールの駆除課題がある。
- 固有種を守るため、「小笠原諸島世界自然遺産地域科学委員会」が中心となって管理計画を策定している。基本方針は大きく4つである。
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①優れた自然環境の保全
②外来種による影響の排除・回避
③人の暮らしと自然の調和
④順応的な保全・管理計画の実施
絶海の孤島:小笠原諸島の地理と歴史
東京から南へ約1,000km。大海原の先に浮かぶ小笠原諸島は、まさに「絶海の孤島」と呼ぶにふさわしい場所です。大陸と一度も陸続きになったことがない海洋島という特性から、独自の進化を遂げた生き物たちが息づいています。その地理的孤立性と独特の生態系が評価され、2011年には世界自然遺産に登録されました。
歴史を遡ると、無人島だった小笠原に初めて定住したのは19世紀の欧米人たち。その後、日本領となり、太平洋戦争では激戦地ともなりました。現在では平和な島として、その豊かな自然が多くの人を魅了しています。
「東洋のガラパゴス」と呼ばれる理由:固有種と生態系
小笠原諸島が「東洋のガラパゴス」と呼ばれるのは、ガラパゴス諸島と同様に、外界から隔絶された環境で固有種が独自の進化を遂げたためです。 例えば、「生きている化石」と呼ばれるカタツムリの仲間や、小笠原固有の植物、ここでしか見られない鳥類などが数多く生息しています。島の生態系は非常に繊細で、外来種の問題など、その保護には細心の注意が払われています。訪れる私たちも、この貴重な自然を守るためのルールやマナーを意識することが求められます。
父島・母島の基本情報と見どころ
小笠原諸島は大小30あまりの島々から成りますが、人が定住しているのは父島(ちちじま)と母島(ははじま)の2島のみです。
- 父島: 観光の拠点となる最大の島で、おがさわら丸の発着地でもあります。美しい砂浜、展望台、戦跡などが点在し、多くのアクティビティツアーもここから出発します。
- 母島: 父島からさらに南へ約50km、ははじま丸で約2時間の場所に位置します。より手つかずの自然が残り、静かで穏やかな時間を過ごしたい方におすすめです。
小笠原諸島へのアクセス:フェリー「おがさわら丸」徹底ガイド

東京から南へ約1,000km。絶海の孤島、世界自然遺産「小笠原諸島」へ行く唯一の定期航路が、東京港竹芝桟橋から運航するフェリー「おがさわら丸」です。片道約24時間という長時間の船旅は、小笠原の旅の始まりであり、終わりの特別な時間となります。
唯一の定期航路「おがさわら丸」とは
おがさわら丸は、小笠原諸島と本土を結ぶ生命線ともいえる重要な交通手段です。週に1便程度の運航で、約6日に一度、小笠原諸島父島と東京を行き来します。この「6日サイクル」が、小笠原旅行の日程を決める上で最も重要な要素となります。
運航頻度: 週に1便程度(東京発・父島着が約6日に一度、父島発・東京着が約6日に一度のサイクル)
所要時間: 片道約24時間
発着地: 東京港竹芝桟橋 ⇔ 小笠原諸島父島 二見港
父島
5日から7日に1回出航する定期便の「おがさわら丸」が、東京の竹芝桟橋から出航しています。
おがさわら丸はそのまま父島に3泊停泊し、出発から5日目の15時00分に父島を出港、翌15時00分に東京の竹芝桟橋に到着します。
したがって定期船を利用した小笠原への旅行は、基本的に5泊6日の期間が必要です。
詳細は小笠原海運のHPをご確認ください。
母島
父島~母島間は「ははじま丸」が運航しています。通常、おがさわら丸が到着した二見港から1時間後に出発します。母島への乗船券は、父島の「ははじま丸船客待合所」で購入が可能で、予約不可ですべて当日販売となっています。(現金のみ)
なお、母島から父島への乗船券は、母島の船客待合所で購入できます。(現金のみ)
詳細は小笠原海運のHPをご確認ください。
おがさわら丸の予約方法と運賃:早期予約が必須!
おがさわら丸の座席数には限りがあるため、特に観光シーズン(GW、夏休み、年末年始、春休みなど)は非常に混み合い、すぐに満席となります。希望する日程で旅を実現するためには、早期予約が不可欠です。
予約開始時期
- 通常、乗船日の2ヶ月前の同日午前9時から予約が開始されます。(例:8月15日乗船分は6月15日午前9時から)
- インターネット予約と電話予約があります。開始時刻と同時にアクセスが集中することが予想されます。
予約方法
- インターネット予約: 小笠原海運のHPからオンライン予約が可能です。座席の空き状況を確認しながらスムーズに予約できます。
- 電話予約: 小笠原海運予約センターに直接電話して予約します。
- 旅行会社経由: おがさわら丸と島内の宿泊・アクティビティがセットになったツアーを利用するのも一つの手です。旅行会社がまとめて手配してくれるため、手間を省けます。
運賃の目安と客室の種類
おがさわら丸には、様々な客室タイプがあり、運賃は客室の等級や時期(繁忙期、通常期)によって大きく異なります。ご自身の予算や快適さの好みに合わせて選びましょう。
- 特等(スイート): プライバシーが保たれた豪華な客室。専用シャワー・トイレ付き。
- 一等: 個室タイプ。ツインや和室などがあり、家族やグループに人気。
- 特二等寝台: カプセルホテル形式の寝台。プライベートな空間を確保しつつ、比較的リーズナブル。
- 二等寝台: 簡易的な寝台。カーテンなどで仕切られることが多く、一人旅にも利用しやすい。
- 二等和室: 大部屋の雑魚寝形式。最も安価だが、プライバシーはほとんどない。
運賃例(片道、通常期):
- 特等:約50,000円~
- 一等:約30,000円~
- 特二等寝台:約20,000円~
- 二等寝台:約15,000円~
- 二等和室:約10,000円~
旅費の大部分を占めるため、早めに予約し、希望の客室を確保することが節約にもつながります。
乗船から到着までの過ごし方:船内施設と注意点
約24時間の船旅は、退屈どころか、小笠原ならではの非日常を体験できる時間です。
- 船内施設:
- レストラン・軽食コーナー: 温かい食事や軽食、ドリンクを提供。
- 売店: お土産や日用品、船旅グッズなどを販売。
- シャワー室・大浴場: 長旅の疲れを癒せる清潔なシャワー室や大浴場(時間帯限定)があります。
- ラウンジ・展望デッキ: 船内から大海原を眺めたり、読書をしたり、リラックスできる空間。
- キッズルーム: 子供たちが遊べるスペース。
- フリースペース: 寝袋を持ち込んで寝泊まりする旅行者もいます(二等和室以外でも利用可)。
- 船内の過ごし方のヒント:
- デジタルデトックス: 洋上では携帯電話の電波が届かない時間が長いため、普段できない読書や思考の時間に充てるのも良いでしょう。一部の客室や共有スペースではWi-Fiが提供されている場合もありますが、期待しすぎない方が賢明です。
- 展望デッキで景色を楽しむ: 昼間は広い空と海の景色、夜は満天の星空(天候が良ければ)を楽しめます。東京湾の夜景も美しいです。
- 他の乗客との交流: 小笠原への旅という共通の目的を持つ人たちとの交流も、船旅の醍醐味の一つです。情報交換をしたり、旅の仲間を見つけたりするチャンスです。
- 就寝前の準備: 長時間航海のため、夜は静かに過ごしましょう。個室でない場合は、アイマスクや耳栓があると快適です。
- 到着時の「お見送り・お出迎え」: おがさわら丸が父島・二見港に到着する際、港には多くの島民が駆けつけ、旗を振って温かく迎えてくれます。出港時も同様に、多くの船が伴走してお見送りをしてくれる、小笠原ならではの感動的な光景です。この瞬間もぜひ船上から体験してください。
船酔い対策と快適な船旅のコツ
24時間の船旅と聞くと、船酔いが心配な方も多いでしょう。万全の準備で快適な船旅を楽しみましょう。
事前準備:
- 酔い止め薬の服用: 乗船の30分~1時間前に服用するのが効果的です。アネロンなど、効き目が長く持続するタイプがおすすめです。
- 体調管理: 前日は十分な睡眠を取り、体調を整えておきましょう。寝不足は船酔いを悪化させます。
- 服装: 締め付けの少ないゆったりとした服装を選びましょう。
- 食事: 乗船前は消化の良いものを軽めに摂り、食べ過ぎは避けましょう。
船内での過ごし方:
- 揺れの少ない場所を選ぶ: 船の中心部や、水に近い下層階が揺れにくい傾向があります。客室を選ぶ際に参考にしましょう。
- 遠くの水平線を眺める: 船酔いの症状が出始めたら、遠くの景色や水平線をじっと見つめることで、平衡感覚の混乱を抑える効果があります。
- 横になる: 無理せず横になり、目を閉じて休むのが最も効果的です。
- 風に当たる: 新鮮な空気を吸うために、デッキに出て風に当たるのも良いでしょう。
- スマホや本は控える: 揺れる船内で画面や活字を長時間見つめるのは、船酔いを誘発する原因となります。
万が一に備えて:
- エチケット袋: 船酔いがひどくなった場合に備え、ビニール袋などを手元に用意しておくと安心です。
- 水分補給: 船酔いすると脱水症状になることもあるため、こまめに水分を摂りましょう。
おがさわら丸での船旅は、小笠原の壮大な自然に触れるための、特別な序章です。ぜひ、このユニークな移動体験も小笠原の旅の一部として存分に楽しんでください。
小笠原諸島での宿泊と食事:旅の拠点とご当地グルメ
小笠原諸島での滞在は、おがさわら丸の運航サイクルに合わせて約5泊6日(船中2泊、島内3泊)が一般的です。この貴重な島での時間を最大限に楽しむために、宿泊施設の選び方と、ここでしか味わえないグルメの情報を押さえておきましょう。
父島・母島の宿泊施設:タイプ別(民宿、ホテル、ゲストハウス)の選び方
小笠原諸島で観光客が宿泊できるのは、おがさわら丸が発着する父島、または父島からさらに船で向かう母島です。それぞれの島で、旅のスタイルや予算に合わせた多様な宿泊施設があります。
- 民宿(主流):
- 特徴: 島民が運営していることが多く、アットホームな雰囲気が最大の魅力です。多くの場合、夕食・朝食付きのプランがあり、島の食材を使った手作りの家庭料理を味わえます。オーナーや他の宿泊客との交流が生まれやすく、島ならではの温かいおもてなしを体験できます。
- メリット: 現地の情報を直接聞ける、島民との交流が楽しめる、家庭料理が美味しい。
- デメリット: 施設が比較的新しくない場合がある、プライベート空間が限られることも。
- おすすめする人: 島の人との交流を重視する方、温かい雰囲気が好きな方、小笠原の暮らしに触れたい方。
- ホテル・ペンション:
- 特徴: 民宿に比べて、近代的な設備やプライベートな空間が確保されています。洋室が中心で、カップルやファミリー層に人気です。食事付きプランや素泊まりなど、選択肢が広がります。
- メリット: プライバシーが保たれる、設備が整っている、ホテルらしいサービスを受けられる。
- デメリット: 民宿より価格が高め、島民との交流は少なめ。
- おすすめする人: プライバシーを重視する方、快適な設備を求める方、ビジネス利用など。
- ゲストハウス・ユースホステル:
- 特徴: 比較的リーズナブルな価格で宿泊できるドミトリー(相部屋)形式が中心です。共用スペースが充実しており、世界中から集まる旅行者との交流が盛んです。自炊設備がある場所も多く、長期滞在や予算を抑えたい方に人気です。
- メリット: 格安で宿泊できる、他の旅行者との交流が盛ん、情報交換ができる。
- デメリット: プライバシーがほとんどない、設備がシンプル。
- おすすめする人: 一人旅の方、バックパッカー、予算を抑えたい方、国際的な交流を楽しみたい方。
おがさわら丸同様、小笠原の宿泊施設も数が限られており、特に繁忙期はすぐに満室になります。フェリーの予約と同時に、宿の予約も済ませるのが鉄則です。 また、キャンセルポリシーや、食事の有無、送迎の有無なども事前に確認しておきましょう。
小笠原の新鮮な海の幸:島寿司、アカバなどご当地グルメ
四方を黒潮が流れる豊かな海に囲まれた小笠原諸島では、新鮮な海の幸が豊富に水揚げされます。ここでしか味わえない、まさに「ご当地グルメ」をぜひ堪能してください。
- 島寿司:
- 特徴: 小笠原の代表的な郷土料理。白身魚(カジキ、マグロ、シイラなど)を醤油漬けにして握ったお寿司で、シャリは通常の酢飯ではなく、少し甘めに仕上げられています。最大の特徴は、ワサビの代わりに練り辛子を使う点。醤油漬けの魚と辛子の組み合わせが絶妙で、独特の甘辛い風味を楽しめます。
- 味わえる場所: 島内の寿司店や居酒屋、一部の民宿の夕食で提供されます。
- アカバ料理:
- 特徴: 「アカバ」は、ハタ科の高級魚で、小笠原の近海でしか獲れない希少な魚です。引き締まった白身は上品な旨味があり、刺身はもちろん、煮付け、唐揚げ、味噌汁など、様々な料理で楽しめます。
- 味わえる場所: 島内の多くの居酒屋や食堂で提供されます。
- カメ料理(ウミガメ料理):
- 特徴: 小笠原では、伝統的にウミガメが食されてきました(漁獲には厳重な規制があり、許可された漁師のみが漁獲できます)。刺身、煮込み、唐揚げなど、様々な調理法があります。刺身は独特の甘みと旨味があり、煮込みはコラーゲンが豊富で滋養強壮に良いとされています。
- 注意点: 希少性や環境保護の観点から、提供している飲食店は限られています。提供している場合でも、賛否両論ある料理であることを理解しておきましょう。
- その他、島グルメ:
- 島レモン: 小笠原特産の、大きく香りの良いレモン。レモネードや、魚料理の風味付けに。
- パッションフルーツ: 酸味と甘みが絶妙なトロピカルフルーツ。ジュースやデザートに。
- 母島ラム: 母島で作られている貴重なラム酒。お土産にも人気です。
- 郷土料理: マグロの胃袋を使った「胃袋炒め」や、魚のつみれ汁「カツオ出汁のすまし汁」など、独特の食材を活かした料理があります。
夜の楽しみ方:居酒屋と島民との交流
小笠原の夜は、都会のような派手な繁華街はありませんが、その分、島ならではの温かい雰囲気に包まれます。
- 居酒屋・バー巡り: 父島の中心部には、数軒の居酒屋やバーが点在しています。昼間のアクティビティの疲れを癒しながら、島で水揚げされた新鮮な魚介や、島の食材を使った料理に舌鼓を打ちましょう。
- 島民との交流: 居酒屋では、地元の人々やリピーターの観光客が、カウンター越しに気さくに話しかけてくれることもあります。島の暮らしや、おすすめのアクティビティ、とっておきの話など、地元の人ならではの情報を聞くことができます。こうした偶然の出会いや交流も、小笠原の旅を一層思い出深いものにしてくれるでしょう。
- 星空観察: 居酒屋で食事を楽しんだ後は、少し足を伸ばして光の少ない場所へ行けば、息をのむような満天の星空が広がります。光害がほとんどない小笠原の夜空は、都会では決して見ることのできない感動を与えてくれます。
小笠原諸島での宿泊と食事は、単なる機能ではなく、その土地の文化や人々の暮らしに触れる貴重な体験となります。早めの計画で、理想の滞在を実現してください。
おすすめの宿
小笠原旅行の計画を立てる:ベストシーズンと持ち物
東京から約1,000km離れた絶海の孤島、小笠原諸島への旅は、事前の計画が成功の鍵を握ります。特に、何を目的に旅をするのかによって「ベストシーズン」は大きく異なり、また24時間もの船旅を伴うため「持ち物」も特殊な準備が必要です。
目的別ベストシーズン:イルカ・クジラ、海遊び、森歩き
小笠原諸島の気候は亜熱帯性で年間を通して温暖ですが、旅の目的によって最適な時期が異なります。
- ホエールウォッチング(ザトウクジラ):
- ベストシーズン: 2月~4月頃
- 特徴: 繁殖と子育てのためにザトウクジラが小笠原の海にやってくる時期です。巨大なクジラが海面に飛び上がるブリーチングや、尾びれで水面を叩くテールスラップなど、大迫力の行動を間近で見られるチャンスが最も高まります。この時期は比較的気温が低めですが、透明度の高い海でのクジラとの出会いは格別です。
- ドルフィンスイム&海遊び(シュノーケリング、ダイビング、シーカヤックなど):
- ベストシーズン: 4月下旬~11月頃
- 特徴: 海の透明度が高く、海水温も暖かいため、マリンアクティビティを存分に楽しめる時期です。特に夏(7月~9月)は海水温が30度近くまで上がり、最高の海遊びシーズンとなります。野生のイルカとのスイム体験は、この時期が最も快適に楽しめます。台風シーズン(8月下旬~10月)には注意が必要ですが、晴天時は強烈な日差しとなります。
- 森歩き・トレッキング、星空観察:
- ベストシーズン: 11月~3月頃
- 特徴: 気温が比較的穏やかで、森の中を歩くには快適な時期です。固有の植物や鳥類を観察しながら、島の自然をじっくりと堪能できます。また、空気が澄んでいるため、光害のない満天の星空を観察するのにも最適です。クジラと星空、両方を楽しみたい場合は、2月~3月がおすすめです。
【総合的なベストシーズン】 多くの小笠原ツアー会社がおすすめするのは、4月下旬~5月上旬(GW)と11月頃です。
GW: クジラのシーズン終盤と海開きの時期が重なり、両方のアクティビティが楽しめる可能性があります。
11月: 台風シーズンが終わり、海の透明度が高く、気温も穏やかで過ごしやすいです。クジラシーズン前のイルカウォッチングや森歩きが快適に楽しめます。
小笠原旅行の予算目安と節約術
小笠原旅行は、交通費が旅費の大きな割合を占めます。長期滞在になることも多いため、全体的な費用は一般的な国内旅行よりも高めになる傾向があります。
- 予算目安(5泊6日:船中2泊、島内3泊の場合):
- フェリー代: 往復で約4万円~15万円(客室の等級や時期によって大きく変動)
- 宿泊費: 1泊あたり約7,000円~2万円(民宿、ホテル、ゲストハウスによる)
- アクティビティ費用: 1回あたり約5,000円~1.5万円(ドルフィンスイム、ホエールウォッチングなど)
- 食費: 1日あたり約3,000円~5,000円(外食中心か自炊かによる)
- その他: 島内交通費、お土産代など。
- 合計: 全体で10万円~20万円以上が目安となります。
- 節約術:
- フェリーの等級を下げる: 最も安価な二等和室や二等寝台を選ぶことで、交通費を抑えられます。
- 宿泊はゲストハウスや素泊まりの民宿を利用: 食事を自炊できる施設を選ぶと食費も節約できます。
- 参加するアクティビティを厳選する: いくつかのアクティビティを体験したい場合は、優先順位を決めて数を絞りましょう。
- 旅行会社のツアーを利用: フェリー、宿泊、アクティビティがセットになったツアーは、個別に手配するよりも割安になることがあります。
乗船料金:往復5万円程度(2等利用時)
宿泊料金:1泊1万円×3泊=3万円(食事なし)
食事代:1食1,000円×3食×6日=1.8万円
アクティビティ:2万円~3万円
ドルフィンスイム(0.8万円)、ナイトツアー(0.4万円)、島内周遊(0.4万円)
合計:11.8万円~12.8万円
旅行手配や旅行の情報は、以下のページをご参照ください。
小笠原諸島の旅 – 株式会社ナショナルランド/小笠原諸島専門旅行会社
格安な国内ツアーならトラベルロード
おがまるパック│小笠原海運
小笠原村観光局
フェリー旅で役立つ持ち物リスト(船内&島内)
24時間の船旅と、亜熱帯の自然豊かな島での滞在に備え、特別な持ち物も考慮に入れる必要があります。
【船内用(おがさわら丸の船旅を快適に過ごすため)】
- 酔い止め薬(必須): 乗船30分~1時間前には服用しましょう。酔い止めバンドも有効です。
- リラックスできる服装: スウェットやルームウェアなど、ゆったりと過ごせる服装。
- 寝具: 船内の毛布は数に限りがあるため、ブランケットや寝袋、アイマスク、耳栓があると快適です。
- スリッパ・サンダル: 船内を快適に移動できます。
- 洗面用具: シャンプー、ボディソープ、タオルなど(船内のシャワーや大浴場を利用する場合)。
- 携帯食料・飲み物: 船内レストランはありますが、種類を増やしたい場合や、夜間の小腹満たしに。
- 暇つぶしグッズ: 本、雑誌、タブレット、ポータブルゲーム機など(電波が届かない時間帯が長いです)。
- 充電器・モバイルバッテリー: 船内のコンセントは限られている場合があります。
【島内用(小笠原の自然を楽しむため)】
- 水着・ラッシュガード: マリンアクティビティには必須。日焼け対策にも。
- マリンシューズ(必須): 岩場や珊瑚で足を切らないために非常に重要です。
- 日焼け止め、帽子、サングラス: 亜熱帯の強い日差しから肌や目を守ります。
- 虫よけスプレー・痒み止め: 特に森歩きや夕方以降には必須です。
- 速乾性の衣類: 海に入る機会が多いため、乾きやすい素材が便利です。
- トレッキングシューズ・運動靴: 森歩きやトレッキングをする場合。
- 防水バッグ・防水スマホケース: マリンアクティビティ時に貴重品やカメラを守ります。
- 懐中電灯: 夜間の移動や星空観察時に役立ちます。
- 常備薬、絆創膏など簡単な救急用品: 島の医療機関は限られています。
- エコバッグ: 島内での買い物やゴミの持ち帰りに。
- カメラ、防水カメラ: 小笠原の美しい景色や水中写真を残しましょう。
エコツーリズムと自然保護:旅のマナー
世界自然遺産である小笠原諸島では、貴重な自然を守るためのエコツーリズムが強く推奨されています。訪れる私たち一人ひとりが、以下のマナーを守ることが求められます。
- 指定された場所以外には立ち入らない: 希少な動植物の生息地や生態系を守るため。
- 動植物を持ち帰らない・持ち込まない: 島の固有種への影響や外来種の侵入を防ぐためです。特に、島を離れる際にも、靴底などに付着した種子がないか確認する「グリーンアメニティ」に協力しましょう。
- ゴミは必ず持ち帰る: 島内で出たゴミは、原則として全て持ち帰るか、適切に処理できる場所で捨てるようにしましょう。
- 野生動物に餌を与えない: 自然な生態系を維持し、人間に慣れさせないためです。
- ガイド付きツアーの活用: 小笠原では、多くのツアーで専門のガイドが同行します。彼らの指示に従うことで、より安全に、かつ自然に配慮した形でアクティビティを楽しめます。
これらの計画を立て、小笠原諸島でのかけがえのない体験を最大限に楽しんでください。
おすすめのアクティビティ

小笠原諸島でおすすめのアクティビティをいくつかご紹介します。
海のアクティビティ
・ホエールウォッチング: 冬から春にかけて、ザトウクジラやマッコウクジラが小笠原周辺にやってきます。船上から迫力あるクジラの姿を間近に見るのは感動的です。
【南島上陸半日ツアー】小笠原イチの絶景!東洋のガラパゴス・南島に上陸
・ドルフィンスイム&ウォッチング: 一年を通してイルカに出会えるチャンスがあります。一緒に泳いだり、船上から愛らしい姿を観察したりできます。
【小笠原の海満喫1日ツアー】南島への上陸、イルカ・クジラ探し、スノーケリングがすべてセット!
・シュノーケリング・ダイビング: 透明度の高い小笠原の海には、サンゴ礁や熱帯魚など、豊かな水中世界が広がっています。体験ダイビングやシュノーケリングツアーも豊富です。
【小笠原諸島・父島】ドルフィンスイム&ウォッチング半日ツアー|野生のイルカと泳ぐ!感動の半日ツアー★スノーケリング付き
・シーカヤック: 海上から小笠原の海岸線をゆっくりと楽しむことができます。洞窟探検ができるツアーもありますよ。
【小笠原】刻一刻と色彩の変わる夕凪の洋上をカヤッキング、サンセットプラン
・釣り: 大物狙いの本格的な釣りから、手軽な堤防釣りまで楽しめます。
陸のアクティビティ
・南島ツアー: 扇池やジョンビーチなど、独特の景観を持つ南島への上陸は人数制限があるため、ツアーへの参加が必須です。貴重な固有種も見られます。
【南島上陸半日ツアー】小笠原イチの絶景!東洋のガラパゴス・南島に上陸
・父島・母島トレッキング: 亜熱帯の植物が生い茂る山々を歩くトレッキングは、小笠原の自然を満喫できます。固有種の植物や野鳥を探しながらのハイキングもおすすめです。
【ハートロックトレッキング】世界遺産小笠原で絶景を目指して1日トレッキング!
・戦跡ツアー: 第二次世界大戦の史跡が残る場所を巡るツアーです。歴史を学び、平和について考える良い機会になります。
【小笠原・半日戦跡ツアー】自然の中に残る戦争の歴史をめぐる
・ナイトツアー: 夜の森を歩き、オガサワラオオコウモリなどの夜行性の生き物を観察したり、満点の星空を眺めたりできます。
【ナイトツアー】昼とは違う世界に出会える!夜行性の生き物を探しに夜の小笠原を探検しよう!
【スターウォッチングツアー】小笠原・日本一の星空を観察しよう!
まとめ
小笠原諸島への行き方・費用・観光に必要な日数・ベストシーズン・世界遺産の内容について、解説してきました。ポイントを以下にまとめます。
・小笠原諸島には空港がないため、船でしか行けない場所にある。
・定期船を利用した小笠原への旅行は、基本的に5泊6日の期間が必要
・旅行にかかる費用は、5泊6日で11万円~13万円(繁忙期を除く)程度がかかる。
・小笠原諸島は、独自の生態系を持ち、固有種が多く生息しています。
旅行することで様々な経験が出来て、人生が豊かになることでしょう。思い立ったら、興味の沸く場所に足を運んでみてはいかがでしょうか。
世界遺産に興味を持たれた方は、世界遺産検定に挑戦してみてはいかがでしょうか。
世界遺産検定公式HP






よくある質問
携帯電話の電波状況は?
父島や母島の集落内、主要な観光スポットでは携帯電話の電波は比較的良好ですが、少し離れた場所や電波の弱いキャリアの場合、圏外となることがあります。特に洋上では電波が届かないため、フェリー乗船中はデジタルデトックスの時間を楽しむと良いでしょう。Wi-Fi環境は宿や一部のカフェで利用できます。
クレジットカードは使える?
父島や母島の主要な宿泊施設や飲食店、商店ではクレジットカードが利用できる場所が増えていますが、小さな民宿や商店、ツアー会社の中には現金払いのみの場所も少なくありません。念のため、ある程度の現金を用意しておくことをおすすめします。島内にATMもありますが、事前に確認しておくと安心です。
レンタカーは必要?
父島では路線バスもありますが、本数が少ないため、効率よく島内を観光したい場合はレンタカーやレンタルバイク、レンタル自転車の利用が便利です。特にレンタカーは、坂道の多い島内を移動するのに適しています。ただし、数に限りがあるため、特に繁忙期は早めの予約が必要です。母島では、レンタカーの台数がさらに限られるため、宿泊施設からの送迎やタクシー、レンタルバイク・自転車の利用が主になります。
自然保護のためのルールと協力のお願い
小笠原諸島は、その貴重な自然が世界に認められた場所です。この豊かな生態系を守るために、観光客にもいくつかのルールと協力が求められます。
- グリーンアメニティ(外来種持ち込み防止)への協力: 島に到着する際、靴底や荷物に付着した植物の種子や昆虫などを除去する「グリーンアメニティ」への協力が求められます。これは、島固有の生態系を守るために非常に重要な取り組みです。
- 野生生物への配慮: イルカやクジラとの共存のため、ドルフィンスイムやホエールウォッチングの際には、ツアーガイドの指示に従い、適切な距離を保つなど、野生生物にストレスを与えないように配慮しましょう。
- ゴミは持ち帰る: 島内で出たゴミは、原則として全て持ち帰るか、適切に処理できる場所で捨てるようにしましょう。
- 国立公園特別保護地区への立ち入り制限: 許可された場所以外への立ち入りは厳しく制限されています。美しい自然を後世に残すために、ルールの遵守にご理解とご協力をお願いします。
2.航空券・バス






3.ホテル
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4.アクティビティ


現地と直接つながる【Hello Activity】




5.通信機器
6.スーツケース