はじめに
中国には多くの魅力的な世界遺産がありますが、今回注目するのは「黄龍」(上の地図⑨)です。本記事では、黄龍の概要と世界遺産としての価値について詳しくご紹介していきます。

黄龍の概要と世界遺産としての価値
黄龍(こうりゅう、Huanglong Scenic and Historic Interest Area)は、中国四川省北部のチベット族・チャン族自治州に位置する、極めて珍しいカルスト地形の景勝地です。九寨溝からは南に約100km離れた岷山山脈の東側に位置し、標高は3,000mから3,900mと非常に高く、その独特の自然美と生態系の豊かさで知られています。
黄龍という名前は、谷を流れる水中の石灰華(炭酸カルシウムの沈殿物)が太陽光に当たると黄金色に輝き、あたかも黄色の龍が山を昇っていくように見えることに由来すると言われています。
世界遺産としての基本情報
名称 | 黄龍 |
---|---|
登録年 | 1992年 |
登録基準 | (7):ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を包含するものであること。 |
「五彩の棚田」の形成と特徴
黄龍の最大の魅力は、まさにその名が示す「五彩の棚田」です。これは、特定の地質学的プロセスを経て形成されました。
- 形成メカニズム: 黄龍の地下には、豊富な炭酸カルシウムを含んだ地下水が流れています。この水が地表に湧き出し、地表の地形や温度、圧力の変化によって二酸化炭素を放出し、炭酸カルシウムが沈殿・結晶化します。この石灰分が岩や土砂、木の葉などに付着・蓄積することで、年月をかけて石灰華(トラバーチン)の堤防が形成され、それが段々と積み重なって、**棚田状の池(彩池)**が作られました。
- 「五彩」の秘密: これらの池にたまる水は、透明度が極めて高い上に、池底の石灰華の性質、水中の藻類や鉱物の含有量、そして太陽光の当たり方や角度によって、エメラルドグリーン、コバルトブルー、黄色、オレンジ、茶色など、驚くほど多様な色彩を放ちます。特に、晴れた日には太陽の光を反射して金色に輝くこともあり、その変化に富んだ色彩が「五彩(五色)」の棚田と呼ばれる所以です。
- 独特の地形: 渓谷全体が緩やかな傾斜を持ち、全長約3.6kmにわたって数千もの大小異なる石灰華の池が連なります。これはまるで巨大な天然の階段のようで、その壮大なスケールは見る者を圧倒します。最も有名な「五彩池」は、黄龍の中でも最も美しい色彩を持つ棚田群として知られています。
希少な動植物が生息する自然保護区
黄龍風景区は、美しい景観だけでなく、豊かな生物多様性を持つ自然保護区としても非常に重要です。1992年の世界自然遺産登録と同時に、この地域はユネスコの生物圏保護区にも指定されています。
- 豊かな生態系: 標高差が大きく、多様な気候帯が存在するため、多種多様な植物が生育しています。高山植物から亜寒帯の森林まで、様々な植生が垂直的に分布しています。
- 希少動物の生息地: 世界的に絶滅が危惧されている希少動物の重要な生息地となっています。
- ジャイアントパンダ: 野生のジャイアントパンダが生息する数少ない地域の一つです。
- キンシコウ(ゴールデンモンキー): 美しい金色の毛を持つサルで、孫悟空のモデルとも言われています。
- その他にも、ウンピョウ、ツキノワグマ、レッサーパンダ、チベットマカク、コシジロヒヨドリなど、多くの希少な哺乳類や鳥類が生息しており、その保護が国際的に強く求められています。
黄龍は、その地質学的な価値に基づく奇跡的な景観美と、かけがえのない生物多様性を有する地球の宝物として、厳重に保護されています。
黄龍の見どころ
黄龍の主な見どころは、その中心となる石灰華の棚田と、それを囲む自然の造形美です。高山病に注意しながら、ゆっくりと散策しましょう。
五彩池(ごさいち)

黄龍の最上部に位置する、最も有名で美しい棚田群です。標高約3,576mにあり、数百もの大小様々な石灰華の池が、段々と連なっています。水中のミネラルや太陽光の当たり方によって、エメラルドグリーン、コバルトブルー、黄色、オレンジ、茶色など、驚くほど多様で鮮やかな色彩を放ちます。特に晴れた日には、池底の白い石灰華と透き通った水が織りなすコントラストが際立ち、息をのむような美しさです。黄龍を代表する景観であり、多くの観光客がその色彩に魅了されます。
争艶池(そうえんち)

五彩池の下方に位置する棚田群で、「色を競う池」という意味を持ちます。その名の通り、大小の池が隣接し、それぞれが異なる色合いを見せることから、互いに美しさを競い合っているかのような景観を作り出しています。石灰華の堤防が複雑に入り組み、陽の光や見る角度によって様々な表情を見せてくれます。
迎賓池(げいひんち)

黄龍の入口に最も近い場所に位置する、最初に目にする棚田群です。まるで観光客を歓迎しているかのように、美しい石灰華の池が連なっています。ここから黄龍の独特な景観が始まり、旅の期待感を高めてくれる場所です。水の色は青や緑が中心で、周囲の森とも調和しています。
飛瀑流輝(ひばくりゅうき)と洗身洞(せんしんどう)

- 飛瀑流輝(ひばくりゅうき): 黄龍の中でも珍しい、石灰華の壁を水が流れ落ちる滝です。幅約10m、落差約14mの白い石灰華の岩肌を水が滑るように流れ落ちる様子が、まるで光が流れるように見えることから名付けられました。黄龍の景観にアクセントを加えるダイナミックな見どころです。
- 洗身洞(せんしんどう): 飛瀑流輝の近くにある、小さな洞窟です。伝説によると、黄龍大師がここで体を清めたとされており、神聖な場所とされています。水が流れ落ちる石灰華の洞窟で、神秘的な雰囲気を味わえます。
黄龍古寺(こうりゅうこじ)

黄龍風景区の奥、五彩池の近くに位置するチベット仏教の古寺です。かつては道教の寺院でしたが、後にチベット仏教寺院となりました。標高の高い山中に佇む寺院は、周囲の自然と調和し、静寂で厳かな雰囲気を持っています。寺院からは周囲の美しい景色を眺めることができ、宗教的、文化的、景観的な価値を兼ね備えた場所です。
季節ごとの景観(紅葉、雪景色、新緑)
黄龍も九寨溝と同様に、四季折々に異なる表情を見せ、訪れる季節によって異なる感動を味わえます。
- 紅葉(秋:9月下旬~10月下旬): 黄龍の最も人気のある季節です。周囲の山々がカエデやカラマツなどで赤、黄、オレンジに染まり、棚田の五彩と相まって、息をのむような鮮やかな色彩のコントラストを生み出します。澄んだ空気の中で、最高の景色を堪能できるでしょう。
- 雪景色(冬:11月下旬~3月): 厳しい寒さにより、棚田の池が凍りつき、一面が雪と氷に覆われます。透明な青い氷や、雪化粧をまとった木々が、水墨画のような幻想的な世界を作り出します。観光客は非常に少ないため、静かに神秘的な風景を独り占めできる可能性があります。ただし、一部の遊歩道が閉鎖されたり、アクセスが困難になる場合もあります。
- 新緑(春:4月~6月上旬): 雪解けが始まり、山々が若々しい緑に覆われる季節です。棚田の池の水量が豊富になり、生命力にあふれた瑞々しい景観が広がります。まだ残雪と新緑が混在する時期もあり、独特の美しさを楽しめます。
黄龍へのアクセス方法
黄龍は九寨溝とセットで訪れることが多く、九寨溝からのアクセスが一般的です。
最寄りの空港
- 九寨黄龍空港(Jiuzhai Huanglong Airport)(JZH): 黄龍風景区の最も近い空港であり、黄龍まで約40km(車で約1時間)とアクセスが便利です。
- 中国国内主要都市(成都、重慶、西安など)から直行便が多数運航しています。特に、成都双流国際空港(CTU)からの便が最も多いです。
九寨溝からの移動
- 九寨溝と黄龍は、それぞれ別の場所に位置しています。九寨溝から黄龍へは、空港を挟んで移動することになります。
- シャトルバス: 九寨溝口から黄龍方面への観光バスやチャーターサービスが利用できます。所要時間は約2~3時間ですが、道中の山道はカーブが多く、高低差もあるため、乗り物酔いしやすい方は注意が必要です。
- タクシー/チャーターカー: より自由な移動を求める場合や、グループでの移動には、タクシーやチャーターカーの利用が便利です。
公園への入り口
- 黄龍風景区には、観光客用の主要な入り口が一つあります。入場チケットの購入、ゲートの通過、そして園内上部へのロープウェイ乗り場へ向かう場所となります。
- 多くの場合、入場後すぐにロープウェイ(索道)を利用して標高の高い山頂付近まで移動し、そこから下りながら各見どころ(五彩池、争艶池など)を巡るのが一般的な観光ルートです。
- ロープウェイを利用せず、麓から直接歩いて登る登山道もありますが、高山病のリスクと体力を考慮すると、ロープウェイの利用が推奨されます。
黄龍観光のおすすめモデルコース

黄龍の観光は、その高標高と独特の地形から、体力や時間に応じた計画が非常に重要です。
通常コース(ロープウェイ利用)
最も一般的で推奨されるコースです。高山病のリスクを軽減しつつ、主要な見どころを効率よく巡ることができます。
- 入り口からロープウェイ駅へ: 公園入り口から徒歩またはシャトルバスでロープウェイ乗り場へ移動。
- ロープウェイで上部へ: ロープウェイ(索道)に乗車し、一気に標高3,500m付近まで上がります。景色を楽しみながら体を高所に慣らす良い機会です。
- 上部駅から五彩池へ: ロープウェイ上部駅からは、整備された木道や階段を歩き、黄龍のハイライトである五彩池を目指します。この区間は若干のアップダウンがあり、高山病の症状が出やすいので、ゆっくりと歩き、休憩を挟みながら進みましょう。酸素補給所も途中にあります。
- 五彩池から下山: 五彩池を鑑賞後、下り坂の遊歩道を歩きながら、黄龍古寺、争艶池、盆景池、飛瀑流輝、迎賓池など、黄龍の美しい棚田や滝を順に巡ります。
- 出口へ: 迎賓池を通過後、公園入り口に戻ります。
所要時間: 通常、約4~6時間(ロープウェイ乗車時間、往復の移動時間、休憩含む)。
登山コース(徒歩)
体力に自信があり、高山病の経験がない方向けのコースです。より時間をかけて黄龍の自然を深く体験できますが、高山病のリスクが格段に高まります。
- 麓から五彩池へ: 公園入り口から、ロープウェイを使わずに直接登山道を歩いて五彩池を目指します。
- 各見どころを巡る: 登山道を登りながら、迎賓池、飛瀑流輝、争艶池などを鑑賞し、最上部の五彩池へ到達します。
- 下山: 同じ道を下るか、体力を考慮して帰りはロープウェイを利用することも可能です。
所要時間: 約6~8時間以上。非常に体力と時間が必要です。
体力レベル別アドバイス
- 体力レベル★☆☆(初心者・体力に自信がない方):
- 必ずロープウェイを利用し、登り(上部駅→五彩池)では特にゆっくりと歩きましょう。
- 途中にある酸素補給所で休憩し、必要であれば酸素を吸入してください。
- 無理はせず、体調が優れない場合はすぐに休憩を取るか、引き返すことを検討しましょう。
- 九寨溝とセットで訪れる場合、黄龍観光を優先し、体力を温存することをおすすめします。
- 体力レベル★★☆(中級者・一般的な体力のある方):
- ロープウェイを利用し、上部からの下りルートで黄龍の全てを巡るのが最適です。
- 五彩池までのアップダウンも比較的スムーズに歩けるでしょう。
- 高山病の症状には注意し、酸素ボンベは持参することをおすすめします。
- 体力レベル★★★(上級者・登山経験者):
- 麓から歩いて登る「登山コース」に挑戦することも可能です。
- ただし、高山病のリスクを十分に理解し、体調管理を徹底してください。事前に高所に体を慣らすなどの準備も有効です。
- 登山経験があっても、標高3,000mを超える高地登山は全く異なるため、油断は禁物です。
黄龍観光の準備と注意点
黄龍は高標高に位置するため、特に高山病対策が重要です。
服装と持ち物
九寨溝と同様、黄龍も標高が高いため、気温の変化が大きく、十分な防寒対策と歩きやすい服装が必須です。
- 服装:
- 重ね着(レイヤリング)が基本: Tシャツ、長袖シャツ、フリース、薄手のダウンジャケットや防水・防風性のあるアウター(レインウェア上下)など、着脱しやすいものを複数重ねて、体温調節ができるようにしましょう。
- 歩きやすい靴: 整備された木道や石段が多いですが、長時間歩くため、防水性があり、滑りにくいトレッキングシューズやスニーカーが最適です。
- 帽子・手袋: 防寒対策と日焼け対策に。
- 持ち物:
- 飲料水: 高山病対策としても重要です。園内でも購入できますが、割高なため持参をおすすめします。
- 行動食: エネルギー補給ができるチョコレート、ナッツ、ビスケットなど。
- 日焼け止め・サングラス: 標高が高いため、紫外線が非常に強いです。
- リップクリーム: 空気が乾燥しているため。
- 常備薬: 頭痛薬、胃腸薬、絆創膏など。
- 携帯用酸素ボンベ: 最重要です(下記参照)。
- カメラ・予備バッテリー: 低温や高所ではバッテリーの消耗が早まることがあります。
- モバイルバッテリー: スマートフォンなどの充電切れ対策。
- 小型のザック(リュックサック): 両手が空くように。
- 折りたたみ傘または簡易ポンチョ: 急な天候変化に備えて。

高山病対策(重要!)
黄龍の標高は最高で約3,900mにも達するため、高山病のリスクが非常に高いです。事前の対策と現地での注意が不可欠です。
- 症状: 頭痛、吐き気、めまい、息切れ、倦怠感、食欲不振、不眠など。重症化すると意識障害や肺水腫、脳浮腫を引き起こす可能性もあります。
- 具体的な対策:
- ゆっくり移動する: 公園到着後、急に動き回らず、ゆっくりと体を高所に慣らしましょう。特にロープウェイを降りた後は、急がずゆっくりと歩き始めましょう。
- 深呼吸を意識する: 意識的に深い呼吸をすることで、体内の酸素を取り込みやすくします。
- 水分補給: こまめに水分を摂りましょう。アルコールは控えめに。
- 十分な休息: 前日はしっかり睡眠を取り、疲れを溜めないようにしましょう。
- 携帯用酸素ボンベの携帯: 必須アイテムです。九寨黄龍空港や九寨溝、黄龍公園入口付近で購入できます。症状が出始めたらすぐに吸入しましょう。
- 薬の準備: 事前に医師に相談し、高山病の予防薬(ダイアモックスなど)を処方してもらうことも有効です。
- 無理をしない: 体調が悪いと感じたら、すぐに休憩を取り、必要であれば引き返す勇気を持ちましょう。少しでも重い症状が出たら、無理せず医療スタッフの助けを求めてください。園内には医療救護所が設置されています。
- 高所に慣らす: 可能であれば、黄龍訪問前に標高の低い九寨溝口(約2000m)で1泊するなどして、体を高所に慣らす期間を設けると良いでしょう。
ベストシーズンと混雑情報
- ベストシーズン:
- 秋(9月下旬~10月下旬): 黄龍の最も美しい季節です。棚田の水の色彩が最も鮮やかになり、周囲の山々も紅葉で色づきます。空気も澄んでおり、晴天率も比較的高いため、写真撮影にも最適です。
- 春(4月~6月上旬): 雪解け水で棚田の水量が豊富になり、新緑が美しい季節です。まだ残雪が見られることもあり、独特の景観を楽しめます。
- 混雑情報:
- 中国の大型連休(ゴールデンウィーク:5月上旬、国慶節:10月上旬)は、国内外からの観光客で非常に混雑します。ロープウェイの待ち時間や園内の人の多さに圧倒される可能性があります。この時期を避けるか、早朝の入場を心がける、あるいはツアーを利用するなどの工夫が必要です。
- 夏休み期間(7月~8月)も混雑しますが、大型連休ほどではありません。
- 冬(11月下旬~3月)は観光客が最も少ない時期ですが、寒さが厳しく、一部の施設や遊歩道が閉鎖されることもあります。
黄龍はその高標高ゆえに特別な注意が必要ですが、それを上回るほどの神秘的で美しい景観が待っています。万全の準備をして、素晴らしい旅を楽しんでください。
黄龍周辺の観光スポット
黄龍を訪れる際には、周辺の壮大な自然や文化も併せて体験することで、旅の満足度を一層高めることができます。
九寨溝風景区(きゅうさいこうふうけいく)
黄龍から約100km離れた場所に位置し、1992年に黄龍と同時にユネスコの世界自然遺産に登録された、中国を代表する景勝地です。黄龍が石灰華の棚田を特徴とするのに対し、九寨溝は**「九寨溝ブルー」と呼ばれる透明度の高い五彩の湖沼群と、壮大な瀑布群**が最大の魅力です。
- 特徴:
- 五彩池や五花海: 光の加減で様々な色彩に変化する神秘的な湖沼。
- 珍珠灘瀑布や諾日朗瀑布: 美しく流れ落ちる迫力ある滝。
- 季節ごとの絶景: 秋の紅葉は特に有名で、湖の青と森の赤・黄のコントラストが息をのむ美しさです。冬の氷瀑も幻想的です。
- チベット族の村落: 谷にはチベット族の村が点在し、素朴な文化に触れることができます。
- アクセス: 黄龍と九寨溝は、九寨黄龍空港を挟んで位置しています。黄龍観光後にそのまま九寨溝へ向かうバスやタクシーが利用できます。両方訪れる場合は、最低でも2泊3日(移動日含む)の行程を組むのが一般的です。

岷山山脈(びんざんさんみゃく)の自然
黄龍風景区は、広大な岷山山脈の一部に位置しています。この山脈は四川省と甘粛省にまたがり、中国の重要な地理的境界の一つであり、豊かな自然と生態系に恵まれています。
- 特徴:
- 豊かな生物多様性: 岷山山脈は、**ジャイアントパンダやキンシコウ(ゴールデンモンキー)**といった世界的に希少な絶滅危惧種の重要な生息地として知られています。黄龍自体もこれらの動物の生息地であり、広大な山脈全体が生物多様性のホットスポットとなっています。
- 壮大な山岳景観: 標高の高い峰々が連なり、手つかずの原生林、氷河地形などが織りなす雄大な自然景観が広がっています。
- 高山植物: 季節によっては、高山特有の美しい花々が咲き乱れる様子を見ることもできます。
- 観光の機会:
- 黄龍や九寨溝を訪れるだけでも、岷山山脈の自然の恩恵を十分に感じることができます。
- より深く自然を満喫したい場合は、周辺地域でのトレッキングや、地元のチベット族の村を訪れて、彼らの自然と共生する生活様式に触れるといった選択肢も考えられます。ただし、これらの活動は、専門ガイドの同行や許可が必要な場合があるため、事前の情報収集と計画が重要です。
黄龍旅行を計画する
黄龍への旅行を成功させるために、計画段階で考慮すべき重要な点です。
ツアーと個人旅行の比較
黄龍は高標高にあり、アクセスも比較的複雑なため、旅行形態の選択は重要です。
- ツアー(団体旅行)のメリット:
- 安心感: 交通(特に空港送迎や九寨溝との移動)、宿泊、入園券の手配など、全て旅行会社が行うため、手間が省け、言葉の心配も少ないです。高山病への配慮や緊急時の対応も期待できます。
- 効率: 経験豊富なガイドが同行し、効率的なルートで案内してくれるため、限られた時間で主要な見どころを確実に回れます。
- 費用: 全体として個人手配よりも割安になるケースもあります。
- ツアー(団体旅行)のデメリット:
- 自由度の低さ: 決められたスケジュールやルートに従うため、自分のペースでじっくり見たり、急な変更が難しかったりします。
- 混雑: 大型連休中は他のツアー客と行動を共にすることが多く、混雑しやすいです。
- 個人旅行のメリット:
- 自由度が高い: 自分のペースで観光し、興味のある場所で長く滞在できます。天候や体調に合わせて柔軟に予定を変更できます。
- 深い体験: 地元の人々との交流機会が増え、より深く現地の文化に触れることができます。
- 個人旅行のデメリット:
- 手配の手間: 航空券、宿泊、現地交通(特に高地でのチャーターなど)、入園券など、全てを自分で手配する必要があります。
- 情報収集: 現地情報の収集、言葉の壁、高山病対策、緊急時の対応など、全て自己責任で行う必要があります。
- 費用: 一見安く見えても、予期せぬ出費や手間がかかることがあります。
結論: 特に初めて黄龍を訪れる方や、高山病への不安がある場合は、ツアーに参加することをおすすめします。現地のサポートがあることで、安心して観光に集中できるでしょう。登山や自由な行動を重視する上級者であれば、個人旅行も検討できますが、事前の周到な準備が不可欠です。


宿泊施設の選び方
黄龍観光の拠点となる宿泊施設は、主に以下の場所が挙げられます。
- 黄龍風景区周辺:
- 黄龍の入口に最も近い場所に、いくつかのホテルやゲストハウスがあります。
- メリット: 黄龍観光に非常に便利で、移動時間を最小限に抑えられます。
- デメリット: 宿泊施設の選択肢は限られ、標高が高いため高山病のリスクも高まります。また、夜は周囲に飲食店などが少ない可能性があります。
- 漳扎鎮(ジャンザージェン):
- 九寨溝の入口から数km離れた場所にある町で、多くのホテルやリゾート施設が集中しています。九寨溝観光の拠点としても利用されます。
- メリット: 宿泊施設の選択肢が豊富で、価格帯も幅広いです。レストランや商店も充実しています。黄龍と比較して標高がやや低いため、高山病のリスクが多少軽減されます。
- デメリット: 黄龍までは車で約2~3時間の移動が必要です。
- 松潘(ソンパン):
- 黄龍からやや離れていますが、歴史的な城壁が残る古城の町です。
- メリット: 歴史や文化に興味がある場合に魅力的です。標高は黄龍より低いことが多いです。
- デメリット: 黄龍への移動に時間がかかります。
結論: 黄龍と九寨溝を両方訪れる場合、多くの観光客は漳扎鎮に宿泊し、そこから日帰りで黄龍へ行くケースが多いです。高山病を懸念する場合は、黄龍に最も近い場所での宿泊は避け、標高の低い場所で体を慣らすことを検討しましょう。
まとめ
黄龍は、四川省にある世界自然遺産です。最大の魅力は、石灰華が織りなす「五彩の棚田」で、特に五彩池は息をのむ美しさ。ジャイアントパンダなど希少動物も生息する自然保護区です。
黄龍黄龍空港からアクセスし、通常はロープウェイで上部へ。標高が高いため、高山病対策が最重要です。秋の紅葉期がベストシーズンですが、冬の雪景色も幻想的です。九寨溝と合わせての観光が一般的で、周辺の岷山山脈の自然も楽しめます。
よくある質問
黄龍観光は日帰りで可能ですか?
はい、ロープウェイを利用すれば日帰り観光が可能です。九寨黄龍空港から黄龍へ直行し、観光後に九寨溝へ移動する、またはその逆のルートが一般的です。
高山病対策で特に気をつけるべきことは?
ゆっくり行動するのが最も重要です。ロープウェイを降りた後や、五彩池へ向かう上り坂では、特に意識してゆっくり歩き、こまめに休憩を取りましょう。携帯用酸素ボンベは必ず持参し、症状が出始めたらすぐに吸入してください。深呼吸と十分な水分補給も大切です。
食事はどこでできますか?
黄龍風景区内には、簡単な売店や休憩所がありますが、食事の選択肢は限られ、価格も高めです。公園入口付近にもレストランがいくつかあります。事前に軽食や飲み物を持参することをおすすめします。
車椅子やベビーカーでの観光は可能ですか?
園内の主要な遊歩道は木道や舗装路で整備されていますが、一部に階段や急な傾斜、滑りやすい箇所もあります。特に五彩池へ向かう上り道は、車椅子やベビーカーでの移動は非常に困難です。介助者がいても、高所の体力消耗は大きいため、事前に十分な情報収集と準備が必要です。
冬の観光は可能ですか?
冬季も開園していますが、非常に寒く、雪で一部の遊歩道が閉鎖されることがあります。また、ロープウェイが運休することもありますので、事前に最新情報を確認し、万全の防寒対策が必要です。幻想的な雪景色が楽しめますが、気象条件によっては観光が難しい場合もあります。
九寨溝と黄龍、どちらを先に観光すべきですか?
一般的には、九寨溝(標高約2,000m~3,000m)を先に訪れ、体を高所に慣らしてから、黄龍(標高約3,000m~3,900m)を訪れるのが高山病対策として推奨されます。






海外ツアー




2.航空券
早割はこちら!<エアトリ>




3.ホテル
【Trip.com】旅行をもっとお得に!




4.アクティビティ
現地と直接つながる【Hello Activity】




5.通信機器
海外旅行者向けeSIMなら VOYAGEESIM




6.スーツケース