世界遺産の基礎知識1【世界遺産検定】

2023年11月11日

世界遺産の基礎知識1【世界遺産検定を受検する方は必須】

管理人
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世界遺産の基礎知識についてまとめます。世界遺産という言葉は聞いたことあるけど、世界遺産とは何を目的にどのような基準で登録されるのか、確認していきましょう。世界遺産検定を受検する方は、試験全体の20~25%を占める重要なパートとなります。

世界遺産の概要

世界遺産(World Heritage)は、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)によって認定された、その文化的・自然的な価値が世界全体の共有遺産であると認められ、国際的な保護と保存が求められる場所や物件を指します。世界遺産は、世界中の異なる地域に広がる人類の歴史や自然の素晴らしさを表すものであり、その指定は国際的な協力と保護の象徴となっています。

簡単に言うと、顕著な普遍的価値をもつ建物や自然環境のことです。

2023年11月現在、1,199件 が登録されています。
・文化遺産:933件
・自然遺産:227件
・複合遺産:39件

日本国内は以下のとおり。
・文化遺産:20件
・自然遺産:5件
・複合遺産:0件






毎年20~25件が新たに世界遺産に登録されています。

最新情報は、ユネスコの世界遺産センターのHPを確認ください。

1978年最初に世界遺産リストに登録された12件の遺産

No.名称概要
1アーヘンの大聖堂ドイツカール大帝によって建設された歴史的な教会です。建設は8世紀に始まり、9世紀に完成しました。この大聖堂はカール大帝の宮廷礼拝堂として始まり、後には戴冠式や重要な宗教儀式の舞台として使用されました。特筆すべきは、建築様式が古代ローマ建築の影響を受けたカロリング様式であることです。
2クラクフの歴史地区ポーランド中世の雰囲気が残り、ヴァヴェル王宮、大聖堂、マインマル通り、聖マリア教会などがあります。
3ヴィエリチカとボフニャの王位岩塩坑ポーランド世界でも有数の規模を誇る岩塩鉱山です。地下400メートル以上にわたる深い坑道で構成されています。岩塩の巨大な鉱脈や美しい結晶形成が特徴であり、地下には迷宮状の複雑な構造が広がっています。歴史的な採掘場でもあり、塩の美容効果でも知られています。
4シミエン国立公園エチオピア標高の高い山々や深い渓谷が特徴で、その美しい風景や豊かな生態系が注目されています。この公園は、シミエン山脈と呼ばれる地域に位置し、固有の動植物種が生息しています。
5ラリベラの岩の聖堂群エチオピアロックカービングとして知られる一群の岩でできた教会が特徴です。これらの聖堂は、12世紀から13世紀にかけて、ラリベラ王国のキリスト教徒の王ラリベラによって建設されました。岩をくりぬいて作り上げられたこれらの教会は、独自の美しさと卓越した建築技術で知られ、エチオピア正教会の宗教的な中心地となっています。
6ゴレ島セネガルセネガルの首都ダカール沖合いに位置する小さな島で、奴隷貿易の歴史的な遺産が残ることで知られています。この島は、15世紀から19世紀にかけて、アフリカからアメリカへの奴隷貿易の一環として、数百万人以上の奴隷が移送された拠点でした。
7メサ・ヴェルデ国立公園アメリカコロラド州に位置する自然保護区で、アナサジ文化に由来する古代のクリフダウェルイング(崖に造られた住居)で知られています。紀元600年から1300年ごろまでの期間に、先住民族であるアナサジ族が築いた独特な住居や集落が、峡谷の岩壁に残っています。
8イエローストーン国立公園アメリカワイオミング州、モンタナ州、アイダホ州にまたがる広大な自然保護区で、世界初の国立公園として1872年に設立されました。地熱活動、バイソン、エルクなどの野生動物、アメリカで最大かつ北米で2番目に大きい淡水湖のイエローストーン湖、深い渓谷のグランドキャニオン・オブ・イエローストーンが有名です。
9ランス・オー・メドー国立歴史公園カナダカナダ東部、ニューファンドランド島の最北端にある遺跡で、1000年頃に北欧から移住してきたヴァイキングの集落跡があります。コロンブスがアメリカに上陸するよりもはるかに前にヨーロッパの入植者が住んでいた証拠と考えられています。
10ナハニ国立公園カナダカナダ北西部にある国立公園です。サウス・ナハニ川流域の険しい峡谷に、巨大なヴァージニア滝など、絶景が広がっています。野生動物の宝庫で、オオカミ、ハイイログマ、トナカイなども多く生息しています。
11ガラパゴス諸島エクアドル赤道直下の太平洋上に浮かぶガラパゴス諸島は、海底火山の爆発によって誕生した溶岩の島で、今も火山活動と地殻変動が活発に続いています。 ダーウィンがこの島々を「進化の実験室」と呼んだのは、独特の進化を遂げた固有種が豊富に生息していたためで、その代表がイグアナです。絶滅の危機に瀕している動物が生息しているなど、動植物の宝庫となっています。
12キトの市街エクアドル赤道に最も近い首都として知られています。16世紀に建設されて以来、フランシスコ会やドミニコ会、イエズス会などさまざまなキリスト教の宗派が南米大陸の布教拠点となりました。

 

世界遺産の定義

文化遺産、自然遺産、複合遺産、危機遺産、負の遺産の6つに定義されます。

1.文化遺産
 人類の歴史や文化的なアイデンティティを反映し、保護・保存が求められる重要な遺産の総称。
 文化遺産は大きく以下7つのカテゴリーに分類されます。

No.カテゴリー説明
1建築物・構造物歴史的な建築物や構造物は、文化的な発展や技術の進化を物語ります。寺院、城、宮殿、記念碑、橋などが含まれます。
2遺跡・考古学的遺産古代の都市、墓地、遺跡は、過去の文化や社会の痕跡であり、考古学的な発見が重要です。例えば、ピラミッドやポンペイ遺跡がこれに該当します。
3美術品・工芸品絵画、彫刻、陶器、テキスタイルなどの美術品や工芸品は、芸術の形成と表現を示し、文化的なアイデンティティを豊かにします。
4言語・文学言語や文学は、文化を伝えるための重要な手段です。言語、文学作品、口承文学は、特定の共同体の独自性を表現します。
5慣習・行事伝統的な慣習や行事は、特定の時期や状況における社会の結びつきや価値観を伝えます。祭り、儀式、伝統的な舞踏などが含まれます。
6歴史的な都市や景観歴史的な都市や景観は、特定の時代や文化の発展を物語り、都市計画や建築様式が文化的な特徴を表します。
7信仰や宗教的な施設寺院、教会、モスクなどの宗教的な建築物は、信仰と文化が融合した象徴となります。

2.自然遺産
 その自然環境が科学的・生態学的に重要であり、保護・保存が求められる地域や地域内の生態系などを指します。これは、地球上の特定の地域が持つ自然の美しさや生態学的な重要性を表すもので、文化的な要素ではなく主に自然に焦点を当てています。

自然遺産は大きく6つのカテゴリーに分類されます。

No.カテゴリー説明
1自然の美美しい風景や地形、滝、山岳地帯、渓谷、海岸線など、その地域に特有の自然の美がある場合があります。
2生態系と生物多様性特定の生態系や動植物の生息地が自然遺産として認識されることがあります。これは、生態系の独自性や稀有性、生物多様性の保全に焦点を当てます。
3地球の進化や歴史的な変化地球の歴史的な変化や進化が見て取れる場合、それが自然遺産として評価されることがあります。例えば、地質学的な特徴や地層がこれに該当します。
4自然の驚異自然現象や地球上の特異な自然の驚異が自然遺産として認識されることがあります。例えば、イグアスの滝、グランドキャニオンなどがこれに当たります。
5自然公園や保護区生態系や自然環境を保護し、持続可能な方法で管理している自然公園や保護区が自然遺産として登録されることがあります。
6海洋環境サンゴ礁、海洋生態系、海洋保護区など

3.複合遺産
 文化的な要素と自然環境の双方が組み合わさった遺産を指します。これは、その地域が文化的・歴史的な重要性と自然の美や生態学的な価値を共有している場合に該当します。複合遺産は、文化遺産と自然遺産の両方の要素が一体となって特定の場所や地域を特徴づけているものです。

 簡単に言うと、文化遺産、自然遺産の両方の基準を満たす場合は、複合遺産として登録されます。

4.危機遺産
 文化遺産や自然遺産が損傷を受け、失われる危険があるとされる状態を指します。これは、異常な自然災害、紛争、汚染、過度な観光、管理の不備、適切な保護措置の欠如など、さまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。


5.負の遺産
 ネガティブな影響や歴史的な出来事が関連している場所や要素を指します。これは、過去の出来事や行動によって引き起こされた負の影響が、特定の地域や文化的な要素に残っている状態を表現します。負の遺産はしばしば社会的な傷跡やトラウマ、環境汚染、戦争の影響、人権侵害などと関連しています。

世界遺産の登録基準

世界遺産に登録されるためには、10項目のうち1つ以上に当てはまる必要がある。ⅰからⅵまでが文化遺産、ⅶからxまでが自然遺産。両方の基準が含まれるものは複合遺産となる。登録基準ⅵは単独で適用されることないが、例外として負の遺産の場合はⅵのみで登録される。

(i)人間の創造的才能を表す傑作である。(傑作)
(ii)建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値感の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すものである。(文化交流)
(iii)現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)である。(文化的伝統、文明の証拠)
(iv)歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である。(建築技術、科学技術)
(v)あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本である(特に不可逆的な変化によりその存続が危ぶまれているもの(伝統的集落)
(vi)顕著な普遍的価値を有する出来事(行事)、生きた伝統、思想、信仰、芸術的作品、あるいは文学的作品と直接または実質的関連がある(この基準は他の基準とあわせて用いられることが望ましい)(歴史上の出来事や伝統、宗教、芸術

(vii)最上級の自然現象、又は、類まれな自然美・美的価値を有する地域を包含する。(自然美)
(viii)生命進化の記録や、地形形成における重要な進行中の地質学的過程、あるいは重要な地形学的又は自然地理学的特徴といった、地球の歴史の主要な段階を代表する顕著な見本である。(地球の歴史の主要段階を示す)
(iX)陸上・淡水域・沿岸・海洋の生態系や動植物群集の進化、発展において、重要な進行中の生態学的過程又は生物学的過程を代表する顕著な見本である。(動植物の進化や発展)
(ⅹ)学術上又は保全上顕著な普遍的価値を有する絶滅のおそれのある種の生息地など、生物多様性の生息域内保全にとって最も重要な自然の生息地を包含する。(絶滅危惧種の生息域)

ユネスコの役割

ユネスコは、世界遺産の管理や保護に関する政策を確立し、新たな候補地を審査し、指定を行っています。また、保護活動や教育活動も積極的に行っており、国際的な連携を推進しています。

保護と管理

世界遺産の指定地域は、その価値を損なわないように管理・保護されなければなりません。これは指定地域の国や地域の責任で行われ、持続可能な観光や環境保全が重視されます。保護のためには、適切な法的枠組みや計画が必要とされます。

国内委員会

各国は、ユネスコの指導のもとに、国内委員会を設置し、世界遺産の推薦や保護活動に関する調整を行います。これにより、国内外のステークホルダーが協力し、効果的な保護策を立てることができます。

記念物保護法

世界遺産に指定された場合、指定地域内においては、その価値を保護するために国内法である「記念物保護法」が適用されることがあります。これにより、特定の規制や保全活動が行われ、遺産の状態維持が図られます。

まとめ

・世界遺産は、顕著な普遍的価値をもつ建物や自然環境のことです。
・2023年11月現在、1,199件 が登録されており、毎年20~25件の登録がされています。
・世界遺産は文化遺産、自然遺産、複合遺産、危機遺産、負の遺産の6つに定義されます。
・世界遺産は10の登録基準があり、ⅰからⅵまでが文化遺産、ⅶからxまでが自然遺産です。

世界遺産に興味を持たれた方は、世界遺産検定に挑戦してみてはいかがでしょうか。
世界遺産検定公式HP