ルーマニアの世界遺産一覧【2026年最新版】です。ルーマニアには、要塞教会の点在するトランシルヴァニア地方の村落から、ヨーロッパ最大級の湿地帯ドナウ・デルタ、彫刻家ブランクーシの記念碑群まで、11件の世界遺産があります。この記事では、世界遺産の数・登録年・登録基準を地図と表でまとめ、それぞれの遺産の概要を紹介します。ほかの国の登録数は世界遺産登録数ランキングで、個々の遺産や関連する用語は世界遺産の大辞典でも調べられます。

| No. | 登録名 | 登録年 | 所在地 | 登録基準 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | ドナウ・デルタ | 1991年 | トゥルチャ県(ドブロジャ地方) | (7), (10) | 自然遺産 |
| 2 | 要塞教会のあるトランシルヴァニアの村落 | 1993年(1999年範囲拡大) | アルバ県・ブラショフ県・ハルギタ県・ムレシュ県 | (4) | |
| 3 | ホレズの修道院 | 1993年 | ヴァルチャ県 | (2) | |
| 4 | モルドヴァ地方の教会群 | 1993年(2010年範囲変更) | スチャヴァ県ほか | (1), (4) | |
| 5 | シギショアラの歴史地区 | 1999年 | ムレシュ県 | (3), (5) | |
| 6 | マラムレシュの木造教会群 | 1999年 | マラムレシュ県 | (4) | |
| 7 | オラシュティエ山脈のダキア人要塞 | 1999年 | アルバ県・フネドアラ県 | (2), (3), (4) | |
| 8 | カルパティア山脈と他のヨーロッパ地域のブナ原生林 | 2007年(2011・2017・2021年範囲拡大) | ルーマニア南西部(カルパティア山脈)ほか18か国 | (9) | 自然遺産 |
| 9 | ロシア・モンタナの鉱山景観 | 2021年 | アルバ県(アプセニ山脈) | (2), (3), (4) | |
| 10 | トゥルグジウにあるブランクーシの彫刻作品群 | 2024年 | ゴルジ県(トゥルグジウ) | (1), (2) | |
| 11 | ローマ帝国の境界線:ダキア | 2024年 | トランシルヴァニア高原〜ムンテニア地方 | (2), (3), (4) |
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表のNo.は、上の地図のピンの番号と同じです(登録年の古い順)。ここからは、地域ごとに見ていきましょう。複数の地域・国にまたがる遺産は、最後にまとめて紹介します。
トランシルヴァニア地方
ルーマニア中央部、カルパティア山脈に囲まれた高原地帯です。ザクセン人が築いた要塞教会や城塞都市、古代ダキア王国の要塞が残ります。
要塞教会のあるトランシルヴァニアの村落(No.2)
トランシルヴァニアのザクセン人が築いた、要塞教会のある7つの村落です。13〜16世紀の建築様式を伝える要塞化された教会を中心に、中世から変わらない土地利用・集落形態が保存されています。「ビエルタンとその要塞教会」の登録を1999年に拡大する形で成立しました。
シギショアラの歴史地区(No.5)
トランシルヴァニアのザクセン人(ドイツ系の職人・商人)が築いた、要塞化された中世都市です。中欧と南東欧の境界地域で、長年にわたり重要な戦略・商業拠点の役割を果たしました。小規模ながら保存状態の良い城塞都市として評価されています。
オラシュティエ山脈のダキア人要塞(No.7)
紀元前後、ダキア王国の時代に築かれた6つの要塞群です。古典世界と鉄器時代のヨーロッパ、双方の軍事・宗教建築の技術が融合した独自の様式を示します。ダキア王国の中枢だった地で、2世紀初頭にローマに征服されるまでの、力強く革新的な文明の姿を伝えています。
ロシア・モンタナの鉱山景観(No.9)
ローマ帝国時代、紀元106年から166年にわたって金が採掘された、古代ローマ最大級の地下金鉱山遺跡です。総延長7kmのトンネル群や水車跡が残り、蝋引きの木製書字板からは、鉱山で働いた人々の法律・社会・人口構成に関する詳細な記録が見つかっています。ローマの採掘技術と地元の技術が融合した点でも貴重です。
マラムレシュ地方
ルーマニア北部、ウクライナと接する山岳地域です。伝統的な木造教会群で知られます。
マラムレシュの木造教会群(No.6)
ルーマニア北部の山岳地域マラムレシュに残る、8つの木造教会群です。細く高い塔を西側に持つ、縦に細長い木造建築が特徴で、正教会の伝統とゴシック様式の影響が融合しています。時代・地域によって異なる設計と職人技の多様性を示す、優れた事例とされています。
ワラキア地方
ルーマニア南部に広がる地域です。17世紀の修道院や、近代彫刻の記念碑群があります。
ホレズの修道院(No.3)
1690年、コンスタンティン・ブランコヴァン公によって創建された修道院です。建築の純粋さと均整の取れた美しさ、彫刻装飾の豊かさから、「ブランコヴァン様式」の傑作とされています。18世紀にここで興った壁画・イコン画の流派は、バルカン地域全体にその名を知られました。
トゥルグジウにあるブランクーシの彫刻作品群(No.10)
彫刻家コンスタンティン・ブランクーシが、第一次世界大戦でこの街を守って戦死した人々を追悼するため、1937〜1938年に手がけた記念碑群です。「無限柱」「沈黙のテーブル」「接吻の門」などの抽象彫刻が、「英雄の並木道」でつながれた2つの公園に配置され、彫刻・造園・都市計画が融合した独創的な空間を作り出しています。
モルドヴァ地方
ルーマニア北東部に広がる地域です。外壁をフレスコ画で覆った教会群で知られます。
モルドヴァ地方の教会群(No.4)
15世紀末から16世紀末にかけて建てられた、北モルドヴァの8つの教会群です。外壁の全面を覆うフレスコ壁画が特徴で、ビザンティン美術に着想を得た、保存状態の良い傑作とされています。スチェヴィツァ修道院教会は内外壁とも16世紀の壁画で覆われ、「聖ヨハネス・クリマクスの梯子」が描かれている唯一の教会として知られます。
ドブロジャ地方
黒海に面したルーマニア南東部の地域です。ドナウ川が黒海に注ぐ河口部にあたります。
ドナウ・デルタ(No.1)
黒海に注ぐドナウ川が形成する、ヨーロッパ最大・最良の保存状態を誇るデルタ地帯です。数多くの湖沼・湿地には300種以上の鳥類と45種の淡水魚が生息し、ラムサール条約の登録湿地・生物圏保護区にも指定されています。
複数の地域・国にまたがる遺産
ここでは、ルーマニア国内の複数の地域にまたがる遺産や、ほかの国々と共同で登録された遺産を紹介します。
カルパティア山脈と他のヨーロッパ地域のブナ原生林(No.8)
氷河期の生き残りの地から、数千年かけてヨーロッパ全土に広がったブナの原生林・古代林です。18か国93か所の構成資産からなり、氷河期後の植物の適応・拡散の過程を示す進行中の生態学的プロセスとして評価されています。
ローマ帝国の境界線:ダキア(No.11)
ローマ帝国の属州ダキアの国境線(ダキア・リメス)の遺構です。紀元106年から271年まで機能し、277の構成資産からなる、ヨーロッパに現存する旧ローマ属州の国境線としては最長・最複雑なものです。軍団要塞・補助砦・土塁・見張り塔などが、ドナウ川以北で唯一のローマ属州だったダキアの国境を物語ります。
まとめ
ルーマニアにある世界遺産一覧【2026年最新版】をご紹介しました。トランシルヴァニアの要塞教会群から、ドナウ・デルタの豊かな自然、古代ダキア王国の要塞、ローマ帝国の国境線、近代彫刻の傑作まで、ルーマニアの世界遺産は多彩です。
気になる世界遺産はあったでしょうか。思い立ったら、興味の湧く場所に足を運んでみてはいかがでしょうか。国別の登録数は世界遺産登録数ランキングでもご覧いただけます。
世界遺産に興味を持たれた方は、世界遺産検定に挑戦してみてはいかがでしょうか。
世界遺産検定公式HP
よくある質問

ルーマニアの世界遺産はいくつありますか?
2026年10月時点で11件です。自然遺産1件(ドナウ・デルタ)とブナ原生林、ほかはすべて文化遺産です。うちブナ原生林は18か国と共同で登録されています。
ルーマニアで最も早く登録された世界遺産は?
1991年に登録された、ドナウ・デルタです。文化遺産では1993年の要塞教会のあるトランシルヴァニアの村落・ホレズの修道院・モルドヴァ地方の教会群の3件が最も早く登録されました。
最近登録された世界遺産はありますか?
2024年に、トゥルグジウにあるブランクーシの彫刻作品群と、ローマ帝国の境界線:ダキアの2件が登録されました。近代彫刻と古代ローマ遺跡という対照的な組み合わせです。
ほかの国と共同で登録されている遺産はありますか?
あります。18か国にまたがるカルパティア山脈と他のヨーロッパ地域のブナ原生林です。
トランシルヴァニア地方に多いのはなぜですか?
トランシルヴァニアには、中世にドイツ系移民(ザクセン人)が築いた要塞教会・城塞都市や、それ以前のダキア王国の要塞が集中しているためです。多民族・多時代の歴史が重なる地域です。






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