「世界一周航空券って、なんだか特別な人が買うものなんじゃないの?」 「学生の私でも買えるのかな?」「高齢者でも大丈夫?」
世界一周という壮大な旅の夢を抱いたとき、まず頭に浮かぶのが「そもそも自分に購入資格があるのか?」という疑問かもしれません。世界一周航空券は、一般的な航空券とは異なる独自のルールが多く、購入条件や年齢制限に関して不安を感じる方も少なくありません。
この記事では、世界一周航空券の購入資格や年齢制限について徹底的に掘り下げて解説します。国籍、居住地、そして未成年者や高齢者の利用可否、さらには家族での利用に関する注意点まで、あなたの疑問を解消し、安心して世界一周の計画を進めるための情報を提供します。
世界一周航空券の購入資格の基本:誰が買えるのか?
世界一周航空券は、特定の「特別な人」だけが購入できるものではありません。基本的な要件を満たしていれば、誰でも購入することが可能です。
必要なものは「パスポート」と「有効なビザ」
最も基本的な購入資格は、以下の2点です。
- 有効なパスポート: 旅の全期間を通じて有効であるだけでなく、多くの国が入国時に6ヶ月以上の残存期間を要求します。また、ビザを貼るための十分な空白ページも必要です。
- 訪問国・経由国に応じた有効なビザ(査証): ビザ免除協定を結んでいる国以外を訪れる場合や、ストップオーバーで入国する場合など、事前にビザの取得が義務付けられている国があります。ビザがないと、たとえ航空券を持っていても搭乗を拒否されることがあります。
- ESTAやeTAなどの電子渡航認証: アメリカ(ESTA)、カナダ(eTA)、オーストラリア(ETA)など、ビザは不要でも渡航前に電子認証システムの申請・承認が必要な国もあります。
これらの条件は、世界一周航空券に限らず、国際線を乗り継ぐ通常の航空券でも共通する、最も基本的な要件です。

国籍・居住地による制限は基本的にない
「日本の航空会社のアライアンスだから、日本人しか買えないの?」といった心配は不要です。
- 国籍: 世界一周航空券の購入に特定の国籍制限は基本的にありません。日本に居住する外国人でも、海外に居住する日本人でも購入可能です。
- 居住地: 多くの世界一周航空券は、出発地と最終帰着地が同じ国であることを条件としています。これは、購入者の居住地というよりは、航空券のルートに関する制限です。例えば、日本を出発し、世界を一周して日本に戻ってくる、といったルートです。
ただし、一部の特殊なプロモーションや割引運賃では、居住国が限定されるケースがないわけではないため、購入時には念のため確認することが望ましいです。
年齢制限の解説:未成年者と高齢者の利用

世界一周航空券の購入と利用に関して、年齢がどのように関わってくるのかを詳しく見ていきましょう。
未成年者(18歳未満)の利用について
未成年者が単独で世界一周航空券を利用することは、基本的に難しい、または厳しい制限があります。
- 単独での購入・契約: 航空券の購入契約は、多くの場合、成人(18歳以上、または20歳以上)であることが求められます。未成年者が単独で旅行代理店と契約したり、オンラインで購入したりすることはできません。親権者などの法定代理人の同意または代理購入が必要です。
- 航空会社の規定: 各航空会社は、未成年者の単独渡航に関して独自の規定を設けています。
- UMサービス(Unaccompanied Minor Service): 一部の航空会社では、一定の年齢(例:5歳~11歳)の未成年者が単独で搭乗する際に、空港での介助や機内でのケアを提供する「UMサービス」を提供しています。しかし、このサービスは通常、乗り継ぎのない直行便や、乗り継ぎがあっても同一航空会社内での乗り継ぎに限られることが多く、複数の航空会社を乗り継ぐ世界一周航空券での利用は極めて困難です。また、このサービスは有料です。
- 12歳以上~17歳(または18歳): この年齢層では、単独での搭乗が認められるケースが増えますが、親権者の同意書(英文)の提出を求められることが一般的です。乗り継ぎが多い世界一周航空券の場合、途中の乗り継ぎ空港での滞在や、予期せぬトラブル時の対応を考えると、単独での旅は推奨されません。
- 入国審査の問題: 多くの国では、未成年者の単独渡航に対し、誘拐防止の観点から非常に厳格な入国審査を行います。たとえ航空券を持っていても、親権者の同意書や家族関係を証明する書類(戸籍謄本など)が不十分だと、入国を拒否されるリスクがあります。
結論として、未成年者が世界一周航空券を単独で利用することは、現実的にほぼ不可能です。 親権者や成人保護者との同伴が必須と考えましょう。
高齢者の利用について
高齢者が世界一周航空券を利用することに関して、基本的に年齢による上限制限はありません。 70代、80代で世界一周を楽しまれる方もいらっしゃいます。
ただし、以下の点に特に注意が必要です。
- 健康状態: 長距離フライトや時差、気候変動、不慣れな環境など、世界一周旅行は身体的負担が大きいです。出発前に必ず医師の健康診断を受け、自身の健康状態を把握し、無理のない旅程を組むことが重要です。持病がある場合は、薬の携帯や英文の診断書の準備も必要です。
- 海外旅行保険: 通常の海外旅行保険に加え、既往症の補償や緊急医療搬送の限度額が十分であるかを確認しましょう。高齢者向けの海外旅行保険の利用も検討してください。
- サポート体制:
- 空港でのサポート: 必要であれば、航空会社に車椅子サービスや介助サービスの事前手配を依頼できます。
- 信頼できる情報源: 世界一周航空券を専門に扱う旅行代理店は、高齢者の旅に関するノウハウを持っている場合が多いので、相談してみるのがおすすめです。
- 同伴者の有無: 一人旅よりは、家族や友人など信頼できる同伴者がいる方が安心感があります。
- 柔軟な旅程: 無理なスケジュールを避け、移動日と滞在日のバランスをしっかり取り、十分な休息を取れるような計画を立てましょう。
結論として、高齢者でも世界一周航空券は利用できますが、健康管理と万全の準備、そして必要に応じたサポート体制の確保が非常に重要です。
家族・グループでの利用:特別な考慮事項

家族や友人グループで世界一周航空券を利用する場合、一人旅とは異なるいくつかの考慮事項があります。
全員が同一の旅程であること
世界一周航空券は、通常、予約者全員が同じルート、同じフライト、同じクラスで旅をすることが前提となります。
- 途中合流・途中離脱の難しさ: 旅行の途中で一部のメンバーだけが合流・離脱するといった柔軟な利用は、原則としてできません。そのような場合は、その区間だけを別途個別で航空券を手配する必要があります。
- 空席確保の難易度: 人数が多ければ多いほど、希望するフライトの空席を全員分確保するのが難しくなります。特にビジネスクラスやファーストクラスでは、空席数が少ないため、早期予約が必須です。
小さな子供(乳幼児・幼児)を連れての利用
乳幼児や幼児を連れて世界一周をする場合、航空券の料金体系や旅の負担に大きな影響が出ます。
- 航空券代:
- 2歳未満の乳幼児: 座席を使用しない場合、航空運賃は大人運賃の10%程度(税金・燃油サーチャージは別途必要)となることが多いです。
- 2歳以上12歳未満の小児: 座席を使用するため、大人と同額、またはわずかに割引される程度の運賃が適用されます。
- ベビーベッド(バシネット): 長距離フライトでは、乳幼児用にベビーベッド(バシネット)を無料でリクエストできる航空会社が多いですが、設置できる座席は限られており、数に限りがあるため、非常に早い段階での予約が必要です。
- 手荷物: 乳幼児連れの場合、通常の荷物許容量とは別に、ベビーカーやチャイルドシートなどを無料で預けられる場合があります。これも航空会社によって規定が異なります。
- フライトの選択: 短時間での乗り継ぎや、深夜便の連続は、子供の負担が大きいです。ゆとりのあるスケジュールや、昼間のフライトを優先するなど、子供の体調を最優先した計画が求められます。
- アレルギーや食事制限: 子供のアレルギーや食事制限がある場合は、事前に航空会社に詳細を伝え、特別な機内食を手配する必要があります。
旅行代理店の活用を強く推奨
家族やグループで世界一周航空券を利用する場合、複雑なルールや手配の手間を考えると、世界一周専門の旅行代理店に相談することを強くおすすめします。
- 最適なルート提案: 家族構成や子供の年齢などを考慮した、無理のないルートを提案してくれます。
- 空席確認・予約: 複数人分の座席確保は個人では難しい場合があるので、代理店に任せるのが安心です。
- 各種手配: ベビーベッドのリクエスト、アレルギー対応の機内食、空港での介助サービスなど、様々なリクエストに対応してくれます。
- トラブル時のサポート: 旅の途中で予期せぬ事態が発生した場合でも、日本語で相談できる窓口があるのは大きな安心材料となります。

世界一周航空券購入時の注意点と確認事項

誰でも購入できる世界一周航空券ですが、スムーズな旅のために購入前に必ず確認すべき点があります。
パスポートの有効期限と残存ページ数
- 有効期限: 最後のフライトを終えて日本に帰国する日まで有効であることはもちろん、多くの国が入国時に「パスポートの残存期間が6ヶ月以上」を求めています。出発前に、全ての訪問予定国の入国要件を確認し、必要であればパスポートを更新しましょう。
- 空白ページ: 各国への入国・出国スタンプやビザを貼るための空白ページが十分にあるか確認してください。これも非常に重要です。

訪問国のビザ(査証)の要・不要と取得方法
- 事前にリサーチ: 訪問予定の国全て(乗り継ぎで入国する可能性のある国も含む)のビザ要件を、外務省のウェブサイトや各国大使館のウェブサイトで確認します。
- 取得方法と期間: ビザが必要な場合、オンライン申請、大使館への郵送、直接訪問など、様々な取得方法があります。それぞれにかかる期間も異なるため、余裕を持って申請しましょう。
- ビザ取得代行サービス: 複数の国のビザが必要で、自分で手配する時間がない場合は、ビザ取得代行サービスの利用も検討できます。


予防接種の必要性
訪問する国や地域によっては、特定の感染症に対する予防接種が義務付けられていたり、強く推奨されたりしている場合があります(例:黄熱病、A型肝炎、破傷風など)。
- 専門医への相談: 海外渡航専門の医療機関や、最寄りの医療機関で医師に相談し、必要な予防接種を受けましょう。予防接種は複数回受ける必要があるものもあり、完了までに数ヶ月かかることもあるため、早めの準備が肝心です。
- イエローカード(国際予防接種証明書): 黄熱病など、一部の予防接種は「イエローカード」と呼ばれる国際予防接種証明書が必要です。
海外旅行保険への加入
これは必須です。世界一周旅行は長期にわたり、予期せぬ事故や病気、荷物の紛失、フライトの遅延・欠航など、様々なトラブルに遭遇する可能性があります。
- 補償内容の確認: 治療費用、緊急医療搬送費用、携行品損害、航空機遅延・欠航、個人賠償責任など、必要な補償が十分に含まれているか確認しましょう。
- 長期滞在向け: 1年間の世界一周に対応できる長期滞在者向けの保険プランを選ぶ必要があります。持病がある場合は、それもカバーされるか確認しましょう。

まとめ:世界一周は「誰でも買える」夢のチケット
世界一周航空券は、特定の国籍や年齢、特別な資格がなければ購入できない、というものではありません。有効なパスポートを持ち、訪問国のビザ要件を満たし、そして何よりも「世界を旅したい」という情熱があれば、誰でも購入できる夢のチケットです。
ただし、未成年者の単独渡航は困難であり、高齢者や小さなお子様連れの場合は、健康管理やサポート体制の確保など、より慎重な準備と計画が求められます。
これらの購入資格や年齢制限に関する情報を事前に理解し、必要な準備を怠らなければ、あなたの世界一周の夢はぐっと現実のものに近づきます。
さあ、あなたの世界一周旅行の計画を自信を持って進め、忘れられない冒険へと飛び立ちましょう!

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「世界一周航空券の購入資格と年齢制限に関するFAQ

未成年者が親権者の同意があれば単独で世界一周航空券を利用できますか?
原則として、未成年者(特に12歳未満)が単独で世界一周航空券を利用するのは非常に難しいです。 航空会社は未成年者の単独渡航に対し、安全上の理由から厳格な規定を設けています。複数の航空会社を乗り継ぎ、異なる国を訪問する世界一周航空券では、各航空会社の規定や入国国の未成年者保護に関するルールが複雑に絡み合います。親権者の同意書があっても、空港での介助やフライト間の責任問題、予期せぬトラブル時の対応を考慮すると、現実的ではありません。基本的には、親権者または成人の保護者の同伴が必須と考えましょう。
高齢者ですが、健康面で不安があります。どのような準備が必要ですか?
高齢者の方でも世界一周は可能ですが、健康面の準備は非常に重要です。
- 事前の健康診断: 出発前に必ず医師の診断を受け、現在の健康状態を正確に把握しましょう。長距離フライトや時差、気候変動への対応について医師に相談してください。
- 持病の管理: 常用薬がある場合は、旅の期間に必要な量を確保し、英文の処方箋や診断書を用意しておくと安心です。
- 海外旅行保険: 通常の旅行保険に加え、既往症の補償や、万が一の際の緊急医療搬送費用が無制限または十分な額が補償されるプランへの加入を強くお勧めします。高齢者向けの保険プランも検討しましょう。
- 無理のない旅程: 移動日と滞在日のバランスを重視し、十分に休息を取れるゆとりのあるスケジュールを立てましょう。体調が優れないときは、無理せず休む勇気も必要です。
世界一周航空券の購入に「貯金がいくら必要」といった資産条件はありますか?
世界一周航空券の購入自体に、航空会社やアライアンスが設定する特定の資産(貯金)条件はありません。 しかし、航空券代だけでなく、現地での滞在費(宿泊、食費、交通費、観光費など)、ビザ申請費用、海外旅行保険料、予防接種費用、お土産代など、旅全体にかかる費用は相当な額になります。多くの国が入国時に十分な滞在資金を持っていることを証明するよう求める場合がありますので、旅全体の予算をしっかりと組み、資金計画を立てておくことが非常に重要です。
家族で世界一周をする場合、全員が同じルートでなければいけませんか?
原則として、世界一周航空券は、購入したグループ全員が同一の旅程(同じフライト、同じクラス、同じルート)で利用することが前提となります。 途中で一部のメンバーだけが異なる都市へ移動したり、先に帰国したりといった柔軟な利用は、世界一周航空券のルール上、基本的に認められていません。もし、そのような個別行動を計画しているのであれば、その区間だけを別途LCCなどで手配するか、最初から個別手配での世界一周を検討する必要があります。
パスポートの有効期限が残り少ないのですが、購入前に更新すべきですか?
はい、強くお勧めします。必ず出発前にパスポートを更新しましょう。 多くの国では、入国時にパスポートの残存期間が6ヶ月以上あることを求めています。これに満たない場合、航空会社から搭乗を拒否されたり、入国審査で入国を拒否されたりするリスクがあります。また、ビザの貼付スペースが不足する場合もあります。トラブルを避けるためにも、旅程を全てカバーできる十分な有効期限と空白ページがあるパスポートで出発してください。