世界遺産の基礎知識についてまとめます。世界遺産という言葉は聞いたことあるけど、世界遺産とは何を目的にどのような基準で登録されるのか、確認していきましょう。世界遺産検定を受検する方は、試験全体の20~25%を占める重要なパートとなります。
世界遺産条約と目的
「世界遺産条約」は、国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)によって制定され、1972年に採択された国際的な法的文書です。この条約は、文化的または自然的に価値のある遺産を保護し、国際協力を通じてその保存を促進することを目的としています。
主な目的と原則は以下の通りです。
・世界遺産の保護と保存:世界遺産として認められた文化的または自然的な遺産の保護と保存を図り、これを将来の世代に引き継ぐことを目指します。
・国際協力の促進:世界遺産の保存に関して国際的な協力を促進し、異なる国々の遺産に対する共通の責任を認識します。
・持続可能な開発の促進:世界遺産の保存が、地域の社会経済的な発展との調和を保ちながら行われるように促進します。持続可能な開発と文化的多様性の調和を強調しています。
・国内法の整備:各国が世界遺産を保護するための国内法を整備し、それを実施するための措置を講じるよう求めています。
・教育と啓発:世界遺産に関する教育や啓発活動を通じて、公衆や関係者が遺産の重要性を理解し、その保存に参加することを奨励します。
この条約に基づいて、世界遺産委員会が設立され、世界遺産の登録や管理に関する決定を行います。世界遺産の登録は、ユネスコに加盟する国々が提案し、審査された後に行われます。登録された遺産は、国際的な重要性を有するとされ、その保護と保存が国際的な協力のもとで進められます。
世界遺産の基礎知識1
世界遺産の基礎知識3-諮問機関とユネスコ
世界遺産の基礎知識4-関係する概念
世界遺産の基礎知識5-関係する条約
世界遺産の基礎知識6-世界遺産リスト記載までの流れ
日本の世界遺産一覧
世界遺産条約の歴史
世界遺産条約の歴史は以下の通り。
・1972年 – 条約の採択:1972年11月16日、ユネスコ総会で「文化的および自然的遺産の保護に関する世界遺産条約」が採択されました。この日は世界遺産条約の発効日とされています。
・1975年 – 発効:世界遺産条約は1975年12月17日に発効しました。これにより、各国は条約に署名して批准することで、世界遺産の保護に参加することができるようになりました。
・初の世界遺産委員会会議:1977年にフランスのパリで初めて世界遺産委員会の会議が開催されました。この会議で初めての世界遺産リストが採択されました。
・世界遺産基金の設立:1972年に世界遺産基金が設立されました。この基金は、新たな世界遺産の候補地への資金提供や危機に瀕した遺産への支援に使用されます。
・1992年 – 複合遺産の認識:世界遺産委員会は、文化的および自然的な要素が複合的に組み合わさった複合遺産の認識を始めました。これにより、文化と自然の相互の関係がより総合的に評価されるようになりました。
・2003年 – 無形文化遺産の認識:2003年には、「無形文化遺産の保存に関する条約」が採択され、無形文化遺産の保護と促進が始まりました。これにより、物質的な遺産に加えて非物質的な文化も注目されるようになりました。
・現在:世界遺産委員会は、毎年開催される会議で新たな世界遺産の登録や管理に関する決定を行っています。また、各国は遺産の保護と管理に関する報告を提出し、協力して持続可能な開発と文化的多様性を実現するための努力を続けています。
世界遺産条約の作業指針
世界遺産条約の実施に関連して、世界遺産委員会は「世界遺産条約の作業指針」を定めています。これは、ユネスコ加盟国において世界遺産の登録、管理、保全に関する基準や手続きを提供し、適切な実施を確保するための指針です。
以下は、世界遺産条約の作業指針に含まれる主な要点です。
・登録の基準:作業指針は、文化的および自然的な遺産が登録されるための基準を定めています。これには、その遺産が普遍的な価値を有し、保存が求められる理由が具体的に示されています。
・登録手続き:世界遺産への登録手続きやプロセスに関する指針が含まれています。提案書の作成や提出、審査、委員会による決定などが具体的に規定されています。
・保全の基準:作業指針は、登録された遺産の保全に関する基準を提供します。これには、遺産の管理計画の必要性、持続可能な保全、地域社会との協力などが含まれます。
・危機遺産の管理:危機に瀕した遺産に関する管理についての指針もあります。危機遺産の保護、復興、国際協力に関するガイドラインが含まれています。
・登録の査定と検証:世界遺産の登録に関する査定と検証のプロセスが詳細に記述されています。これには、査定の専門家や検証の手続きに関する規定が含まれます。
・国内法の整備:ユネスコ加盟国において、世界遺産条約を実施するための国内法の整備と適切な法的枠組みの構築に関するガイドラインがあります。
これらの指針は、国際的な協力のもとで遺産の保全と管理が行われるように確認するために、世界遺産委員会と国際社会によって定められています。
世界遺産条約締約国会議
世界遺産条約締約国会議は、ユネスコに加盟している国々の代表者が集まり、世界遺産に関する重要な事項や方針について協議するための会議です。この会議は通常、年次のユネスコ世界遺産委員会会議の形態をとります。
第1回世界遺産締約国会議は、1976年11月のナイロビでのユネスコ総会会期中に開催された。
会議では世界遺産基金への分担金の決定や世界遺産委員会委員国の選定のほかに、世界遺産委員会から世界遺産条約締約国会議とユネスコ総会に対して提出された活動報告書を受理する。
世界遺産条約締約国会議は、ユネスコ加盟国(195か国)のうち、ナウルを除く194か国とバチカン市国が締約している。加盟国の中にはパレスチナ自治政府のように、日本政府が国家承認していない国も含まれる。
世界遺産委員会
世界遺産委員会は、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の下部組織であり、世界遺産に関する政策の決定や管理に関わる主要な機関です。
ユネスコ世界遺産委員会のメンバーは、任期6年の国別代表からなります。自発的に4年に短縮することも可能である。委員は文化遺産と自然遺産のバランスを取りながら、遺産の多様性を反映するように選ばれます。
1.委員国
世界遺産条約締約国総会で選出された21か国の委員国で構成されます。
委員国の選出は地域ごとに枠があり、
・「西欧・北米(グループI)」から2カ国
・「東欧(グループⅡ)」から2ヵ国
・「ラテンアメリカ・カリブ海 (グループⅢ)」から2ヵ国
・「アジア・太平洋(グループIV)」から3ヵ国
・「アフリカ (グループVa)」から4ヵ国
・「アラブ(グループVb)」から2ヵ国
が最低でも選ばれる。
2.ビューロー会議
世界遺産委員会は、議長国1ヵ国、副議長国5ヵ国、書記国1ヵ国の7ヵ国で構成される任期1年のビューロー(事務局)会議を設置します。こちらのピューロー会議は内閣のような存在で、世界遺産委員会の進行や日程の決定を行って、世界遺産委員会の最終日に、次回の世界遺産委員会のビューロー会議構成国を決定するのです。
3.役割と機能
委員会は以下の主な役割と機能を果たしています。
世界遺産リストへ登録推薦された遺産に対し、「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の4段階で決議を行う。
・新たな世界遺産の審査と登録:委員会は、新たな文化的および自然的な遺産の提案を審査し、それが世界遺産の基準に適合するかどうかを評価します。審査を通過した遺産は登録され、国際的な認知を受けます。
・既存の世界遺産の管理:委員会は既存の世界遺産に関する様々な管理計画やプロジェクトについて審査し、必要に応じて提案や指導を行います。これは遺産の保全や持続可能な管理に関するものです。
・危機に瀕した遺産の支援:危機に瀕した世界遺産に対する支援や緊急の保全措置の提案を行います。危機遺産の復旧や保全に関する国際的な協力を推進します。
・世界遺産基金の管理:委員会は、世界遺産基金を管理し、特に危機に瀕した遺産への資金援助を調整します。基金は遺産の保全や復元に利用されます。
・教育と啓発の促進:世界遺産への理解を深め、公共の意識を高めるために、教育や啓発活動を奨励します。これには、持続可能な開発や文化的多様性に焦点を当てたプログラムが含まれます。
・国際的な協力の促進:世界遺産に関する国際的な協力を促進し、異なる国々や地域間での連携を強化します。これにより、共通の目標を達成し、世界遺産の保存を確保します。
世界遺産委員会の開催国一覧
2024年8月現在で直近の会議である、第46回世界遺産委員会の概要については、以下の通り。
過去の会議の情報
回 | 開催期間 | 開催都市と詳細 | 議長国 | 副議長国 | 書記国 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1977/6/27-7/1 | パリ(フランス) | イラン | エジプト | カナダ |
2 | 1978/9/5-9/8 | ワシントンD.C. | アメリカ | イラン エジプト ナイジェリア フランス エクアドル | ポーランド |
3 | 1979/10/22-10/26 | ルクソール (エジプト) | |||
4 | 1980/9/1-9/5 | パリ(フランス) | |||
5 | 1981/10/26-10/30 | シドニー (オーストラリア) | |||
6 | 1982/12/13-12/17 | パリ(フランス) | |||
7 | 1983/12/5-12/9 | フィレンツェ (イタリア) | |||
8 | 1984/10/29-11/2 | ブエノスアイレス (アルゼンチン) | |||
9 | 1985/12/2-12/6 | パリ(フランス) | |||
10 | 1986/11/24-11/28 | パリ(フランス) | |||
11 | 1987/12/7-12/11 | パリ(フランス) | |||
12 | 1988/12/5-12/9 | ブラジリア (ブラジル) | |||
13 | 1989/12/11-12/15 | パリ(フランス) | |||
14 | 1990/12/7-12/12 | バンフ(カナダ) | |||
15 | 1991/12/9-12/13 | カルタゴ (チュニジア) | |||
16 | 1992/12/7-12/14 | サンタフェ (アメリカ) | |||
17 | 1993/12/6-12/11 | カルタヘナ (コロンビア) | |||
18 | 1994/12/12-12/17 | プーケット (タイ) | |||
19 | 1995/12/4-12/9 | ベルリン (ドイツ) | |||
20 | 1996/12/2-12/7 | メリダ (メキシコ) | |||
21 | 1997/12/1-12/6 | ナポリ (イタリア) | |||
22 | 1998/11/30-12/5 | 京都 (日本) | 日本 | ||
23 | 1999/11/29-12/4 | マラケシュ (モロッコ) | |||
24 | 2000/11/27-12/2 | ケアンズ (オーストラリア) | |||
25 | 2001/12/11-12/16 | ヘルシンキ (フィンランド) | |||
26 | 2002/6/24-6/29 | ブタペスト (ハンガリー) | |||
27 | 2003/6/30-7/5 | 蘇州(中国) →パリ SARS流行 | |||
28 | 2004/6/28-7/7 | 蘇州(中国) | |||
29 | 2005/7/10-7/17 | ダーバン (南アフリカ) | |||
30 | 2006/7/8-7/16 | ヴィリニュス (リトアニア) | |||
31 | 2007/6/23-7/2 | クライストチャーチ(ニュージーランド) | ニュージーランド | 日本 | カナダ |
32 | 2008/7/2-7/10 | ケベックシティ (カナダ) | カナダ | 韓国 チュニジア ケニア イスラエル ペルー | バルバドス |
33 | 2009/6/22-6/30 | セビリア (スペイン) | スペイン | オーストラリア チュニジア ケニア アメリカ バルバドス | ブラジル |
34 | 2010/7/25-8/3 | ブラジリア (ブラジル) | ブラジル | タイ エジプト 南アフリカ スウェーデン | バーレーン |
35 | 2011/6/19-6/29 | バーレーン→ パリ 騒乱による | バーレーン | カンボジア 南アフリカ スイス エストニア バルバドス | マリ |
36 | 2012/6/25-7/5 | サンクトペテルブルク(ロシア) | ロシア | マレーシア 南アフリカ アラブ首長国連邦 フランス メキシコ | メキシコ |
37 | 2013/6/17-6/27 | プノンペン (カンボジア) | カンボジア | タイ アルジェリア セネガル スイス コロンビア | セルビア |
38 | 2014/6/15-6/25 | ドーハ (カタール) | カタール | 日本 | コロンビア |
39 | 2015/6/28-7/8 | ボン(ドイツ) | ドイツ | インド カタール セネガル クロアチア ジャマイカ | レバノン |
40 | 2016/7/10-7/17 | イスタンブール(トルコ) | トルコ | フィリピン レバノン タンザニア ポーランド ペルー | 韓国 |
41 | 2017/7/25-8/3 | クラクフ (ポーランド) | ポーランド | 韓国 | タンザニア |
42 | 2018/6/24-7/4 | マナーマ (バーレーン) | バーレーン | 中国 ジンバブエ アゼルバイジャン スペイン ブラジル | ハンガリー |
43 | 2019/6/30-7/10 | バクー(アゼルバイジャン) | アゼルバイジャン | インドネシア チュニジア ブルキナファソ ノルウェー ブラジル | オーストラリア |
44 | 2021/7/16-7/31 | 福州(中国) オンライン開催 2020年はコロナで延期 | 中国 | ハンガリー スペイン グアテマラ ウガンダ バーレーン | バーレーン |
45 | 2022/6/19-6/30 2023/9/10-9/25 | カザン(ロシア) ウクライナ侵攻により延期後、議長国辞退→リャド(サウジアラビア) | サウジアラビア | ロシア イタリア アルゼンチン タイ 南アフリカ | インド |
46 | 2024/7/21-7/31 | ニューデリー(インド) | インド | ブルガリア | ベルギー |
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2023年世界遺産委員会の結果
1.会議の概要
・当初は2022年6月19日から30日にロシアで開催予定→2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ 侵攻への批判から開催は無期限延期。
・ロシアが開催を辞退→副議長国のサウジアラビアを議長国(開催国)として、2023年9月10日から25日まで開催された。
・会議では2022年と2023年に審議予定だった遺産をまとめて審議。
・文化遺産33件、自然遺産9件が新規に世界遺産に登録された。(複合遺産の登録はなし)
・危機遺産は、カスビのブガンダ歴代国王の墓(ウガンダ)が危機遺産から除外、リヴィウ歴史地区、キーウの聖ソフィア大聖堂と関連する修道院群及びキーウ・ペチェールシク大修道院(いずれもウクライナ)が危機遺産に登録された。
・ルワンダが新規で世界遺産保有国として登録。(27か国が世界遺産登録なし)
2.登録された文化遺産(33件)
・プーアルの景邁山古茶園の文化的景観 (中国)
・伽耶古墳群 (韓国)
・鹿石および青銅器時代の関連遺跡群 (モンゴル)
・コー・ケー遺跡(古代リンガプラや古都チョック・ガルギャーの考古遺跡) (カンボジア)
・ジョグジャカルタの天体軸と歴史的建造物群 (インドネシア)
・古代都市シーテープとドヴァーラヴァティー王国の関連遺跡 (タイ)
・ホイサラ王朝の宗教建造物群 (インド)
・サンティニケタン (インド)
・シルクロード:ザラフシャン・カラクム回廊 (タジキスタントルクメニスタンウズベキスタン)
・第一次世界大戦(西部戦線)の追悼と追憶の場 (ベルギー/フランス)
・ニームのメゾン・カレ (フランス)
・エアフルトの中世ユダヤ人関連遺産 (ドイツ)
・フラネケルのエイシンガ・プラネタリウム (オランダ)
・ザゴリの文化的景観 (ギリシャ)
・メノルカ島のタラヨ文化の先史時代遺跡 (スペイン)
・カザン連邦大学の天文台 (ロシア)
・キナルグ人の文化的景観と移牧の道 (アゼルバイジャン)
・ジャテツ地方とザーツホップの町の景観 (チェコ)
・クルディガ旧市街 (ラトビア)
・モダニズム都市カウナス:1919-1939年の楽天主義の建築 (リトアニア)
・ヴァイキング時代の円形要塞群 (デンマーク)
・トロンデック=クロンダイク (カナダ)
・ホープウェルの儀礼的土構造物群 (アメリカ)
・タカリク・アバフ国立遺跡公園 (グアテマラ)
・ESMA「記憶の場」博物館 – かつての拘禁、拷問、絶滅の秘密センター (アルゼンチン)
・ヨーデンサヴァネの考古遺跡 : ヨーデンサヴァネの入植地とカシポラクレークの共同墓地 (スリナム)
・古代エリコ/テル・エス=スルタン (パレスチナ)
・ペルシアのキャラバン・サライ (イラン)
・古代ゴルディオン遺跡 (トルコ)
・中世アナトリアの木造多柱式モスク群 (トルコ)
・ジェルバ : 島嶼域の入植様式を伝える遺産 (チュニジア)
・ゲデオの文化的景観 (エチオピア)
・ジェノサイド記憶の場:ニャマタ、ムランビ、ビセセロ、ギソッチ (ルワンダ)
3.登録された自然遺産(9件)
・トゥランの寒冬の砂漠群 (トルクメニスタン/カザフスタン/ウズベキスタン)
・ティグロヴァヤ・バルカ自然保護区のトゥガイ森林群 (タジキスタン)
・プレー山およびマルティニーク北部の火山と森林群 (フランス)
・アペニン山脈北部の蒸発岩カルストと洞窟群 (イタリア)
・アンティコスティ (カナダ)
・ウルク・バニ・マアリッド自然保護区 (サウジアラビア)
・バレ山地国立公園 (エチオピア)
・オザラ・コクア森林山塊 (コンゴ共和国)
・ニュングェ国立公園 (ルワンダ)
2024年の世界遺産委員会の開催
緊急案件を含む24件(文化遺産19、自然遺産4、複合遺産1)が新規登録され、世界遺産の総数は1223件となりました。
日本からは「佐渡島の金山(さど)/金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」が登録されました。
世界遺産委員会事務局(世界遺産センター)
・遺産情報の管理:事務局は、世界中の世界遺産に関する情報を集め、管理し、遺産リストやデータベースの維持を行います。これにより、最新の情報が委員会や国々に提供されます。
・新たな世界遺産の提案の審査:世界遺産の新規提案に関する文書や情報を審査し、審査結果を報告・提出する役割を担います。新規提案の審査プロセスで、事務局が重要な役割を果たします。
・既存の世界遺産の保全と管理:事務局は既存の世界遺産に関する国々からの報告を受け取り、審査し、保全や管理に関する提案や助言を行います。これには、管理計画の審査や進捗報告が含まれます。
・危機に瀕した遺産の支援:危機に瀕した世界遺産に対する支援や緊急の保全措置の実施に関する提案や調整を行います。事務局は危機遺産に対する国際的な協力を促進します。
・世界遺産基金の管理:事務局は世界遺産基金を管理し、プロジェクトや提案への資金援助を協調調整します。基金は世界遺産の保全や復元に使用されます。
・委員会との連絡調整:事務局はユネスコ世界遺産委員会と連絡を取り、会議や委員会の方針に基づいて業務を遂行します。事務局はまた、委員会に対する報告や提案を準備します。
・国際的な協力の推進:事務局は国際的な協力を奨励し、異なる国々や地域との連携を促進します。世界遺産の保存と管理に関する共同のプロジェクトを支援します。
事務局は、ユネスコの本部に設置されており、世界中の世界遺産に関する情報を中央で統括し、委員会と国々にサポートを提供しています。
世界遺産基金
世界遺産基金は、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)によって設立された資金であり、世界遺産の保全と管理に関するプロジェクトを支援するために使用されます。この基金は、危機に瀕した世界遺産の救援や持続可能な管理のために資金を提供することを目的としています。
締約国は2年に1度、拠出金を支払わなければならない。
1.緊急援助:大規模な災害や事故、紛争等で被害を受けた遺産の復興費用
2.準備援助:事前調査への準備援助
3.保全・管理援助:専門家や技術者の派遣、遺産の保護・安全に従事する管理者や専門家の育成、遺産の価値や理念の教育、広報
まとめ
・世界遺産条約に基づいて、世界遺産委員会が設立され、世界遺産の登録や管理に関する決定を行う。
・世界遺産条約締約国会議は、ユネスコ加盟国(195か国)のうち、ナウルを除く194か国とバチカン市国が締約している。
・世界遺産委員会は世界遺産条約締約国総会で選出された21か国の委員国で構成される。
・世界遺産委員会は、世界遺産リストへ登録推薦された遺産に対し、「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の4段階で決議を行う。
・2023年世界遺産委員会で、ルワンダが新規で世界遺産保有国として登録。
・世界遺産委員会事務局は、世界遺産委員会の業務を支援し、世界遺産に関する活動を調整・促進する中心的な組織です。
・世界遺産基金は、世界遺産の保全と管理に関するプロジェクトを支援するために使用されます。
世界遺産に興味を持たれた方は、世界遺産検定に挑戦してみてはいかがでしょうか。
世界遺産検定公式HP