フランスの世界遺産一覧【2026年最新版】です。フランスには、モン・サン・ミシェルやヴェルサイユ宮殿、パリのセーヌ河岸をはじめ、中世の大聖堂、ローマ時代の遺跡、先史時代の洞窟壁画、ワインの産地、海外領土の自然まで、56件の世界遺産があります。この記事では、フランスのどの地域に多くの遺産があるのか、登録された世界遺産の概要を地図と表でわかりやすく紹介します。遺産の歴史的な背景を知ってから旅をすることで、あなたの旅がより充実するでしょう。旅行や世界遺産検定の学習に役立てば幸いです。

| No. | 登録名 | 登録年 | 所在地 | 登録基準 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | モン・サン・ミシェルとその湾 | 1979年(2007年範囲変更) | マンシュ県(ノルマンディー) | (1), (3), (6) | |
| 2 | シャルトルの大聖堂 | 1979年(2009年範囲変更) | ウール=エ=ロワール県 | (1), (2), (4) | |
| 3 | ヴェルサイユ宮殿と庭園 | 1979年(2007年範囲変更) | イヴリーヌ県(イル=ド=フランス) | (1), (2), (6) | |
| 4 | ヴェズレーの教会と丘 | 1979年(2007年範囲変更) | ヨンヌ県 | (1), (6) | |
| 5 | ヴェゼール渓谷の装飾洞窟と先史遺跡 | 1979年 | ドルドーニュ県 | (1), (3) | |
| 6 | フォンテーヌブロー宮殿と庭園 | 1981年(2025年範囲変更) | セーヌ=エ=マルヌ県(イル=ド=フランス) | (2), (6) | |
| 7 | アミアンの大聖堂 | 1981年 | ソンム県 | (1), (2) | |
| 8 | オランジュの凱旋門、ローマ劇場とその周辺 | 1981年(2007年範囲変更) | ヴォクリューズ県 | (3), (6) | |
| 9 | アルルのローマ遺跡とロマネスク建築 | 1981年(2025年範囲変更) | ブーシュ=デュ=ローヌ県 | (2), (4) | |
| 10 | フォントネーのシトー会修道院 | 1981年(2007年範囲変更) | コート=ドール県 | (4) | |
| 11 | サラン・レ・バン大製塩所からアルケ・スナン王立製塩所までの天日塩生産所 | 1982年(2009年範囲拡大) | ジュラ県・ドゥー県 | (1), (2), (4) | |
| 12 | ナンシーのスタニスラス広場、カリエール広場、アリアンス広場 | 1983年 | ムルト=エ=モゼル県(ロレーヌ) | (1), (4) | |
| 13 | サン・サヴァン・シュール・ガルタンプの修道院教会 | 1983年(2007年範囲拡大、2015年範囲変更) | ヴィエンヌ県 | (1), (3) | |
| 14 | ポルト湾:ピアナのカランケ、ジロラッタ湾、スカンドラ保護区 | 1983年 | コルス=デュ=シュド県・オート=コルス県(コルシカ島) | (7), (8), (10) | 自然遺産 |
| 15 | ポン・デュ・ガール(ローマの水道橋) | 1985年(2007年範囲変更) | ガール県 | (1), (3), (4) | |
| 16 | ストラスブール:グラン・ディルからヌースタットのヨーロッパの都市景観 | 1988年(2017年範囲拡大) | バ=ラン県(アルザス) | (2), (4) | |
| 17 | パリのセーヌ河岸 | 1991年 | パリ | (1), (2), (4) | |
| 18 | ランスのノートル・ダム大聖堂、サン・レミ旧修道院、トー宮 | 1991年 | マルヌ県(シャンパーニュ) | (1), (2), (6) | |
| 19 | ブールジュの大聖堂 | 1992年(2013年範囲変更) | シェール県 | (1), (4) | |
| 20 | アヴィニョンの歴史地区:教皇庁宮殿、司教の建造物群、アヴィニョンの橋 | 1995年 | ヴォクリューズ県 | (1), (2), (4) | |
| 21 | ミディ運河 | 1996年 | オート=ガロンヌ県・タルン県・オード県・エロー県 | (1), (2), (4), (6) | |
| 22 | カルカッソンヌの歴史的城塞都市 | 1997年 | オード県 | (2), (4) | |
| 23 | ピレネー山脈のペルデュ山 | 1997年(1999年範囲拡大) | オート=ピレネー県(フランス側)、スペイン・アラゴン州 | (3), (4), (5), (7), (8) | 複合遺産(スペインと共有) |
| 24 | フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路 | 1998年(2025年範囲変更) | 13の地域圏(アキテーヌ、プロヴァンスほか)に点在 | (2), (4), (6) | シリアル |
| 25 | リヨンの歴史地区 | 1998年 | ローヌ県 | (2), (4) | |
| 26 | サン・テミリオン地域 | 1999年 | ジロンド県 | (3), (4) | |
| 27 | ベルギーとフランスの鐘楼群 | 1999年(2005年範囲拡大) | ノール県・パ=ド=カレー県ほか、ベルギーのジャンブルー | (2), (4) | ベルギーと共有 |
| 28 | ロワール渓谷:シュリー・シュル・ロワールからシャロンヌまで | 2000年(2017年範囲変更) | ロワレ県〜メーヌ=エ=ロワール県(ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏にも及ぶ) | (1), (2), (4) | |
| 29 | 中世市場都市プロヴァン | 2001年 | セーヌ=エ=マルヌ県(イル=ド=フランス) | (2), (4) | |
| 30 | ル・アーヴル:オーギュスト・ペレにより再建された街 | 2005年 | セーヌ=マリティーム県 | (2), (4) | |
| 31 | カルパティア山脈と他のヨーロッパ地域のブナ原生林 | 2007年(2011年・2017年・2021年範囲拡大) | ピレネー山脈東部ほか(フランスの構成資産) | (9) | 自然遺産(18か国共有) |
| 32 | ボルドー、月の港 | 2007年 | ジロンド県 | (2), (4) | |
| 33 | ニューカレドニアの珊瑚礁:環礁の多様性と関連する生態系 | 2008年 | ニューカレドニア(フランス領・南太平洋) | (7), (9), (10) | 自然遺産 |
| 34 | ヴォーバンによる要塞建築群 | 2008年 | フランスの西・北・東の国境沿い(12の要塞群) | (1), (2), (4) | シリアル |
| 35 | レユニオン島:峻峰と圏谷、その外縁 | 2010年 | レユニオン島(フランス海外県・インド洋) | (7), (10) | 自然遺産 |
| 36 | 司教座都市アルビ | 2010年 | タルン県 | (4), (5) | |
| 37 | コースとセヴェンヌ:地中海性農業牧草地の文化的景観 | 2011年 | ロゼール県・アヴェロン県・ガール県・エロー県・アルデシュ県 | (3), (5) | |
| 38 | アルプス山脈周辺の先史時代の掘立柱住居群 | 2011年 | アルプス周辺の湖畔・河畔(フランスの構成資産) | (4), (5) | シリアル(6か国共有) |
| 39 | ノール=パ・ドゥ・カレの鉱山地帯 | 2012年 | ノール県・パ=ド=カレー県 | (2), (4), (6) | |
| 40 | アルデシュ県ポン・ダルクの装飾洞窟:ショーヴェ・ポン・ダルク洞窟 | 2014年 | アルデシュ県 | (1), (3) | |
| 41 | ブルゴーニュのブドウ栽培の景観 | 2015年 | コート=ドール県・ソーヌ=エ=ロワール県 | (3), (5) | |
| 42 | シャンパーニュの丘陵、醸造所と貯蔵庫 | 2015年 | マルヌ県・エーヌ県(シャンパーニュ) | (3), (4), (6) | |
| 43 | ル・コルビュジエの建築作品:近代建築運動への顕著な貢献 | 2016年 | パリ、ポワシー、マルセイユ、ロンシャンなど(フランスの構成資産) | (1), (2), (6) | シリアル(7か国共有) |
| 44 | タプタプアテア | 2017年 | ライアテア島(フランス領ポリネシア・南太平洋) | (3), (4), (6) | |
| 45 | ピュイ山地とリマーニュ断層にある地殻変動地域 | 2018年 | ピュイ=ド=ドーム県 | (8) | 自然遺産 |
| 46 | フランス領南方地域の陸と海 | 2019年 | インド洋南部(クローゼ諸島、ケルゲレン諸島ほか) | (7), (9), (10) | 自然遺産 |
| 47 | ヨーロッパの大温泉都市群 | 2021年 | アリエ県(ヴィシー) | (2), (3) | シリアル(7か国共有) |
| 48 | コルドゥアン灯台 | 2021年 | ジロンド県(ジロンド河口の沖) | (1), (4) | |
| 49 | ニース:リヴィエラの冬のリゾート都市 | 2021年 | アルプ=マリティーム県 | (2) | |
| 50 | 第一次世界大戦(西部戦線)の慰霊と記憶の場 | 2023年 | フランス北東部〜ベルギー(西部戦線沿い) | (3), (4), (6) | シリアル(ベルギーと共有) |
| 51 | ニームのメゾン・カレ | 2023年 | ガール県(ニーム) | (4) | |
| 52 | プレ山及びマルティニーク島北部の峻峰群の火山と森林 | 2023年 | マルティニーク島北部(フランス海外県・カリブ海) | (8), (10) | 自然遺産 |
| 53 | テ・ヘヌア・エナタ:マルケサス諸島 | 2024年 | マルケサス諸島(フランス領ポリネシア・南太平洋) | (3), (6), (7), (9), (10) | 複合遺産 |
| 54 | カルナックとモルビアン沿岸の巨石群 | 2025年 | モルビアン県 | (1), (4) | |
| 55 | 1944年のノルマンディー上陸作戦の海岸群 | 2026年 | カルヴァドス県・マンシュ県 | (6) | |
| 56 | ラングドックのカペー朝の城塞群 | 2026年 | オード県・アリエージュ県 | (4) | シリアル |
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表のNo.は、上の地図のピンの番号と同じです(登録年の古い順)。ここからは、北から順番に、地域ごとに見ていきましょう。複数の地域や国にまたがる遺産は、最後にまとめて紹介します。
オー=ド=フランス地域圏
フランス最北部、ベルギーと国境を接する地域圏です。ゴシックの大聖堂に加え、市民の自治の象徴である鐘楼や、石炭採掘がつくった景観など、北フランスの歴史を物語る遺産があります。
アミアンの大聖堂(No.7)
ピカルディ地方の中心にある、13世紀の「古典的」ゴシック聖堂としては最大級の大聖堂です。設計の一貫性、3層構成の内部の美しさ、正面入口や南袖廊の見事な彫刻で知られます。
ベルギーとフランスの鐘楼群(No.27)
1999年に登録されたベルギーの鐘楼群の拡張として、2005年にフランス北部の鐘楼23基とベルギーのジャンブルーの鐘楼が加わりました。11〜17世紀に建てられ、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロックの各様式を示し、市民が自治を勝ち取った象徴でもあります。
ノール=パ・ドゥ・カレの鉱山地帯(No.39)
1700年代から1900年代まで、3世紀にわたる石炭採掘がつくった景観です。炭坑の立坑、高さ140mを超えるものもあるぼた山、石炭輸送の設備、駅、労働者の住宅や鉱山の村など、109の構成資産が12万ヘクタールに広がります。
ノルマンディー地域圏
英仏海峡に面したフランス北西部の地域圏です。中世の修道院から、第二次世界大戦の上陸作戦と戦後復興の都市まで、時代の異なる3つの遺産があります。
モン・サン・ミシェルとその湾(No.1)
ノルマンディーとブルターニュの境、潮の干満が激しい広い砂州の湾に浮かぶ岩の小島に建つ、ベネディクト会の修道院とその門前の村です。11〜16世紀に築かれ、潮の満ち引きという厳しい条件に合わせた建築技術と芸術の傑作として、「西洋の驚異」と呼ばれています。
ル・アーヴル:オーギュスト・ペレにより再建された街(No.30)
第二次世界大戦で激しい爆撃を受けた港湾都市を、建築家オーギュスト・ペレ率いるチームの計画で、1945〜64年に再建した市街です。戦後復興都市のなかでも、統一感と保存状態が際立っています。それ以前の街の記憶と、新しい都市計画や建設技術を融合させた都市です。
1944年のノルマンディー上陸作戦の海岸群(No.55)
1944年6月6日、連合軍のノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)の舞台となった、約80kmの海岸線に点在する6つの構成資産です。ユタ、オマハ、ゴールド、ジュノー、ソードの各海岸とオック岬を含み、西ヨーロッパ解放の始まりを象徴します。
ブルターニュ地域圏
大西洋に突き出たフランス北西端の半島です。新石器時代の巨石文化が色濃く残る地域で、2025年に新たに登録された遺産があります。
カルナックとモルビアン沿岸の巨石群(No.54)
ブルターニュ地方に、新石器時代(紀元前約5000〜2300年)に築かれた巨石建造物が密集する資産です。巨石は、地形や水路などの自然の特徴と関連づけて並べられており、当時の人びとの環境への高度な理解を映しています。
イル=ド=フランス地域圏
首都パリを中心とする地域圏です。歴代の王が築いた宮殿や、中世の市場都市など、フランスの王権と都市の歴史を伝える遺産が集まっています。
ヴェルサイユ宮殿と庭園(No.3)
ルイ14世からルイ16世まで、歴代のフランス王が居城とした宮殿と庭園です。幾世代もの建築家・彫刻家・装飾家・造園家が手を加え、1世紀以上にわたって、ヨーロッパの理想的な王宮の手本となりました。
フォンテーヌブロー宮殿と庭園(No.6)
12世紀から歴代の王が使った中世の狩猟館を、16世紀にフランソワ1世が「新しいローマ」にしようと改築・拡張した宮殿です。広大な森と庭園に囲まれ、イタリア風のルネサンス様式とフランスの伝統的な芸術が融合しています。
パリのセーヌ河岸(No.17)
ルーヴルからエッフェル塔、コンコルド広場、グラン・パレとプティ・パレまで、セーヌ川沿いにパリの歴史の歩みを見渡せる範囲です。ノートル=ダム大聖堂とサント=シャペルは建築の傑作で、オスマンによる広い大通りと広場は、19〜20世紀の世界の都市計画に影響を与えました。
中世市場都市プロヴァン(No.29)
有力なシャンパーニュ伯の領地にあった、城壁に囲まれた中世の都市です。国際的な大市(定期市)と毛織物産業が発展した当時の様子を伝え、市の開催のために築かれた都市構造がよく保存されています。
グラン・テスト地域圏
ドイツ、ルクセンブルク、ベルギー、スイスと接するフランス北東部の地域圏で、シャンパーニュ、アルザス、ロレーヌの各地方を含みます。大聖堂、都市広場、ワインの景観と、変化に富んだ遺産があります。
ナンシーのスタニスラス広場、カリエール広場、アリアンス広場(No.12)
領地を失った元ポーランド王で、のちにロレーヌ公となったスタニスワフ・レシチニスキが整備した広場群です。建築家エレを中心に1752〜56年に造られ、啓蒙君主が市民の求めに応えて計画した、近代の首都の最も古い典型例とされます。
ストラスブール:グラン・ディルからヌースタットのヨーロッパの都市景観(No.16)
大聖堂を中心とする旧市街グラン・ディル(大きな島)が1988年に登録され、2017年に、ドイツ統治期(1871〜1918年)に建設された新市街ヌースタットが加わりました。ヌースタットは、パリのオスマン式の都市計画の影響を受けつつ、ドイツの建築様式を採用しており、フランスとドイツの文化の出会いを示す都市景観です。
ランスのノートル・ダム大聖堂、サン・レミ旧修道院、トー宮(No.18)
13世紀の新しい建築技術と、彫刻装飾が建築と調和した点で、ゴシック美術の傑作とされるノートル・ダム大聖堂です。9世紀の身廊を残すサン・レミ旧修道院、かつての大司教の宮殿であるトー宮とともに登録されています。サン・レミは、フランス王に聖油を注ぐ聖別式を始めた大司教です。
シャンパーニュの丘陵、醸造所と貯蔵庫(No.42)
17世紀初めから19世紀の初期の産業化まで、瓶内二次発酵によるスパークリングワインの製法が発展した場所です。オーヴィレール、アイ、マルイユ=シュル=アイの歴史的なブドウ畑、ランスのサン=ニケーズの丘、エペルネのシャンパーニュ大通りとシャボル要塞の3つのまとまりからなります。
サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏
パリの南西、ロワール川流域に広がる地域圏です。ゴシック建築の頂点とされる大聖堂と、「フランスの庭」と呼ばれるロワール渓谷の景観があります。
シャルトルの大聖堂(No.2)
1145年ごろから建て始められ、1194年の火災のあとに約26年で再建された、フランス・ゴシック美術の頂点とされる大聖堂です。純粋な尖頭アーチ式の広い身廊、12世紀半ばの彫刻で飾られた入口、12〜13世紀のステンドグラスが、ほぼ当時のまま残っています。
ブールジュの大聖堂(No.19)
12世紀末から13世紀末に建てられた、サン=テティエンヌ大聖堂です。均整のとれた比率と設計の統一感で称賛されるゴシック美術の傑作で、扉口の彫刻やステンドグラスも見事です。中世フランスにおけるキリスト教の力を示しています。
ロワール渓谷:シュリー・シュル・ロワールからシャロンヌまで(No.28)
ロワール川流域に広がる、歴史ある町や村、シャトー(城館)などの大建築、そして川と人びとの長い交流がつくった耕作地が織りなす美しい文化的景観です。シュリー=シュル=ロワールからシャロンヌまでの範囲が登録されています。
ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏
フランス東部の地域圏で、ブルゴーニュ・ワインの産地として知られます。修道院や巡礼地、ブドウ畑の景観、産業建築と、中世から近世の遺産が点在します。
ヴェズレーの教会と丘(No.4)
9世紀に創建されたベネディクト会修道院が、聖マグダラのマリアの聖遺物を得て、重要な巡礼地となった丘の町です。1146年には聖ベルナルドゥスがここで第2回十字軍を説き、1190年には獅子心王リチャードとフィリップ2世が第3回十字軍の出発前に会談しました。12世紀の彫刻で飾られたマドレーヌ教会堂が見どころです。
フォントネーのシトー会修道院(No.10)
1119年に聖ベルナルドゥスが創建した、ブルゴーニュのシトー会修道院です。聖堂、回廊、食堂、寝室、パン焼き場、製鉄所が残り、初期のシトー会修道士の自給自足の理想をよく示しています。
サラン・レ・バン大製塩所からアルケ・スナン王立製塩所までの天日塩生産所(No.11)
ブザンソン近郊のアルケ・スナンの王立製塩所は、建築家クロード=ニコラ・ルドゥーの設計で1775年に着工されました。啓蒙時代の進歩の理想を映した、産業建築の最初の大事業で、労働を合理的・階層的に組織するための半円形の大規模な配置が特徴です。2009年に、塩水の産地サラン=レ=バンの大製塩所が加わりました。
ブルゴーニュのブドウ栽培の景観(No.41)
ディジョン南方の、コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌの斜面に広がる、境界を厳密に区切られたブドウ畑「クリマ」です。地質や日当たり、ブドウ品種の違いと、人の手で形づくられ、生まれるワインによって区別されてきました。ブドウ畑と、ボーヌ・ディジョンの町の一部の、2つの部分からなります。
ヌーヴェル=アキテーヌ地域圏
フランス南西部の大西洋岸に広がる、国内最大級の面積の地域圏です。先史時代の洞窟壁画、ロマネスクの壁画、ワインの産地、港湾都市、海に建つ灯台と、幅広い遺産があります。
ヴェゼール渓谷の装飾洞窟と先史遺跡(No.5)
ドルドーニュ県のヴェゼール渓谷に点在する、旧石器時代の遺跡147か所と装飾洞窟25か所です。1940年に発見されたラスコー洞窟の壁画は先史美術史上きわめて重要で、狩りの場面などに約100頭の動物が描かれています。
サン・サヴァン・シュール・ガルタンプの修道院教会(No.13)
「ロマネスクのシスティーナ礼拝堂」と呼ばれる修道院教会です。11〜12世紀に描かれた多くの壁画が、驚くほど良好な状態で保存されています。
サン・テミリオン地域(No.26)
ローマ人がブドウ栽培を伝え、中世に発展した、アキテーヌ地方のワイン産地です。サンティアゴ巡礼路上にあり、11世紀以降に多くの教会・修道院・施療院が建てられました。12世紀のイングランド統治期に、特別な「ジュリスディクション(自治区)」の地位を与えられた歴史をもつ、ブドウ畑の景観です。
ボルドー、月の港(No.32)
フランス南西部の港湾都市ボルドーです。啓蒙の時代に築かれた都市・建築群が20世紀前半まで受け継がれ、パリを除くとフランスで最も多くの保護建造物をもつ都市とされます。ガロンヌ川が三日月状に湾曲することから「月の港」と呼ばれ、古くから文化や商品が行き交う交易の場でした。
コルドゥアン灯台(No.48)
ジロンド河口の大西洋に浮かぶ、浅い岩礁の台地に建つ灯台です。16世紀末〜17世紀初めに白い石灰岩の切石で築かれ、18世紀末に技師ジョゼフ・テュレールが改造しました。厳しい海の環境に建つ、海洋建築の傑作です。
オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏
フランス中南東部の地域圏で、アルプス山脈と中央山地を含みます。ローマ時代から続く大都市リヨン、世界最古級の洞窟壁画、火山地形、温泉保養都市と、多彩な遺産があります。
リヨンの歴史地区(No.25)
紀元前1世紀にローマ人が「3つのガリアの首都」として築いたリヨンです。以来、ヨーロッパの政治・文化・経済で重要な役割を果たし続け、各時代の優れた歴史的建造物が、街並みに息づいています。
アルデシュ県ポン・ダルクの装飾洞窟:ショーヴェ・ポン・ダルク洞窟(No.40)
アルデシュ川沿いの石灰岩の台地にある洞窟で、3万〜3万2千年前のオーリニャック期にさかのぼる、世界最古で最も保存状態のよい具象的な壁画を持ちます。約2万年前の落盤で入口がふさがれ、1994年に発見されるまで封じられていたため、良好な状態で守られました。
ピュイ山地とリマーニュ断層にある地殻変動地域(No.45)
フランス中央部の、西ヨーロッパ地溝帯の一部をなす自然遺産です。長いリマーニュ断層、ピュイ山地の火山列、セール山の逆転地形からなります。約3500万年前のアルプスの形成後に、大陸地殻が割れて沈み、マグマが上昇する地球の営みを示します。
ヨーロッパの大温泉都市群(No.47)
ヨーロッパ7か国の11の温泉保養都市からなる越境シリアル遺産で、フランスからはヴィシーが登録されています。ほかにオーストリアのバーデン、ベルギーのスパ、チェコ、ドイツ、イタリア、イギリスのバースがあり、いずれも天然の鉱泉を中心に発展しました。
オクシタニー地域圏
フランス南部、ピレネー山脈から地中海沿岸にかけて広がる地域圏です。中世の城塞都市、運河、ローマ遺跡、山岳景観など、世界遺産が8件と、本土では特に多い地域です。
ポン・デュ・ガール(ローマの水道橋)(No.15)
全長約50kmのニームの水道の一部として、紀元前後に造られたローマ時代の水道橋です。ガール川を渡る高さ約50mの3層構造で、最長の層は275m。ローマの建築家と水利技術者が生み出した、技術と芸術の傑作です。
ミディ運河(No.21)
地中海と大西洋を結ぶ、全長約360km、328の施設(閘門、水路橋、橋、トンネルなど)からなる航路網です。1667〜1694年に造られ、産業革命への道を開いた、近代土木の偉業のひとつです。設計者のピエール=ポール・リケは、周囲の景観との調和にも心を配りました。
カルカッソンヌの歴史的城塞都市(No.22)
ローマ以前から要塞集落があった丘に築かれた、城と街を取り囲む巨大な城壁、街路、ゴシックの聖堂を残す、中世の城塞都市の傑出した例です。建築家ヴィオレ=ル=デュクによる長期の修復事業でも知られます。2026年登録のラングドックのカペー朝の城塞群にも、構成資産として含まれます。
ピレネー山脈のペルデュ山(No.23)
フランスとスペインの国境にまたがる、ペルデュ山(3,352m)を中心とした山岳景観です。スペイン側には欧州最大級の深い峡谷、フランス側の急峻な北斜面には3つの大きな圏谷(カール)があり、地形の典型例となっています。伝統的な牧畜の暮らしも残る、自然と文化の複合遺産です。
司教座都市アルビ(No.36)
南西フランス、タルン川沿いの旧市街です。10〜11世紀の古い橋(ポン=ヴュー)やサン=サルヴィ地区を起点に、13世紀のアルビジョワ十字軍(カタリ派の弾圧)の後、有力な司教都市となりました。レンガで築かれた独特の景観が、中世の建築と都市の集大成を示しています。
コースとセヴェンヌ:地中海性農業牧草地の文化的景観(No.37)
フランス中南部の約30万ヘクタールに広がる山岳地です。深い谷が刻まれた高原(コース)に石造りの村と大きな農家が点在し、移牧の通り道(ドライユ)が残るなど、農牧システムと自然環境の関係を示す文化的景観です。11世紀からの大修道院による農地経営が、景観をかたちづくりました。
ニームのメゾン・カレ(No.51)
ローマの植民市ネマウスス(現在のニーム)に、1世紀に建てられた神殿です。属州における皇帝崇拝と結びつく、ローマ神殿の最も初期の例のひとつで、アウグストゥスの後継者と目されながら早世した王子たちに捧げられ、征服地へのローマの支配を示しました。
ラングドックのカペー朝の城塞群(No.56)
13世紀のアルビジョワ十字軍の後に、カペー朝が築いた防衛網の中核をなす8つの要塞群です。カルカッソンヌの城と城壁、アギラール、ラストゥール、モンセギュール、ペルペルテューズ、ピュイローラン、ケリビュス、テルムの各城塞が、険しい岩尾根の戦略的な位置に築かれました。
プロヴァンス=アルプ=コート・ダジュール地域圏
フランス南東部、地中海沿岸の地域圏です。古代ローマの遺跡が多く残るほか、14世紀の教皇庁があった都市や、リゾート都市ニースがあります。
オランジュの凱旋門、ローマ劇場とその周辺(No.8)
ローヌ河谷に建つ古代ローマ劇場は、正面の壁の長さが103mあり、数あるローマ劇場の中でも保存状態が最も良いもののひとつです。アウグストゥス帝の時代に造られた凱旋門には、ローマの平和(パクス・ロマーナ)の成立を記念する浮彫が施されています。
アルルのローマ遺跡とロマネスク建築(No.9)
古代ローマの円形闘技場、劇場、地下回廊(クリプトポルティクス)、4世紀のコンスタンティヌスの浴場や墓地アリスカンなど、ローマ時代の遺構と、11〜12世紀のロマネスク建築が共存する都市です。古代の都市が中世のヨーロッパ文明に適応していった姿を伝えます。
アヴィニョンの歴史地区:教皇庁宮殿、司教の建造物群、アヴィニョンの橋(No.20)
14世紀に教皇庁が置かれた、南フランスの都市です。飾り気のない要塞のような教皇庁宮殿の内部は、シモーネ・マルティーニらが豪華に装飾しました。プティ・パレ、ロマネスク様式のノートル=ダム=デ=ドン司教座聖堂、12世紀に起源をもつアヴィニョン橋とともに、ゴシック建築の優れた例を示しています。
ニース:リヴィエラの冬のリゾート都市(No.49)
地中海に面し、アルプスを背にしたニースは、温暖な気候と海岸の立地を生かして発展した冬の保養都市です。18世紀半ばから、主にイギリスの貴族・上流階級が訪れ、冬のリゾート都市としての街並みが整えられました。
コルシカ島
地中海に浮かぶフランス領の島です。島の西岸に、赤い岩の断崖と海洋保護区が広がる自然遺産があります。
ポルト湾:ピアナのカランケ、ジロラッタ湾、スカンドラ保護区(No.14)
コルシカ島の西岸、地域自然公園の一部をなすスカンドラ半島の斑岩の岩塊と、赤い奇岩の断崖ピアナのカランケ、ジロラッタ湾を含む自然遺産です。地中海特有の低木林が広がり、カモメやウ、猛禽類などの鳥類、澄んだ海の豊かな海洋生物が見られます。
海外県・海外領土
インド洋、太平洋、カリブ海、南半球の海域に広がるフランスの海外領土にも、世界遺産があります。サンゴ礁、火山、孤島の生態系、ポリネシア人の聖地など、本土とは違った自然と文化が評価されています。
ニューカレドニアの珊瑚礁:環礁の多様性と関連する生態系(No.33)
フランス領ニューカレドニアの、6つの海域群(クラスター)からなる世界有数のサンゴ礁システムです。マングローブから海草藻場、サンゴ礁へと連なる多様な生息環境と、サンゴや魚類の種の多様性が際立つ、自然遺産です。
レユニオン島:峻峰と圏谷、その外縁(No.35)
インド洋南西部のレユニオン島の約4割(10万ヘクタール超)を占める、レユニオン国立公園の中核地域です。そびえる2つの火山の峰、巨大な断崖、3つの圏谷(カール)など、起伏に富んだ地形と、多様な植生が広がる自然遺産です。
タプタプアテア(No.44)
ライアテア島にある、ポリネシア・トライアングル(太平洋に広がるポリネシア人の居住圏)の中心とされる聖地です。タプタプアテア・マラエ(政治・祭祀・葬送の中心)を核に、2つの森の谷、ラグーンとサンゴ礁、外洋の一部が含まれます。
フランス領南方地域の陸と海(No.46)
インド洋南部で数少ない陸地である、クローゼ諸島、ケルゲレン諸島、サン=ポール島、アムステルダム島と、60の小さな亜南極の島々からなる自然遺産です。面積は1億6,600万ヘクタール超で、世界有数の鳥類・海獣類の集中地です。
プレ山及びマルティニーク島北部の峻峰群の火山と森林(No.52)
マルティニーク島北部の、プレ山とピトン・デュ・カルベの火山と森林です。1902年の噴火は20世紀で最も多くの死者を出した火山災害とされ、火山学の世界的な基準となる事例です。小アンティル諸島のあらゆる森林タイプと、固有植物の多様性も見られます。
テ・ヘヌア・エナタ:マルケサス諸島(No.53)
南太平洋に浮かぶマルケサス諸島の複合遺産です。西暦1000年ごろに海を渡ってきた人びとが、10〜19世紀にこれらの孤立した島々で築いた文明の証拠と、陸と海の生物多様性のホットスポットという、文化と自然の両面の価値が認められました。
複数の地域・国にまたがる遺産
ここでは、フランス国内の複数の地域に点在する遺産や、ほかの国々と共同で登録された遺産を紹介します。
フランスのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路(No.24)
中世、ヨーロッパ中から巡礼者が目指した、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ。そこへ向かうためにフランス国内を通った4つの巡礼路と、その沿道にある重要な歴史的建造物群が登録されています。スペイン側の巡礼路は、別の世界遺産「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」です。
カルパティア山脈と他のヨーロッパ地域のブナ原生林(No.31)
ブナが氷河期の終わりから数千年のうちに、ヨーロッパ全域へ広がった過程を示す、18か国にまたがる原生的なブナ林の資産群です。ブナの適応力と、その生態系の進化を伝える自然遺産で、フランスでは、ピレネー山脈東部のマサンヌの森などが構成資産です。
ヴォーバンによる要塞建築群(No.34)
ルイ14世に仕えた軍事技術者セバスティアン・ル・プレストル・ド・ヴォーバン(1633〜1707年)による、フランスの国境沿いの12の要塞群です。ヴォーバンがゼロから築いた町、城塞、都市の稜堡式城壁、山岳要塞などがあり、アラス、ブザンソン、ブライ、ブリアンソン、カマレ=シュル=メール、ロンウィ、モン=ドーファン、モン=ルイ、ヌフ=ブリザック、サン=マルタン=ド=レ、サン=ヴァースト=ラ=ウーグ、ヴィルフランシュ=ド=コンフランが構成資産です。
アルプス山脈周辺の先史時代の掘立柱住居群(No.38)
紀元前5000年〜500年ごろ、アルプス周辺の湖畔・河畔・湿地に築かれた、先史時代の杭上住居(掘立柱住居)の遺跡111か所からなる資産です。新石器時代と青銅器時代のアルプス周辺の暮らしを伝えます。スイス、オーストリア、フランス、ドイツ、イタリア、スロベニアの6か国にまたがります。
ル・コルビュジエの建築作品:近代建築運動への顕著な貢献(No.43)
建築家ル・コルビュジエの作品のうち、7か国17資産からなる越境シリアル遺産です。過去と決別した新しい建築言語を生み出した、半世紀にわたる「忍耐強い探求」を示します。フランスには、パリのラ・ロッシュ=ジャンヌレ邸、ポワシーのサヴォア邸、マルセイユのユニテ・ダビタシオン、ロンシャンの礼拝堂などがあります。日本の国立西洋美術館も構成資産です。
第一次世界大戦(西部戦線)の慰霊と記憶の場(No.50)
第一次世界大戦の西部戦線(北海からスイス国境まで約700km)沿いに点在する、139の慰霊・追悼の場です。戦死者を悼む個人墓地や、行方不明者の名を刻んだ記念碑などからなり、フランスとベルギーにまたがります。
まとめ
フランスにある世界遺産一覧【2026年最新版】をご紹介しました。フランスのどの地域に多くの遺産があるのか、登録された世界遺産の歴史的な背景・概要を知り、旅をすることであなたの旅がより充実することを切に願っています。
フランスの世界遺産は、大聖堂や王宮などの文化遺産が大半を占める一方、コルシカ島やレユニオン島、ニューカレドニア、フランス領南方地域などの自然遺産、ピレネー山脈のペルデュ山やマルケサス諸島の複合遺産もあります。気になる世界遺産はあったでしょうか。思い立ったら、興味の湧く場所に足を運んでみてはいかがでしょうか。
世界遺産に興味を持たれた方は、世界遺産検定に挑戦してみてはいかがでしょうか。
世界遺産検定公式HP
よくある質問

フランスの世界遺産はいくつありますか?
2026年10月時点で56件です。内訳は文化遺産47件、自然遺産7件、複合遺産2件(ピレネー山脈のペルデュ山、マルケサス諸島)です。複数の国にまたがる遺産も、関係する国それぞれの件数に含めて数えています。
フランスで最も早く登録された世界遺産は?
1979年に登録された、モン・サン・ミシェルとその湾、シャルトルの大聖堂、ヴェルサイユ宮殿と庭園、ヴェズレーの教会と丘、ヴェゼール渓谷の装飾洞窟と先史遺跡の5件です。
世界遺産が最も多い地域はどこですか?
この記事の地域区分では、オクシタニー地域圏が8件で最多です。カルカッソンヌ、ミディ運河、ポン・デュ・ガール、アルビなど、中世とローマ時代の遺産が集まっています。
ほかの国と共同で登録されている遺産はありますか?
あります。スペインと共有するピレネー山脈のペルデュ山、ベルギーと共有する鐘楼群と第一次世界大戦(西部戦線)の慰霊と記憶の場のほか、ブナ原生林(18か国)、ル・コルビュジエの建築作品(7か国)、ヨーロッパの大温泉都市群(7か国)、アルプス山脈周辺の先史時代の掘立柱住居群(6か国)などがあります。
海外領土にも世界遺産はありますか?
あります。ニューカレドニアの珊瑚礁、レユニオン島、タプタプアテア(フランス領ポリネシア)、マルティニーク島北部のプレ山、マルケサス諸島、フランス領南方地域の陸と海の6件です。
パリから訪ねやすい世界遺産は?
パリのセーヌ河岸のほか、同じイル=ド=フランス地域圏にあるヴェルサイユ宮殿、フォンテーヌブロー宮殿、中世市場都市プロヴァンがあります。近隣では、サントル=ヴァル・ド・ロワール地域圏のシャルトルの大聖堂も人気です。訪問前に、公式サイトで開館日や予約の要否を確認してください。






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