世界遺産検定1級を目指す学習者に向けて、複数の世界遺産にまたがる「城郭・城塞」を整理した大辞典エントリーです。個々の遺産の解説ではなく、城・城壁・山城を含む世界遺産を横断して一覧できる索引として使えます(辞典内は東アジアの遺産が中心です。世界の代表例は下の別見出しにまとめています)。
基礎データ
| 見出し語 | 城郭・城塞 |
|---|---|
| 定義 | 敵を防ぎ、領地や都を治めるために築いた城や城壁、要塞(一般的な説明)。 |
| 世界遺産での現れ方 | 木造の天守をもつ城(姫路城)/石の城壁の城(華城・グスク)/山を利用した城(南漢山城・高句麗の山城・慶州の山城)/城壁で囲んだ都市(平遥古城)/長大な防御線(万里の長城) |
| 関連する世界遺産 | 辞典内は13件(日本4・中国3・韓国4、ほかに対比として中国2)。下の一覧のリンクから、各遺産の大辞典エントリーへ移動できます。 |
混同しやすい点:姫路城・万里の長城・華城・南漢山城
姫路城は日本の城郭建築の最高傑作で、木造の天守群をもちます。万里の長城は城ではなく、秦の始皇帝のもとで既存の防御施設がつながれ、明代まで築かれた長大な防御線です。韓国の華城は、新しい政治の拠点とするために築いた、水原の中心を囲む石とレンガの城壁です。南漢山城は、山地に造られた朝鮮王朝の非常時の都です。都や宮殿との関わりは都城(宮都)のエントリーも参照してください。
関連する世界遺産の一覧
日本
- 姫路城(1993年):17世紀初めの日本の城郭建築の最高傑作。82棟の建物が丘の上に建ち、白漆喰の土壁から「白鷺城」と呼ばれます。約3世紀にわたり封建領主の中心として機能し、1868年まで続きました。
- 古都京都の文化財(1994年):17の構成資産のうち、唯一の城が二条城です。ほかの16件は寺社などの宗教施設で、城郭としては二条城だけを押さえます。
- 琉球王国のグスク及び関連遺産群(2000年):14世紀後半〜18世紀末の琉球王国を表す9つの資産のうち、グスク(城)は今帰仁城跡・座喜味城跡・勝連城跡・中城城跡・首里城跡の5つ。ほかに園比屋武御嶽石門・玉陵・識名園・斎場御嶽が含まれます。
- 石見銀山遺跡とその文化的景観(2007年):銀山の遺跡のうち、UNESCOが城塞(fortresses)を構成要素に挙げています(個々の城跡の名はUNESCOの要約には出てきません)。
中国
- 万里の長城(1987年):秦の始皇帝のもとで既存の防御施設がつながれ、北方からの侵入に備える統一した防御体制になりました。建設は明代(1368〜1644年)まで続き、世界最大の軍事施設となりました。
- 高句麗前期の都城と古墳群(2004年):都城は五女山城・国内城・丸都山城の3つ。五女山城は石と断崖を利用した城壁と3つの門で囲まれた山城、国内城は石の城壁が残る数少ない平地の都市遺跡、丸都山城は山城で、大きな宮殿跡と37基の墓が残ります。
- 平遥古城(1997年):14世紀に創建された都市で、古い城壁・街路・店舗・住居・寺院が一体となって残ります。城壁で囲まれた都市の例です。
韓国
- 水原の華城(1997年):朝鮮王朝の石とレンガの城。約6kmの城壁に4つの門、稜堡や砲楼があります。18世紀末に正祖が、新しい政治の拠点とし、父の墓を移すために築きました。
- 南漢山城(2014年):ソウルの南東約25kmの山地にある、朝鮮王朝の非常時の都。中国・日本の影響と、西洋からの火器の導入による築城技術の変化を示します。僧兵が築いて守ったとされます。
- 百済歴史地域(2015年):475〜660年の百済の遺跡群。公州の公山城、扶余の扶蘇山城(都の北の山城)と羅城(都の城壁)などの防御施設を含みます。
- 慶州歴史地域(2000年):新羅の古都。5つの地区のうち、山城地区は東の海岸沿いなど要所の防御施設で、明活山城を含みます。月城地区には王宮の跡があります。
対比で押さえる:城ではない防御の集落建築
- 開平の望楼群と村落(2007年):盗賊に備えた、防御のための多層の村の家(望楼・碉楼)。避難用の共同の塔、裕福な家の住居用の塔、見張りの塔の3つの形があります。
- 福建土楼(2008年):15〜20世紀に造られた46棟(UNESCOの英語の要約)の、防御のための土の建物。中庭を囲み、入口は1つ、外に向く窓は1階より上にしかありません。
辞典には未収録の世界の代表例
大辞典は東アジアの遺産を中心に載せています。検定でよく問われる城郭の代表例を、リンクなしで挙げます(登録年はUNESCO)。
- グウィネズのエドワード1世の城と市壁(イギリス、1986年):ウェールズに築かれた城と市壁
- ベリンツォーナの3つの城、防壁および城壁(スイス、2000年):市場町を守る城と壁
- ロワール渓谷(フランス、2000年):城館が点在する文化的景観
よくある質問

姫路城は、なぜ「白鷺城」と呼ばれるのですか?
UNESCOによれば、城の優美な外観が白漆喰の土壁で統一されていることから、白鷺城(Shirasagi-jo、White Heron Castle)の名で知られています。
華城と南漢山城は、どう違いますか?
目的と立地で区別します。華城は、新しい政治の拠点とし、父の墓を移すために築いた、水原の中心を囲む城壁です。南漢山城は、山地に造られた非常時の都で、王が籠もることを想定した城です。
古都京都の文化財で、城郭として押さえる構成資産はどれですか?
二条城だけです。UNESCOは、17の構成資産のうち二条城以外はすべて宗教施設だと述べています。


